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積読を続ければ、ワクワクした人生を送ることができる


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記事:牛丸ショーヌ(ライティング・ゼミ)

 

「積読(つんどく)」という言葉をご存じだろうか?

本を読む人は当たり前のように知っていて、ときには会話の中でたびたび使用する言葉であるが、読書を習慣としてないものにとっては聞き慣れない言葉かもしれない。

 

正確には「本を読む」ことと、「積んでおく」ことを掛けた駄洒落の発想から生まれた俗語であり、一説によると明治時代から使われている伝統ある言葉らしい。

 

「積読」とは「読む」ことを積む、つまり読むのを後まわしにすることであって、本が積みあがった「状態」のみを言い表す言葉であれば「積本(つみぼん)」と言うべきだと個人的には思うが、今ではひっくるめて「積読」というのが一般的になっている。

 

どういうシーンでこの言葉が使われるのか?

頻度の高い会話の例文を2つほど紹介する。

「積読」という言葉を実生活の会話の中で聞いたとき、真相心理が分かるかもしれない。

 

「はいはい、それね。買ったけど、積読状態だわぁ」

「あ、いまそれは(忙しくて)積読になっているんです」

 

解説すると、「本は購入し、読もうという気はある又はあった。しかし、読んでいない。これを機会に読んでみよう又は買っただけで満足なので読む気はこれからもさらさらない」

 

本を読む人にとっては「積読」とは、ある意味、一種の「誇り」である。

本をたくさん持っている。

本をたくさん読もうという気概はある。

本をたくさん持っていることをアピールすれば、知的に見られる。

 

しかし、忘れてはいけないのは「積読」という言葉は、本を読んでいないことに対する自分への「言い訳」にしか使われていないということだ。

「積読」の状態があたかもイケてるという錯覚さえ起こすのだ。

かく言う私も積読状態にプライドを持ち、「おれってイケてるでしょ」と大錯覚を起こしている一人であり、世の中にあまたあふれる「積読家」だ。

自分で言うのも恐縮してしまうが、積読家の中でも「一流」と言っていいほどだ。

正直、他人様の積読状況を調査したことも、聞いたこともないので自分がどれほどのレベルなのかを知るすべはない。

 

例えば50冊ほど積読していることを自分自身で把握していれば、分かりやすかったのかもしれない。

私の場合は、すでに把握することは不可能な状態に陥ってしまっている。

「何冊か」を数えてくれる奇特な方がいらっしゃれば、バイト代を払ってでもお願いしたいところである。

ちなみに私の積読本の中でも、この1,2週間で読みたい又は読もうと決めて積みあげた一角があるのだが、これを機会にと必死で数えてみると114冊あった。

漫画の割合が多いが、人によっては数週間ではなく、これはもはや1年間の冊数レベルだ。

 

私の積読状況を知っていただくためにエピソードを紹介したい。

自宅の本だけを収納している部屋(もはや書庫となり果てている)にはいつくもの本の山がある。我が家ではこれを「山脈」と呼んでいる。

本が高く積みあがっているだけならば「山」でいい。

その山が連続的に伸びているため、正確に言い表すには「山脈」になってしまうのだ。

 

ただし、我が家の山脈は数年で出来上がったわけではない。

これには歴史が存在する。

私は社会人になってから現在までに転勤5回で、引越しを7回経験している。

本を多く所有するものにとって苦労するのは引越し時の「本詰め」である。

今までは苦労しながらも何とかやり遂げてきた。

 

引越しが決まったあとで、最初に必ず業者が見積もりをするために自宅にやってくる。

私は必ず書庫をじっくり見せたうえで、「想像以上に本がありますから、段ボールは多めにお願いしますね」と念を押しておくのだ。

引越しを繰り返すたびに当然のこと、本は増えていく。

たまに、保存するに値しない本や漫画を売りにだすこともあるが、増える分と減る分を相殺すると確実に増えているのは明々白々。

本の山は確実に高くなっているのだ。

 

地球の表面は時の経過とともに少しずつ横に動いている。

表面はパズルのようにさまざまな方向に動くのだ。

そして、パズルのピース同士はぶつかり、どちらかが沈下して、かたちが変形する。

両方向から強い圧力を受けた地面は皺(しわ)が寄って盛り上がるのだ。

これが山になり、連なると山脈になる。

私の本の山は新たに発生し、少しずつ積み上がり、確実に巨大な山脈へとなっていく。

引越しの7回目のときなどは、本の山脈を眺めていると、「八ケ岳」を想起させるほどのものになっていた。

 

引越し当日は大抵が本を段ボールに詰めている途中で、段ボールが足りなくなってしまうのがもはやお決まりのパターンになっていた。

 

引越し業者が携帯電話で営業所か、近くの同僚に連絡をとるシーンをよく見た。

「あ、いま○○の牛丸様宅だけど、段ボールがまるで足らないから20くらい持ってきてくれる?」

 

そうして、いま現在の自宅に至る。

この家では当初、本棚に並べたもの以外の本を億劫で床にそのまま放置していたら、見かねた妻が整頓をしてくれたことがあった。

仕事から帰宅すると、そこには美しい山脈がそびえ立っていたのだ。

これを見たとき、私は山脈もときには磨けば美しくなるのだと感心した。

 

現在の福岡の自宅では熊本地震も経験した。

東日本大震災のときには、千葉で震度6を受けたが、低い山々の山脈だったので、惨事にはならなかった。

しかし熊本地震では、山の高さが身長175センチの私の背丈以上だったため、本が至るところに散乱し軽い惨事となり、修復に時間を要してしまった。

 

妻からは「本が崩れて下敷きになったら死ぬかもしれない。頼むから人の背丈以上にはしないでほしい」と懇願されたため、それ以来、目線以上の高さにはしないように努めている。

 

このように私自身は一流の「積読家」を気取っているが、声を大にして言いたいのは「積読」は何の自慢にもならないということだ。

妻は言う。

「読めないのに、なぜ買うの?」

全くの正論で、反論の余地なし。

「本は一期一会だから……」

「そこに本があるから……」

などと格好よいセリフを吐いてドヤ顔を決めたいところだが、無理がある。

 

そこで、私は「積読」を正当化するための、いや本音で「確信」していることを想い出し、それをここ数年ではあたかも真っ当な言い訳として使うことにしている。

 

それは、「積読をすることで、ワクワクした人生を送ることができる」ということだ。

 

なぜ、ワクワクした人生になるのか?

