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私がTSUTAYAに行って_真性Mだと自覚した理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:南下 三郎(ライティング・ゼミ)

眠れない夜。

ふと気づくと、胸にナイフが刺さっていた。
痛い。どうりで痛いはずだ。
しかしまだ意識があるということは、ナイフは心臓には届いていないようだ。

血が流れている。赤黒い血だ。
そして生温かい。人肌に触れたような温かさだ。
胸に突き刺さったナイフとそこから流れる血を見て、私はまだ生きていることを感じる。
その痛みと血の生温かさのうちに、私はまだ生きていることを感じるのだ。

つい先日まで、こんな夢を見ることはなかった。

それは突然やってきた。

それまでの私の生活は毎日平穏無事で、ある意味充実していた。

朝は4時半に起床し、スクランブルエッグとバターコーヒー、スムージーの朝食を済ませる。
6時過ぎの電車に乗り、8時には職場につく。電車の中では英単語を暗記し、話題になっている本に目を通す。定時で仕事を終えたあとは、とある書店で開かれる読書会、TOEIC講習会などに参加する。ジムで体を動かす。好きな映画やドラマを見る。

生徒A「先生は毎日、自分の好きなことをしていて、とても充実していますね」
生徒B「リア充ですね!」

いや、それリア充の意味、間違っていない?

リア充とはリアル(現実)の生活が充実している人のことを指すインターネットスラングである。リア充とみなされる行為には、パーティー、バーベキュー、海水浴などがある。(注1)

……。
やはり私はリア充とはいえない。
パーティーとかバーベキューとか海水浴とか、面倒くさいとしか思えない。

そして決定的なことには、私には日常的にコミュニケーションをとるような友人がいない。
ましてや、恋人などいるはずがない。
私の日常生活は仕事を除いてほぼシングルプレイなのだ。

毎日、自分のやりたいことがたくさんありすぎて、パーティーとかバーベキューに行くような時間がもったいない。

しかしふと立ち止まると、自分がいかに孤独かということを身に染みて感じることもある。

たとえば風邪を引いて寝込んでいるときなどがそうだ。病院にいくのもコンビニに行くのもだるい。布団の中でじっとしていると、もうこのまま死んでしまっても誰も困らないだろうという思いに捕らわれることもあった。

学生時代には、多くはなかったがそれなりに友人もいた。
同じ部活やサークルで長い時間を共有した仲間たち。
練習の後に食事をしたり、飲みにいったり、カラオケに行ったりした。
しかしそうした友人たちも就職で上京したり、地元に帰ったり、結婚して家族を持ったりしている。

たまに連絡が来て、中洲に行こうとか、釣りやパチンコに行こうなどと誘われることもあったが、正直そのどれにも興味がない。「忙しいから」と理由をつけてそうした誘いを断ってきた。お金と時間、体力の無駄にしか思えないのだ。そのうち、友人たちからの連絡もなくなっていた。

それは夏休みのある日のことだった。

二つ隣に座る同僚Cとは、これまでもよく本の話をしてきた。
とはいっても、私とCではまったく読んでいる本が違う。

これまでにCから紹介されて読んだ本は、小説では筒井康孝の「七瀬シリーズ」、宮部みゆき「ブレイブ・ストーリー」、コミックでは清水玲子「秘密-トップ・シークレット-」。
人から紹介してもらう本でも「おもしろい!」と思えるものもあるが、正直「つまらない」「私にはあわない」残念な本もある。

そのCから、「今日は早く仕事が終わるので、帰りにTSTUAYAによって行きませんか。もうすぐ改装になるので改装前後で見比べてみたいので」と誘われた。

「は、はあ。まあいいですけど」

その日、私には仕事の後はたいして用事はなかった。そのTSUTAYAには以前何度か行ったこともあるが、どこにでもあるTSUTAYAだ。

店内を一周して本の配置、店内レイアウトを確認する。
本屋が好きなら誰でもするような一コマだ。

どうやらCは雑誌を買うつもりだったが、欲しい雑誌はまだ入荷していなかったようだ。

とりあえず、併設のカフェでお茶をする。
C「どう? お店のレイアウト、覚えた?」
私「うーん、なんとなくかな」

そんな会話をきっかけに、私がいまの仕事につくまでの経歴やなぜ英語を勉強しているのかなど、警察の取調べか就職の面接試験かという細かさで聞いてきた。めっちゃメモってるし。

C「また改装されたら来ようよ」
私「そうですね」

その日は何もなく帰った。

次の日。
C「子どもの英作文の宿題があるんだけど、みてくれない?」
私「いいですよ」
中学生の英作文だ。山や海といった自然がいかに美しいかという内容だ。
There is/are 構文がうまく使えていない。
自然の美しさを表現する具体例が挙げられていない。
3分で終わるような内容の添削なので、大した労力ではなかった。

数日後。
英作文を発表したCの子どもはクラスでほめられたという。
C「すごい助かったよ! 喜んでた!」
私「それはよかったですね! (チートだけど……)」

それからというもの、Cの私に対する言動が変わってきた。

C「みんながまだ仕事しているのに、先生だけ定時に上がるのはどうなの?」
C「仕事中に関係ないサイトや本を見る時間が長すぎるんじゃない?」
私「う、それはまあそうなんですが。気をつけます」

そしてついにそのときはきた……。
C「ねえ、このサプリメント、そのまんま東が宣伝しているんだけど、写真でも見たらフサフサになってたよ。先生も試してみたら?」

正直、自分自身で薄毛が気にならないわけではなかった。
しかしこのサプリについて調べていくと、必ずしもいい評判だけではなかった。

しかもCが見せてくれた動画のそのまんま東は、「このくらいフサフサになればいい」という本人の願望を表現したイメージ写真だったのだ。

どうせお金を払うのならと思い、私はAGA治療のクリニックの門を叩くことを心に決めた。
人からいわれる言葉は、真実に近いほど心に突き刺さる。
薄毛についてはこれまでにも気づいてはいたが、あまり気にしないようにしてきた。

Cとのコミュニケーションがある程度確立した今、その指摘は胸に刺さったナイフのように鋭く、私の内面を突き刺すような痛みをもたらすものとなった。

その痛みと流れる血の生温かさは、人と関わることによって初めて得られるのだと気づいた。

痛みとその血を見るとき、CからドSな言葉が発せられるとき、なぜかネガティブな感情だけでなく、心地よさを感じるのだ。

え? 私、もしかしたらM?
ダイエットしてから服のサイズはMになったけど、そっちまでMということ?

眠れない夜にそのような夢を見るようになったのは、人と関わることによってわかる温かさや
傷つきやすさという感情を脳が整理しているからかもしれない。

そして私のM性もまた、開花してしまったのかもしれない。

ちなみに、TSUTAYAが改装されて以降、Cとはそこに行くことはなかった。

AGA治療の成果が目に見えてくるまでには、約一年かかるらしい。

注1)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%85%85
最終アクセス日 2016年12月25日。

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2016-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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