メディアグランプリ

人はいつから演歌が好きになるのか、っていう昔からの疑問を定点観測的に考えてみたっ、ていう話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:桜井なな(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
昔から疑問に思っていることがある。
人はいつから、演歌が好きになるのか。
人はいつから、ゲートボールが楽しくなるのか。
人はいつから、「今時の若いやつは」って言い始めるのか。
今挙げたのはもちろん一例なんだけど、要は、なぜ人は今の気持ちを忘れてしまうのか、ということ。
だって、30年前はきっと「演歌はださい」とか「私はあんな風にはならない」とか思っていたはずなんだよね。
もちろん、演歌やゲートボールが悪いとか若い人のやるものじゃない、とか
言ってるんじゃないよ。
それらが好きな若い人もいるしね。
ものはなんだっていいんだけども、たとえば箸が転がっても笑っていた人がいつの間にかバスの中の女子高生に「うるさい」って怒鳴ったりするわけで。
私も含め、みんな「花も恥じらうお年頃」があったはずなのに、そして、あんなおばさんにはなりたくない、と思っていたはずなのに、何事もなかったかのように、数十年後にはそういうおばさんになっていたりする……
そのことについて、10代のころから不思議に思っていて、人生の時々でそのことを考え、ああはなりたくない、と思ってきた。
四半世紀が経過し、バスの中で若い子に怒鳴るようなおばさんにはなっていない自負はあるけど、とはいえついつい「最近の若い子は」って言いそうになる自分はいる。
言わないまでも思ってはいる(笑)
 
「今のこの気持ちを忘れたくない」って思っていた10代のころのことを、そのこと自体は昨日のことのように覚えているのに、なぜか、「忘れたくない」はずだった「この気持ち」は見事に忘れてしまっているじゃないか。
「あなたも私くらいの年になったらわかるわよ」と大先輩に言われて
何言ってんだおばさん、とか
別にわかりたくないわ、とか
腹の中で悪態ついてたけど、今となっては同じセリフを吐いていたりするから恐ろしい。
いや、それが人の成長? というもので、恐ろしいことでもなんでもないのだろうか。
そうなのかもしれない。
でも、なんか切ない、と思うのは私だけだろうか。
そういえば、今の気持ちを忘れてしまう、という話で言えば、恋愛や結婚のシーンでもよくあることだと思う。
「一生そばにいてね」
「一生大事にするよ」
と誓い合ったカップルのうち、いかに多くが離婚の道を選んでいることか。
厚生労働省の「人口動態統計(確定数)の概況(2021年)」によれば
2021年の婚姻件数は501,138件
2021年の離婚件数は184,384件
なんだそう。
単純計算はできないと思うけど、3組に1組が離婚しているのかな。
最後は罵りあって別れる人たちも多いようで。
かくいう私もいわゆるバツイチなんだけど、円満離婚とはいえ、
結婚する時の気持ちが変わってしまったことは否めない。
恋愛で人の気持ちが変わってしまうことは、誰しも経験しているだろう。
心変わりを責める人も中にはいるだろうけど、でも初めての恋愛でそのまま結婚する人、もっと言えばそのまま添い遂げる人はごく稀だろうから、人の気持ちは変わるってことは、みんなわかってる(暗黙の了解)ってことだよね。
そしてやっぱり、恋愛の場面だって多くの場合、気持ちが変わってしまうことは、理解はできても、切ないことが多いよね。
そうか。
人の気持ちが変わるのは、「成長」といえば言えなくもないけど、それよりももっと根源的というか原始的というか、そもそも「そういうもの」ってことなんじゃないのかな。
(脳科学とか心理学とか? 難しいことはわからないけどさ)
むしろ、変わらなかったら怖いかもしれない。
 
結婚生活が続いている人たちだって、「ずっと好きだよ」と言った新婚の頃の気持ちとは、違う形での「好き」に変化して続いているのだろうから。
「ずっと変わらないよ」と誓った恋でさえ、ああはなりたくない、と強く思っていてさえ、人の気持ちは変わる。忘れる。
怖いことで、悪いことでも、悲しいことでもないんだろう。
それでいいのだ。それが、いいのだ。
むしろそうやって、「切ない」とか「悲しい」とか、感情に名前を付けることでもないってことかもしれない。
私だって、いったい何回「あなたじゃないとダメなの」って言ったよ? (恥)
そう思える男性に出会って、そういうセリフが言える恋をできたことは幸せだったと今でも思ってるけど、「あなたじゃないとダメ」なわけではなかったな(笑)。
今となっては。
人の気持ちは変わる。
今の気持ちを忘れてしまう。
そのことを「それが大人になるってことだよ」の一言で片づけたくないと
10代の私は思っていた。
それに抗いながら、疑問を持ちながら生きていきたいと、思っていたんだった。
四半世紀経ってこういうことを書いてるんだから、そこについては、10代の気持ちを持ち続けたと言えるかもしれない。
THE BLUE HEARTSを聴きながら、銀色夏生を読みながら、「今のこの気持ちをずっと忘れたくない」って思ってた10代の自分。
忘れちゃったこともたくさんあるし、失くしちゃったものもたくさんあるけど、きっとまだまだ続く人生の途中で、こういう気付きを記せることに感謝しよう。
2023年8月の自分の備忘録として。
読んでくださり、ありがとうございます。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事