メディアグランプリ

お金にならないアルバイトの勧め


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:比嘉ケイン(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
誰も読んでくれなそうなタイトルをつけてしまいました。
「それってただのボランティアじゃん」という声が聞こえた気がします。
 
確かに「お金にならない」は言いすぎました。すみません。
「アルバイトを選ぶのに、時給だけで決めないでください」がより正確ですね。
今からタイトル直してもいいですか?
……ダメですか。
ではタイトルの代わりに気を取り直して、なぜお金にならないアルバイトを勧めるか、説明していきましょう。
 
あ、申し遅れました。
私は専門職に就いている50代男性です。
仕事柄学生が実習に来たり、高校生が「大学に合格しました」と報告に来てくれることがあり、
その時に「お金にならないアルバイトをしてね」と勧めています。
その一言に込めた思いを書き連ねることにしました。
 
さて、アルバイト。
確かにお金を稼ぐ手段の一つですし、唯一の手段である人もいるでしょう。
時給が良いに越したことはありません。
ですが、アルバイトで得られるのはお金だけではありません。
曲がりなりにも自分自身の大切な労働力と大切な時間を割くのです。
単にお金をもらうためと思ってしまうのは勿体ないです。
 
アルバイトを3つの「場」として捉えてみましょう。
 
1つ目は、これまでとは別軸での評価をされる場
2つ目は、家族や友人とは違う人間模様を知る場
3つ目は、自分の向き不向き、本質がわかる場
 
1つ目、「これまでとは別軸での評価をされる場」という話をします。
私の初めてのアルバイトは居酒屋でした。
バブル絶頂期、金曜夜の日本橋の喧騒は凄まじかったです。
ビールや料理を運んでは下げ運んでは下げ、合間にとった注文を厨房に向かって大声で叫び、そのまま食器を洗う。料理ができたらテーブルに運んだら「頼んだのと違う!」とお客さんに怒鳴られたり、お笑いのコントのようにビールをこぼして、お客さんと先輩に平謝りをしたことも何度もあります。
怒涛のアルバイトを1ヶ月して、いただいた給料は1万円強でした。
 
それまで自分が生きてきた世界では、テストの点数とか、スポーツや音楽の成績が「自分の評価」でした。
すでにその評価軸からは落ちこぼれていましたし、初めてのことばかりでアルバイト自体は本当にキツかったのですが、
学校の成績とは全く違って、「あなたにアルバイト代を支払う価値はあるの?」というシビアな評価をされることが心地良くもありました。
ある意味別のスタートラインが用意されていたような印象を抱いたのとともに、
そもそも仕事ってそういうものなのだと気付きました。
実際自分が仕事をし始めてみると、「それって今の仕事に関係ある?」というような、過去の栄光にしがみついている人もいました。
アルバイトは「今まで頑張ってきたこととは違うけれど、新しい場所では別の頑張り方が必要なんだ」ということに気付くきっかけになりました。
 
2つ目は「家族や友人とは違う人間模様を知る場」です。
運送のアルバイトをしたことがあります。
知らないおじさん(主任)のトラックの助手席に乗って行った先は集荷センターでした。
トラックに荷物を詰め込み、別の場所へ移動してから荷物を下ろします。
冷蔵庫や作業台などの重たい荷物を持たなくてはならないこともありましたし、
事務所の引越しで段ボールを運んだら「今日はおしまい」となったこともありました。
作業自体にその日その日の当たり外れがあることを知ったのと同時に、
主任にも当たり外れがあることを知りました。
 
ある主任はこまめに休憩を取らせてくれたり、ジュースを奢ってくれたり、
お客さんがくれた御祝儀を分けてくれたりしました。
別の主任は、アルバイトに動きを指示するだけで自分はトラックの横でタバコを吸っているだけ。
もちろんご祝儀を分けたりジュースを奢ってくれることはありません。
ここまであからさまな振る舞いをする人に、それまで出会ったことがありませんでした。
 
同じ時間と労力を使って働くのであれば、自分はもちろん、他の人にも楽しく働いてもらいたいと思うようになりました。
 
3つ目は「自分の向き不向き、本質がわかる場」です。
ファストフードでアルバイトをしました。
レジで注文を受けたら、すぐ後ろにあるジュースのスイッチを押して、ポテトをフライヤーに放り込み、
そのままグリドルにバンズとパティを挟みタイマーをかける。
さっきのジュースに蓋をしてお客さんのところへ運び、使い終わったトレイを下げながら厨房に戻る。
パティをひっくり返すタイミングを見計らいながら次のお客さんの注文を取る。
 
今で言うマルチタスクですよね。
混雑した時は激務でしたが、その激務を効率良くこなしていくことが面白かったのです。
 
自分はこのようなマルチタスクをこなすことが好きで、意外に得意だということがわかりました。
今の仕事に直接つながるわけではありませんが、忙しい時こそ冷静にこなす癖はついたかもしれません。
 
そして最後に残念な話です。
そのファストフード店ですが、元々大好きなお店で元々は客として通っていて、好きが嵩じてアルバイトに入りました。
バイトの人達も和気藹々としていて、とても楽しかったのですが、
でもある時、無断欠勤してしまったのを最後に行かなくなりました。
今となっては無断欠勤のきっかけは思い出せません。
でも「無断で辞めた」ということは覚えています。
自分の振る舞いで大切な場所を失ったことは一生忘れられません。
 
たぶん逃げずに謝れば、許してもらえたのだと思います。
きちんと謝る、ということができなかった結果です。
 
自分が卑怯な振る舞いをしそうになった時に思い出す苦しい経験です。
 
「お金にならないアルバイトの勧め」いかがでしたでしょうか。
アルバイトで稼いだお金はもうとっくに使い果たしてしまいましたが、
そこでの経験は私の血肉になっています。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2024-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事