単調でつまらないと思っていた主婦業が「クリエイティブな仕事」と思えた時
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記事:なつなつ(ライティング・ゼミ10月コース)
「毎日同じことの繰り返しでつまらない!」
36歳で結婚して、専業主婦になった私は思っていた。
大学を卒業してから外資系金融機関、アパレル、広告代理店と華やかな世界を渡り歩き、「24時間戦えますか」な勢いで働いてきた。
それでもどこかで周りの友人のように結婚して子どもが欲しいと思っていた。
そして、36歳と随分遅れはとったが、念願の結婚。
しばらく家事と仕事の両立を試みたが、毎晩タクシー帰りの私は早朝に出勤する夫と会話もなく過ごすことが嫌になり退職した。
そうやって始まった専業主婦生活。
食事を作って、洗濯と掃除をしたら午後はまるっと空いて暇を持て余す毎日。
食事、洗濯、掃除、買い物、食事の終わりが見えないループだ。
しかも、最初は私の料理を「おいしい」とか言ってくれていた夫も、だんだん反応を示さなくなり、更につまらなくなった。
習い事をしたり、定時で終わる仕事についたりして時間を埋めながらも仕方なくやっていた主婦業。
39歳で出産した後は、高齢出産で体力がなくヘロヘロになりながら元気な男の子を育てる中で、主婦業は「極力やりたくないもの」になっていった。
片づけた先から散らかり、息子のイヤイヤにつきあっていたら食事を作る時間がなくなる。
床は拭いても拭いてもベトベトで、食事を作っても嫌いな物はぺっと吐き出されてしまう。
自分の仕事の成果が見えないってこんなに辛いものかと思った。
転機は息子が3歳の時にやってきた。
片づけが苦手だった私は息子と出かける前に、着替えや必要な書類など、あれがない、これがないと探し物から始まり、約束の時間に間に合わないと毎回イライラしていた。
そして、息子が牛乳をひっくり返したり、私が準備した洋服を着たがらなかったりすると「いいかげんにして!」と怒鳴っていた。
幼いわが子相手に何をやってるんだろう。
ふと我に返り、先ずは探し物のストレスをなくそうと思い立ち、本を読みながら片づけを始めた。
途中から片づけを学ぶためにライフオーガナイザーという資格を取得する講座にも参加した。
そこでは片づけは「どんな暮らしをしたいか、どんな人生を歩みたいか、そのために物を選び取る作業」と教わった。
更に時間の片づけ(タイムマネージメント)や、お金の片づけ(家計管理)も学んだ。
それらはすべて広告代理店時代に私がプロデューサーとしてやっていた事と同じだったのだ。
プロデューサーの仕事はプロジェクトの肝となるものは何かを見極め、どこにお金と時間をかけて、どこは簡素化するのか、予算内で効率良く制作を進めるのが大切な役割。
主婦業は家族でどんな暮らしがしたいのか、何を大切にしたいのかを見極めて、大切なことに時間を費やせるように調整したり、お金を使えるよう家計管理をしたりする仕事だと気付いた。
それまでは、ただやらなければならない事をこなすだけで時間が過ぎ、あまり目的もなく節約をして、達成感を感じられずにいた。
家族の理想の暮らしをプロデュースすると気持ちを切り替えて、目的が明確になった瞬間に主婦業はクリエイティブな作業だと思えるようになった。
片づけは家族が探し物に時間を取られず、大切なことに時間をさけるように環境を整える作業だし、家族それぞれがパフォーマンスを発揮するために、寛いで疲れを取る環境作りだと思えるようになった。
食事作りも、プロデューサー時代に現場で少しでもみんなに美味しい物を食べて英気を養ってもらおうとお弁当を手配していたのと同じで、家族のお腹だけでなく、心を満たすための仕事となった。
あまりにも大変で「お母さん辞めたい」とまで思った子育ては人材育成だと思い、コーチングを学んだことでとっても楽になった。
今では思春期真っただ中の中学生の息子との関係も良好である。
チームメンバーが心地よく過ごせるように環境を整えたり、相談に乗ったり、裏方としてサポートするのはプロデューサーの仕事も主婦業も同じだ。
そういえば、プロデューサー時代もスタッフから「お母さん」と呼ばれていたっけ。
同じ主婦業でも「単調な苦行だ」と思って行うのと「クリエイティブな仕事だ」と思って行うのとでは全く違う。見方を変えるだけで取り組み方が変わってくる。
過去の私は周りのママ友がテキパキと主婦業をこなしているのをみてダメな自分を責めて、更に嫌になるという負のスパイラルにハマって雑な仕事をしていた。
今では、手をかけるところと手抜きするところを見極められるようになったし、自分で色々と工夫して試行錯誤しながら随分と楽しめるようになった。
「単調でつまらない」「自分は向いていないのではないか」と思っていることがあったら一度、色々な角度からそれを見つめ直して欲しい。
捉え方を変えただけで、楽しめるようになるかも知れないから。
***
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