メディアグランプリ

僕は死ぬまで愛し続ける


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記事:口中大輔(ライティング・ゼミ)

 

 

 

「わたしな。ハモることってセックスするんと同じやと思うねんな」

 

大学のアカペラサークルに入って1年目。

それまで音楽活動とは程遠いような人生を送っていた少年は、ある日、たまたま目にしたアカペラストリートライブに衝撃を受け、翌春には入会、音楽生活を始めることとなった。

お客として初めて眺めたあの日、目前でキラキラと歌っていた女性は憧れさえ抱く存在となった。そんな女性先輩から聞かされたアカペラ論がこれである。

思春期真っ盛り、まだまだうぶな僕には大変刺激的な言葉ではあったけれど、未経験なりに「なるほどなぁ……!」とも感心したことも覚えている。

 

 

僕はライフワークとして音楽活動をしている。プロではないので実力はほど知れているが、年数だけでいえば17年目。なかなか継続はしているように思う。

音楽をやる人は様々で、「俺の歌を聞けよ!(どうだいかっこいいだろう)」と肉食な人もいれば、ただただ自分の想いを形にしたいだけのイノセントな活動の人もいる。

それでは僕にとって音楽活動とはなにか。いろいろ考えてみたところ、ある種、恋愛の代替行為なのだろうというひとつの答えにたどり着いた。

 

 

元来「肉なしロールキャベツ」と称されるほどの草食系の僕は、当然ながらモテた経験もなく、好きなあの子にもうまく想いを告げられず、それどころか恋敵のキューピットをしてしまうほどお人好しなダメ男である。

そうは言ったって恋はしたい。

好きなあの子に振り向いてほしい。

しかし言葉で告げるのはむつかしい。

駆け引きなんてできやしない。

そうだ、ならば好きな音楽を通してなら想いを届けられるかも……

僕の音楽活動の根底には、そんなメルヘンなお花畑が広がっているのだ。

アカペラを選んだのだって、最初はたいそうな理由じゃない。

楽器を使わなくてよいからなんとかなりそうだとか、自分が下手でも周りが何とかしてくれるかもだとか、混声バンドだったら女の子と歌えるじゃないかとか、そういう考えが過ったのは正直否定できない。

 

 

ところが、実際にバンド活動を始めてみると、そんなにうまくお花畑が広がるわけではないことに気づかされた。

バンドを組んだ以上は長続きさせたいし「やるじゃん」と言ってもらえるものを創りたい。

もちろんメンバーは固い絆で結ばれていたい。できれば恋が芽生えたらとも期待する。

だからバンドメンバーとは仲良く違えず協力的にやっていかねばと必死になる。

そうして和を重んじて自分の強い主張を引いてしまうことが時々あった。

本当は「バンドのためになるんじゃないか」「あの人のためにはいいんじゃないか」と思うことであっても。

そうすると、たいていの場合、当初の期待に反してバンドにはなにも良い結果をもたらさない。長続きもしなければ、なにより肝心である、固い友情や恋の予感さえ生まれないのだ。

しかし、上手にリア充している仲間たちがいる。

どうしたらもっと自然になれるんだろう、魅力的な関係が築けるんだろう……

そう悩んでいた時に出会った言葉が「ハモるのはセックスだ」だったのだ。

 

 

「相手の好きな部分だけやなくて、嫌な部分も受け入れへんとできひんやろ? そして相手を想いやらんとできひんやろ?」

センセーショナルな響き。まだ経験したことないからこそかもしれないが、だからこそ妄想力は一級品。脳内では相手を思い遣る術はきめ細やかに整っている。

「そっかぁぁぁ! それをそのままやればいいのか! 相手を気持ちよくさせるためには、自分も気持ちよくないとあかん。でも独りよがりならフラれるだけ。そうか、じゃあバンド練習って毎回セックスしてるんと同じなんや」

 

 

以来、週1回の営み、もとい、バンド練習は実のあるものに変わっていった。

まずは自分が本音で話すこと。

そして相手に本音で話してもらえるような聞き手になること。

その場の取り繕いはしないこと。

楽しいことは楽しいということ。

きれいな時はきれいと伝えること。

つまんない時は「おもんないよ」と伝えること。

喧嘩するほど仲がいいといわれるけれど、仲が良いから喧嘩できるんだと気づいたのはこの時である。

それからというもの、だんだんと広く活躍するバンドにも恵まれるようになってきた。

バンドが成熟すると、聴いてくれるお客とも感情を通して体を重ねられることを知った。

自分が楽しいことを聴き手とも共感できるんだ。

こうなると、自分にとっての音楽活動はまるで会話と同じ意味を持つようになる。もはや自己存在証明にもなっていた。

 

 

たいていの人は大学卒業とともにサークル活動からも卒業する。

しかし、この意味でいえば僕はいまだに卒業をしていない。というか、死ぬまで卒業をしないだろう。それは僕にとっての音楽活動が、もはや体の一部になってしまっているからだ。

そして何よりこれを通じて得られる「快感」は言葉に言い換えられないものがある。

一度味わえばもう手放せない。恋愛中毒と同じだ。

でもそれでいい。独りよがりでないのならば。なにより自分も気持ちよいのだから。

そしてこれから出会う人々とも心地よく過ごしていけるかもしれないのだから。

 

 

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2016-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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