それには私が徹底している1つのルールが関係している。

 

そのルールとは「積読」で本を積み上げるときに、必ず「タイトル」が見えるように積んでいくということだ。

積読家にとっては当たり前のことかもしれない。

しかし、積読家歴が永くなるとタイトルが見えるように積み上げることさえ、億劫になってしまう。

それがどんどんと積みあがると、もはや収拾がつかなくなっていくのだ。

しかし、このルールを守って徹底していけば、素晴らしい作用をもたらしてくれると確信している。

 

それは、未読でも積んでいる本のタイトルを見る(読む)ことで、「自分の思考、趣味嗜好を確認することができる」というものだ。

 

人が本を買うときのきっかけはさまざまである。

誰かから薦められたから。

本屋に寄ってみたら面白そうだったから。

お気に入りの作家だから。

 

積読家たちは何らかの理由で買ってきた本を積み上げていくことになるが、往々にして特段の「熱き衝動」無しで本を買ってしまうことが多々ある。

本好きが本を買うときの心理状態は、喉が渇いたから自販機で飲み物を買うくらいの気持ちなのだ。

 

そして数週間、数カ月が経過すると、自分がなぜこの本を購入したかはもちろんのこと、何の本を購入したかすら忘れてしまうことがある。

同じ本(すでに所有している本)を買ってしまうのもこれが原因だ。

 

しかし、「タイトル」が見えるように積むことで、同じ本を買うことの防止になるのはもちろんのこと、「過去に自分が考えたこと、興味があったこと」を想い出させてくれる役割を果たしてくれるのだ。

最近の新書やビジネス、自己啓発本は特にタイトルが秀逸であり、タイトルが内容の全てを現していることが多い。

タイトルを読むだけで「ひらめき、気づき」を得ることがあるのだ。

 

本来の「本」は読むために存在する。

「本」たちにとっても手に取り、読んでもらうことが本望だろう。

だけど、そう上手くはいかない。

次から次へと面白そうな本たちは店頭に並ぶ。

時間という制約の中で、限られた読書時間しか確保できない私たちは読む本の取捨選択を迫られる。

 

これでは読まれなかった本たちがあまりにもかわいそうだ。

いつ読まれるか不安に苛まれながら、彼女たち(本)は山のように積まれて眠るのだ。

ならば、積み上がった彼女たちにも活躍の場を与えてあげたい。

こうして私の積読家としての壮大な「言い訳」の論理は完成した。

 

先日、第156回直木賞の受賞が恩田陸氏に決まったという発表があった。

恩田氏といえばこれまでの代表作は「夜のピクニック」であろう。

当然のことながら、私は持っている。

だが……読んではいない。

2006年に文庫で発売されたものを手に入れて10年以上、積読状態にある。

しかし、このニュースがきっかけで所有していることを想い出し、読んでみようという気持ちになったのは事実だった。

これには我が家の山脈から見つけることができたらという条件付きにはなるが……。

(10年前に登った山で右の手袋を落としたとして、今年その山をもう一度登るときに失くした手袋が見つかるのかという状況に等しい)

 

「本」は本来、そういう読み方でよいはずだ。

新しいから、古いからは問題ではない。

今が読む時だと感じたときに読めばいい。

今を生きる作家が書いたもの、歴史に名を残す文豪たちが書いたもの。

どちらからでも、学ぶことは多すぎるくらいにある。

きっかけが重要なのだ。

 

私には読んでいない数多くの本たちが待っている。

彼女たち(本)は、「次はわたしの番よ!」と順番待ちをしているのだ。

彼女たちを開放して、楽してあげる使命が私にはある。

積まれた本の数だけ「学び」があり、得られる「知識」が眠っている。

そう考えるだけでワクワクしてくる。

「積読」がなければ、この気持ちにはならない。

「積読」を続けるからこそ、このワクワクした気持ちが持続するのだ。

 

いつの日か積読本がなくなることを夢みていた。

地球温暖化が気温上昇を引き起こし、氷山が徐々に溶けていくように本の山脈が少しずつ少しずつ低くなっていく。

そういう日が来ることを願っていた。

 

しかし、今はそう思わない。

自信をもってはっきりと断言できる。

「積読」を続けることで、ずっとワクワクした人生を送ることができる。

「積読」を解消する必要なんて全くないのだ。

 

次は何を読もうか?

出張にどの本を持って行こうか?

あの人にどの本を薦めようか?

ワクワクした気持ちはこれからもずっと継続する。

 

私の彼女たち(本)は読まれては、また増えていく。

終わることのない永遠のイタチごっこに等しい。

私は本が好きだ

あの愛おしい紙の匂い。

そして、本を読むことはもっと好きだ。

私の人生が終わるとき、まだ読んでいない本がきっとあるだろう。

その読んでいない本を、あの世まで持っていきたいほどに愛している。

この先の人生も「積読」という山を崩すことなく、ワクワクした気持ちで生きていくのだ。

 

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2017-01-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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