金払って毎週2000字書く苦行をやめた日々
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村人F (ライティング実践教室)
なぜ高い金を払って毎週2000字を書く苦行を2年以上続けていたのだろう。
天狼院書店のライティング・ゼミの連続受講をやめた僕は心から思った。
これはいわゆる文章講座なのだが毎週2000字、原稿用紙5枚分の文章を課題として提出しなければならない。
つまり続けている間、ずっと脳裏によぎり続けることになる。
結構辛かった。
文章を書くこと自体は1時間程度で終わるからまだいい。
最初の頃の4時間からはだいぶ改善されているわけだから。
ただそれ以外にも色々とかかるわけである。
書き終わった後の推敲は毎回30分くらいかかるし、なにより日頃からネタを考え続けなければいけない。
2000字に相当するような話はちゃんと準備しないと見つからないのである。
だから日々をそういう目線で過ごさなければならない。
そのうえ締め切りに常に追われ続けることになるし、出した後も先生のフィードバックで合格を貰えるか待つというストレスに晒される。
これは本当によくない。
毎度毎度、心臓が壊れそうになる。
そのため2年以上、惰性で続けていたがいつか辞めてやろうとずっと思っていた。
そして半年前に年間契約が切れたので思い切って辞めてやったのである。
それからの日々は実に清々しいものだった。
なにせ毎週襲いかかってきた重しから解放されたのだ。
もうキーボードを叩きまくって2000字をひねり出す必要もない。
プライベートの時間なのに締め切りに追われることもない。
なにより先生から叱られないか怯えるストレスもない。
なんて素晴らしいことだろう。
終わってから最初の2ヶ月は本当に晴れやかな気分だった。
大金払って文章講座を受けていた日々が馬鹿らしくなるくらいに。
ゲームだっていくらでもできるし、最近始めた作曲の時間も取れる。
しかもライティングに取られていた脳のリソースがなくなったのだから余裕だ。
きっとこれからますます活動的になるに違いない。
こういう想像していた生活になっていないことに気がついたのはやめてから3ヶ月過ぎたあたりだった。
休日に無気力となる日が多くなったのだ。
別に仕事が忙しいわけでない。残業も特にしていないから。
それなのになぜかずっとベットで寝ながら無意味に時間を過ごすことが多くなった。
やりたいことはあるはずだった。
ただ、やる気が出なかった。
数万円も払って買った作曲ツールも放置していた。
ゲームに至っては文章講座をやっているときは休日に余裕で10時間はプレイできていたのに3時間が限界、なんなら起動すらしないことも多かった。
暇だったはずなのに、とにかくやる気が起きなかった。
燃え尽き症候群とでもいうのだろうか。
鬱屈した日々が、毎週2000字を書く苦行をやめた先に現れたのである。
ならばライティング・ゼミに復帰すればいい。
そう思ったがやる気スイッチがOFFで固く止まっているため今更動かすことができない。
先人たちの言うことは正しかった。
一度やめたら再開するのは難しい。
僕は、こうして自由になった時間を言いようのないモヤモヤに包まれたまま過ごしていた。
だが、また書き始めている。
なぜか。
限界だったからだ。
頭の中でグルグルする思いを発散することができない状況に。
一応、無気力ながら色々なことを考えていたのである。
作曲講座の先生から聞いた全人類に届けたい金言。
毎週のように言っている飲み屋で周りのオッチャンたちから褒められ叱られ色々あったこと。
なぜか33歳の僕が女子大生の就活サポートをメチャクチャこまめにしている状況。
何もやる気がなかった日々だが、書いてみると結構ぶっ飛んだエピソードがいっぱいあったのである。
以前なら、こういうのを文章講座の課題でぶち撒けていた。
しかし、その捌け口がない。
それがとても苦痛になったのだ。
締め切りのない自由な日々を捨ててもいいと思うほどに。
そして今、この文章を書いている。
なるほど、これが『ライティング・ゼミ』の真価かと思った。
日々の潤いがまるで違うのである。
次の月曜日までに2000字の文章を書かないといけないから、そういうネタをひねり出そうというフィルターをかけながら世界を見渡すことになるためだ。
すると無気力なんかではいられないのである。
殺気というべきか、真剣に人生を生きようという気迫が出てくる。
実際、復帰を決めただけなのに心のギアが2、3段階は上がったほどだ。
ああ、これが締め切りの効果か。
毎週2000字を書けと言われる苦行のご褒美か。
この快感は、2年間続けたゼミを辞めたから気づけたことでもある。
やはり僕は、アマチュアながら書き続けないとちゃんと生きられないようだ。
文章に記すことで何もないと思っていた日々が刺激に満ち溢れていることに気づける。
これこそが『ライティング・ゼミ』の真価なのだ。
来週は何を書こうか。
飲み屋のオッチャンに「本で感想文を書かないなんてクソだぞ」と説教されたから出してやろうか。
それとも最近買った高級ヘッドホンでハイレゾと普通の音源を比べまくって超細かい違いに気づいた感動を語ろうか。
なにせ半年間も発表する場所がなかったわけだ。
もう限界といえるくらいネタは溜まっている。
これらを苦行だと笑いながら記し、活気に満ちた日々を再び過ごしていこう。
***
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