三日坊主は、これからの必須スキル
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:あわづりつこ(ライティング・ゼミ)
もうずっと前から、たぶん小学校に上がった頃から私を悩ませ続けてきた病気がある。そう、これはもう病気と言っていい。どんなに気をつけてもなってしまう。そうならないためにいろいろ策を講じても、ある朝気づいたら、「なって」しまっている自分を発見し、凹みまくるあの瞬間。
木曜にやってきたり、月初の4日に発見されたりすることが多いそれは、「三日坊主」と呼ばれる。
私は筋金入りの三日坊主だ。もう三日坊主のプロと言ってもいい。
今まで途中でやめてしまったものは数えきれない。三日坊主あるある、定番中の定番、誰もが思いつく鉄板の早起きに始まり、日記、毎日のトイレ掃除、勉強机をいつもきれいに片づけておく、次の日着ていく服を揃えてから寝る、計算ドリルを毎日3ページづつやる、など。などなど。数え始めると、忘れていたものまで記憶の淵から浮かんできて、自己嫌悪の沼で溺れそうだ。
何かを始めるたびに、今度こそはと決意を新たにする。中学の時に某有名通信講座をやりたいと親に頼んだ時もそうだった。「大丈夫、今度こそ毎日やるから。添削も毎月出すし、テキストは毎日少しずつやるから。ぜったいに。約束する」。泣き落とし寸前でようやく申し込んでもらった通信講座。教材が届いた時は嬉しくて、勢いこんでさっそく封を開け、毎日何ページずつやれば1ヶ月で終われるかページ数を計算してカレンダーに書き込み、そのまま1日目の分に取り掛かる。たったの3ページなんて、軽い軽い。明日も大丈夫。2日目、3日目と順調にこなしていった翌日、4日目。
「たった3ページなんだから明日まとめてやっても大丈夫。今日は塾だしまあいいや」。その日のノルマを翌日に回してしまった。そのあとは想像に難くない。2日分も3日分も同じこと、3日分も4日分も変わらない。土曜日にまとめてやればいいや。と翌日へのツケ回しが積み重なっていく。気が付いたら3ヶ月、4ヶ月、半年と溜まり、1年後にそれ見たことかとカミナリが落ち、更新のお金は払ってもらえず終わりとなった。
そんなことがしょっちゅう起こった。毎日のいろんな場面で起こった。どうしてだろう? なぜああなってしまうのか? あんなにはじめはモリモリとやる気に溢れ、楽しくノリノリの気分でスタートしたのに、三日やり終えていけそうだと気が緩むのを見透かしたように顔を出す「まあいいや」という悪魔の囁き。三日続いたのだから四日目も続けるは簡単だと世間では言われるが、私にとってはその四日目こそが最大のハードルだった。そして判で押したように四日目の夜眠る前に心を覆うどんよりした気持ち。まさしく典型的な自己嫌悪。どうして私はこんなに物事を続けられないんだろう、ダメだ。いつまでたっても成長しない。おもちゃを放り出す子供のままだ。
大人になってもそれは変わらず、スキルアップのための朝のラジオ講座や、体力づくりのための縄跳びにウォーキング、お風呂上がりのボディマッサージ、と三日坊主リストは延々と伸び続けた。もう何かを続けて習慣化すること自体が、自分には無理なのだと諦めかけた頃だった。
未来を変える読書法を身につける、という読書ゼミに参加した時のことだ。画期的な考え方に出会った。「読書の時間が取れなくて、三日坊主になっちゃうって、皆さんよく悩まれますね。大丈夫です、三日坊主、上等!」講師は満面の笑みでこう続けた。
「四日目できなくても、五日目からまた始めればいいんです!」
5、6、7日目と三日続いて、8日目にまたサボっても、9日目からまた始めればいいだけ、というのだ。考えてみればちっとも難しいことではない。だけど、四日目に続けられなかった瞬間、やる気は一気にしぼみ、自分で自分にダメ認定を下し、幕を下ろしてばかりだった。途切れてしまったら復活の道はない、などというルールはどこにも書いていないというのに。そんなシンプルなことに気づかないなんて、思い込みって怖いなと思った。バカバカしいが、実際そう言われるまで思いつきもしなかったのだから。ああ、いいこと聞いた。これで明日から気兼ねなく三日坊主できる、またそこから始めればいいだけなんだから……。
新しい三日坊主生活が始まった。時には五日坊主になり、十日坊主になることもあった。伸びたり縮んだり、止まったり進んだり、ゆるい継続、ゆるい習慣が続く。続くには続いているがちょっと物足りなく、習慣と呼ぶには少し気がひける、自動車教習の仮免許のような状態は、かつての三日坊主ほど途絶えてしまった時の苦い思いがない分気が楽ではあるが、リズムや美しさに欠けるような気がしていた。
なんか違う。もっとこうなんか……、スッキリさせてくれるものはないものか?
心の奥底にモヤモヤを抱えたまま、また数ヶ月が経った。そして、ほんのつい10日ほど前、ついに求め続けた福音の光が頭上に射す瞬間がやってきた。福音の光などと大げさな、と笑わないでほしい。三日坊主の定義を、根底から変えることができたのだ。
これからは三日坊主は、自慢の種となる。
「三日で坊主にさえなれる、坊主の修行さえ習得できる」ことを言うのだ。
ちょっと思い出してみてほしい。「三日で仕上げて」というフレーズがいかに日常的に使われていることか。仕事の場でも、プライベートのちょっとした作業でも、三日というのはけっこう切りのいい期限として設定される。20巻ほどのマンガは3日あれば読み切れる。アメリカや韓国の長いシーズンもののドラマシリーズだって、寝ずに見れば3日で最終話までいける。私の友人はA4 200ページに及ぶ自分史を、3日とちょっとで書き上げた。ひとくちに三日と言っても、8時間の睡眠を確保してもなお48時間使えるわけだ。何かことを成すには十分な長さじゃないか。スピードやライブ感が重要になっている現代では、じっくり完成度を高めるよりも、おおよそのところでどんどん出していくことが求められる。そんな現代に合わせて三日坊主も、前提から全てリニューアルするのだ。何かを身につけたり習慣化する期間の目安として「石の上にも三年」と言われてきたが、これを三日まで縮めることとする。
「三日で目処をつけて身につける、仕上げる」
この新しい三日坊主の定義が、長年三日坊主に悩んできた同胞の安らぎと希望とならんことを。
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