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メディアグランプリ

秘本に手をだせない理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あききち(ライティング・ゼミ)

 
黒い紙に包んである秘密の本。秘本。
はじめて実物を見たのは、ライティング・ゼミの受講初日。レジに並んでいた時だった。真っ黒い紙に包まれ、独特の雰囲気をかもしだしていた。
そして、ライティング・ゼミを受講して一ヶ月。あらたに秘本が発売された。
内容には一言もふれずに、秘本のおすすめが書かれている。
批評を読めば心ひかれずには、いられない。
特に今回は。コミック全五巻。
小説5冊読むのとは違い、なんとかすれば一日で読める。読み終える。天狼院がすすめるのだから、まちがいない。わかっている。
わかっているのだけれど。
どうしても手をのばせない。遠くから、ながめているだけの私。

なぜか。

以前読んだことがあるからかもしれないから?
そうかもしれない。でも、今、私の本棚に全5巻のコミックは、ない。

趣味があわないかもしれないから?
そうかもしれない。私がぜったいに苦手とするのが、ホラーだ。でも、批評を読む限り、ホラーではない(と、思う)ホラーで、号泣はしない。

それだけじゃない。ほんとの理由。
本には賞味期限がある。

賞味期限とは、おいしくたべられる期限のことだ。賞味期限が過ぎたからといって、たべられないわけでは、決して、ない。

本に賞味期限があるなんて、思いもよらなかった。ほんの数年前までは。

気付いたのは、長男が小学校2年生の時だ。
クリスマスプレゼントに、ドラえもんを送ろうと決めた。今は、全集があって、一冊で5巻分入っている。
数あるコミックの中から、長男のファーストコミックをドラえもんにしたのには、わけがある。
何十年とテレビアニメとして親しまれていること。
ブルーナやキティちゃんのように究極のラインで描かれており、とても見やすい絵であること。
ストーリーが短く簡潔で、子どもにもわかりやすいこと。
無限の夢がつまっていること。
そして、何より、日本の文化であるマンガを語るうえで決して外すことのできない作品であること。(もちろん、手塚治虫先生も外せないが、小学2年生にはまだ早いと判断した)
そんなわけで、パソコンでぽちっとクリックして、ドラえもんを購入した。
後日、宅急便で到着。
子どもが寝静まってから、箱を開ける。
パラパラとページをめくる。ちゃんときれいな本が入ってる。よしよし。
パタン。私はドラえもんを横に置いた。

え?

その行動に一番おどろいたのは、自分自身だった。

ありえない!

今でも思い出す、あの日。いとこの家で夢中になって、ドラえもん全巻を読み続けたあの日。いとこの家に着くなり、ドラえもんの前から動かない私に誰も声をかけないし、物音も聞こえないほど何時間も集中して、気付けば夜になっていたあの日。
あれほどまでに好きだったドラえもんを、読まずに横に置いた自分が信じられなかった。
たまにしか読めなかったから好きだったのか?違う。今のドラえもんは私が
読むべき本ではなく、子どもに読んでほしい本にかわっていたのだ。
 もう一度、ページをめくる。

 やっぱり、ダメだ…… 
もう、あのころと同じ熱量で読めない……

ドラえもんは、小学生が読む本なのだ。いや、夢が無限にひろがるあの時代に読むべき本なのだ。タイムマシンやどこでもドアやタケコプター。四次元ポケットからでてくる道具たちも、こどもたちが目を輝かせてみつめるからこそ、よりひかりかがやく道具以上の価値をもつのだ。
現実を知り、夢うちくだかれた大人が読む本では、ない。

そうして、知ったのだ。本には、賞味期限がある、と。

ドラえもんに限らず、その本の本当の価値を味わうことができる時期はあるのだ。それは、小学生かもしれないし、中学生、高校生かもしれない。
もちろん、年を重ねるごとに、何度も読み返すたびに、新しい発見があり、楽しめる本もたくさんある。どうしても手放せず、何十年と本棚にあり続ける本たちが私のそばに、ある。
でも、賞味期限内に出会えたこどもと本はとても幸せだと思う。心の栄養として、一生たくわえられるものだから。

でも。もしかして。
私は賞味期限があるといって、ごまかしているのかもしれない。
秘本を買って、感動できない自分に出会いたくないだけかもしれない、と。

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http://tenro-in.com/hihon/33549

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-03-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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