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作ったら何か違う!ティアードスカート作りという激闘の先にあったもの

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:米田有里
 
 
「流行りの服を作りたい」
5着ほどソーイングスクールのカリキュラムに沿って作ったあとにそう思った。ふと、知人が着ていたシンプルな藍色のティアードスカートを思いだした。
前回ズボンを作った私なら、スカートも何とか作れそうだし、無地で作れば色々な服と合いそうだ。
 
ということで、ソーイングスクールの先生に相談してみた。
カリキュラムにはないが、別で型紙を買えば作れると教わり、さっそくやってみることにした。
 
そして苦戦すること1か月。何とか型紙通りにスカートは完成した。
早速、履いてみた。
「あれ、このスカート、重い(ウエストゴムなのに)」
「このスカートの形なんか好きになれない」
 
毎日着られるようなスカートを作りたかったのに、その目論見は達成できなかった。講習代3300円と型紙代1100円、生地代5000円の計9400円を費やして、(思い入れはあるが)なかなかに着づらいスカートを作ってしまった。
 
ここで私の敗因を整理したい。
 
1つめは、どの季節に着たいのか細かく決めなかったこと
この準備不足で、生地選びを間違えた。
作り始めたのが10月ごろだったので、その時期にはスカートに合う生地が分厚いものしかなく、結局厚手の安い布をえらんでしまった。ティアードでひだを作る分、生地を多く使うからその分重くなると先生は教えてくれたけど、そんなに影響はないだろうと甘く見ていた。
次に作るチャンスがあれば、生地代が倍かかるが、裏地用と表のレースの2枚生地を買って作りたい。
 
2つめは着たい! と思うデザインの研究不足
完成してなんか違う! と感じてからネットでスカートの画像を調べてみると、デザインの種類が豊富でめまいがした。 種類多すぎやしないか?
そもそもティアードは段、層、列を意味する「teir」に「-ed」をつけた英語表現だ。ひらひらした段飾りの段数に決まりはないらしいので、複雑に段が重なったボリュームのある形や、細かい段が複数ついているスマートな形など様々だ。
ティアードスカートを作ると決めたことで服つくりの目的地を定めたつもりが、東西南北の大まかな方向を決めたに過ぎなかった。目的地が定まっていないんだから途中で違和感が出てくるのも当たり前のことだ。
次に作る機会があったら、生地や丈の違いでどこまで雰囲気が変わるかを、ネットで調べてから作り始めよう。
 
後悔は多いが、それはともかく、作るのはたのしかった!
ティアード部分を作るために、一度縫い合わせた部分の糸を引っ張る作業が難しかったが、たのしかった。工業用ミシンは4本の糸で縫っていく。そのうちの2本を残したまま、後の2本を引っ張り出して、バランスのよいひだができるまで引っ張り出して糸始末をする、という工程だ。
「今度教室に来る時までに、好きなバランスになるように糸引っ張ってきてね!」
そんなこと言われたことないから、まさかの指示に内心笑った。
その時は作るだけで精いっぱいだったので、考える余裕がなかったが、この段階で全体のシルエットが見えてきていた。このときに、目標とするスカートと見比べて、ひだのバランスを調整していたら、違った仕上がりになっていたかもしれない。
 
完成後に、参考までにネットで似た形のスカートを探してみたら、楽天で1980円から販売されていた。
 
服を買わずに自作したほうが安く済むのでは?? と思って始めたことで、買ったほうが安くすむと結果が出てしまった。情けない。
昔話で意地悪なおじいさんが自分だけは得をしようとして結局は損をする展開みたいだなあと思った。これからはもっと誠実に生きよう。
 
上手くいかなかった悔しさはかなりあるけれど、作ってみてよかったという気持ちも強く感じた。
なぜなら、作る苦労の一部を知っているから、売り場の服を見るとき、今までよりも ”納得” して買えるようになったからだ。いままでは、シンプルに見える形のTシャツやAラインスカートが数千円するのを見ると、
「これなら直線に縫うだけで簡単に作れそうなのになんでこの値段なんだろう」
「単行本1冊より高い服はちょっと悩むな」
と理不尽さを感じながらも、結局作ることもできず、今着たいから仕方なく買う、という気持ちがあった。(今から思うと、なんて想像力がなかったんだろうと思う)
 
今は、この値段で袖もきれいでポケットもある! ありがとう! というのは言い過ぎだけど、値段の意味や服に使われている手法をなんとなく想像できるのが楽しくなった。
結局、スカートづくりという激闘の先には、当たり前に売っている既製品への感謝が生まれた。
 
服を買う時の個人的なストレスが減ったことを思うと、1万円近く使って1着のスカートを作るのも悪くない。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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