メディアグランプリ

サーティワンの前を通るだけで僕がニヤニヤする理由


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記事:藤山大輝(ライティングゼミ 日曜コース)

サーティワンアイスクリーム。アメリカ生まれのアイスクリームチェーン店。日本に上陸してから40年以上に渡って人々に愛され続けている。

もちろん、僕も愛好家の一人だ。店の雰囲気的に、自分一人のときは入店を躊躇するが、誰かと一緒にいるときは、かなりの頻度でサーティワンへ行くことを提案する。

ちなみに、いつも食べるのはラムレーズン。なぜラムレーズンなのかというと、子どもの頃に母親から与えられていたサーティワンのアイスは、いつも決まってラムレーズンだったからだ。僕はある程度成長するまで、サーティワンはラムレーズンの店だと思っていた。それと、ラムレーズンに加えて、キャラメルリボンもお気に入りだ。これは完全に過去に付き合っていた彼女の影響である。

こうした変なこだわりがあるのは決して僕だけではない。きっと、サーティワンを愛する人たち一人ひとりに「マイフェイバリットフレーバー(=自分のお気に入りの味)」があるはずだ。

そんなサーティワンには恒例のイベントがある。

年に7回(1月、3月、5月、7月、8月、10月、12月)ある31日と3月1日は、ダブルコーン、タブルカップが、なんと、通常価格の31%OFFになるのだ。

そう、サーティワンの日だ。

要は、いつもよりお得に2つの味を楽しむことができるわけだ。
言い換えるなら「少しのコストで2倍楽しめる」ということだ。

「少しのコストで2倍楽しめる」

僕はこの言葉が大好きだ。なぜなら、この言葉によって僕の人生が完全に変わってしまったからだ。

話は今から約10年前、僕が高校生だったときまで遡る。当時、僕はとにかく冷めていた。将来やりたいことなんて見つからない。学校の行事になんて全然熱くなれない。さらには親元を離れての寮生活だったため、気が休まる場所なんてどこにもない。なんだか全てがどうでもよくなってしまい、僕は見事に冷え切っていた。

そんなある日、クラスで席替えがあった。隣になったのは、帰国子女の女の子。シンガポールからやってきた完全なバイリンガルだった。彼女が英語を流暢に話したり書いたりする姿は圧巻だった。自分が冷え切っていた分、そのインパクトは計り知れないものだった。

そして、なぜそうなったのかは覚えていないのだが、いつの間にか僕は、授業の合間に彼女から英語を教えてもらうようになっていた。

発音の仕方、英文の読み方、その他もろもろ。自分でも信じられないくらい、楽しんでいる僕がそこにいた。

その日もいつもと同じように、僕は英語を教えてもらっていた。彼女が偶然学校に持ってきていた洋書に対して僕が興味を示したときだったと思う。何気なく彼女が言った一言が、今も鮮明に耳に残っている。

「多少のコストはかかるけど、英語ができたら人生を2倍楽しめるよ」

日本語とは違う言葉を使って違う国の人とコミュニケートし、日本語とは違う言葉を使って文章を楽しみ、音楽を味わっている彼女。当時の僕でさえ「自分には見えていないものが彼女には見えている」ということを肌で感じることができた。

「僕もそうなりたいなぁ」

素直にそう思った。

それからはや10年。途中で大きな紆余曲折はあったけれど、去年僕はTOEICで満点を取ることができた。今年は会社から独立できた。今は個人事業主として、幅広い年齢層の人々に、発音の仕方、英文の読み方、その他もろもろを教えることができている。

英語力を身につけることは、決して難攻不落ではない。英語学習には正しい方法があり、それに沿ってコツコツ継続すれば、誰でも英語を使いこなせるようになる。

もちろん、お金、時間、労力などのコストはかかる。けれども、人生100年時代と言われる現代において、それらは「少しのコスト」と表現しても問題ないだろう。

英語ができるようになれば、ネイティブの友人と旅行に行ったり、海外の小説を楽しんだり、自分の専門分野の英語論文を読んだり、海外のサイトでショッピングをしたりなどなど、楽しみの選択肢が飛躍的に多くなる。もっと言えば、英語を勉強すればするほど日本語のすばらしさが分かってくるので、より一層日本に誇りを持てるようになる。

「多少のコストはかかるけど、英語ができたら人生を2倍楽しめる」とは、まさにこういうことなのではないだろうか。

僕は今京都に住んでいる。

よく歩く通りの1つに河原町通りがある。

そして、河原町通りにはサーティワンがある。

店の前を通る度に高校時代の大切な記憶が蘇り、ひとりニヤニヤしながら、勝手に幸せな気持ちになっているのは、ここだけの話である。

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2017-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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