緊張して手が震える私を変えた第一歩は「にぎにぎ君」
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記事：izmy（ライティング・ゼミ9月コース）
お願い、お願いだから！ ここではヤメて！！
祈りは通じない。
緊張して手が震え始めた私の、心の叫び。
４人以上に囲まれると……いや、２人っきりでもダメなときはダメ。
プレゼンや評価面談など緊張感のある場面では、たびたび手が震えてしまう。一度震えが始まると、マウスを操作してページを切り替えることもやっと。時にはメモがとれないほど手元がおぼつかない。
会社では中堅どころの年齢になっているのに、上席の前での説明で手が震えるのはなんだか情けないような気がして、伝えたいことは無事伝えられたとしても、「失敗しちゃった」と感じてしまう。
なんとかならないものか……と生成AIに解決方法を聞いてみる。
生成AIは一度に複数の解決案を回答してくれたが、私の心のつぶやきを織り交ぜて、ここでは会話形式でいくつか紹介したい。
生成AI「呼吸を整えてみましょう。ゆっくりと鼻から息を吸い、口からゆっくり吐くという呼吸法です。自律神経を整え、身体全体の緊張をほぐす効果があります」
私「通っているヨガの先生も、気持ちをコントロールするためには、まず呼吸をコントロールしましょう、と話していたな。そもそも緊張しているから落ち着くには時間かかりそうだけど……」
生成AI「事前に練習を重ねてみましょう。繰り返し練習することで自信がつきます。また、実際の環境に近い場所や状況で練習することがさらに効果的です」
私「えー。練習、ぶっちゃけ面倒くさいな。練習すればするほど緊張しそうな気がする」
これまで挙げられた「呼吸」と「事前練習」での対策は、何度も耳にしていた。もう知っているよ、でも、なんかうまくいかないんだよね、と思いながら、次に提案された解決方法に視線をうつす。
生成AI「握力をつけましょう。筋力が備わると、細かな震えに対して、安定性を保つことができ、手の制御がしやすくなります」
私「これは、試しやすい！ ちょっと鍛える期間が必要だけど、努力やマインドコントロールなどの精神気合系ではなく、筋トレという物理的対策なら、続けられそうだ」
緊張に打ち勝つために「経験」を増やし、「マインド」を強くしないといけないと思っていた私にとって、「握力を鍛える」という方法はとても斬新だった。
さっそくネット通販で握力を鍛えるグッズを探した。
ペンチのような形状、ボール型、指にはまるように５つのバネが放射線状に広がっているものなど、形状も強度もさまざまであった。私は握力を鍛えたことがなかったので、強度はソフト（お子様や高齢の方におすすめ、約20LB:9kgと記載されている）を選び、ドーナツ型の太いゴムを握りしめるだけ、というシンプルな使い方のグッズを注文した。
２日後にグッズが届いた。「にぎにぎ君」とニックネームをつけ、外出先の移動中や、テレビを見ている間、寝る前など、１秒ずつ握って緩めてを繰り返す動作を片手１０回ずつ、約２か月行った。
にぎにぎ君でトレーニングを行うと、手のひら全体がぽかぽかと温かくなるのを感じる。また、初めの２週間くらいはギュッと最後まで握ることができなかったが、日を追うごとにドーナツをつぶす感覚を覚えてきた。手のひらの筋肉は確実に育っている。
この頃の私は、仕事でも趣味でも、人前で発表する機会が増えていた。
握力をつけたからといって、度胸がつくわけではない。
自分の出番が近づくと、相変わらずドキドキと緊張する。
大きく鼻から吸って、口からゆっくり吐く。呼吸法も、もちろんやってみる。
手の先がだんだんと冷たくなっていく。にぎにぎ君はそこにはない。それでも、デスクの下など見えない場所でグーパーを繰り返して、にぎにぎ君のトレーニングで感じた手のひらの温かさを思い出す。
大丈夫。まだ、震えていない。を何度も確認しながら。
出番がやってきた。
これまでだったらもうこの時点で手の震えが始まっていた。だが、この日の右手は、パソコンのマウスをしっかりと落ち着いて操作できている。
与えられた所要時間も気にしながら、15分間のPC操作を交えたプレゼンを無事に完遂することができた。
筋肉って、すごい！ 握力が、緊張をカバーしてくれた！
この日は手の震えを抑えることができたため、発表中もプレゼンの内容に意識を向けることができ、自分で自分をコントロールできる感覚はこれかもしれない、と手ごたえを感じた。
そして、悩める人間に新しい提案をしてくれた生成AIにも感謝！
その後も、にぎにぎ君は私の手のひらで伸縮を繰り返している。
私に合ったコンプレックス克服法を見つけたことが嬉しくて、その効果を薄めたくないから、握力トレーニングは続行中である。
そして、もう１つ、変化したことがある。
「さあ、当日と同じ会議室で練習するか！」
１週間後にプレゼンが予定されている。急な仕事が入らない限りは、毎日、本番とできる限り同じ環境で練習をするようになった。
私の身体のほんの一部、手のひらが変わったことで、「面倒くさい」から「もっとベストをつくせるのではないか？！」と私の気持ちも前向きに変化した。
＊＊＊
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