メディアグランプリ

嫌われる覚悟ならできている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《平日コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《平日コース》

記事:伊藤かよこ (ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「あのね、いろいろと、その、言っている人がいるみたいよ」
たまに会う昔からの友人が、すこし言いにくそうに切り出した。
 
突然の話にびっくりしたのが半分、「ああ、またか」とあきらめる気持ちが半分。
なぜなら私は子どもの頃からよく陰口をたたかれるからだ。
 
「全然、勉強してないの」
たとえば、それなりに勉強しているのに「していない」というのは、私のいた女子校での暗黙のルールだった。
だけど私は勉強しなかったときには「しなかった」と言うし、した時には「した」と言う。
 
「うちの子、宿題をやらなくて」
「机の中がぐちゃぐちゃで」
小学校の保護者会では、自分の子どものダメな点を話すのがお約束。
だけど私は、子どものいい点や、かわいい点について話す。
 
いわゆる空気が読めない人だ。
 
いや違う、本当は違うのだ。
私は、自分がその発言をすればどんな空気になるのかはわかっている。むしろ誰よりも敏感だといってもいいくらいだ。
 
わかっていて言っている。私は嘘を口にしたくない。どうしても必要な時以外は、できるだけ自分に正直にいたいから。
 
今回の陰口の発端は、私が昨年、本を出版したことにある。
 
「よかったら読んでみて」
「すごくいい本なの。きっと役に立てると思う」
 
私はいつも自分の書いた本を持ち歩き、会う人会う人に笑顔で話しかけ、人が集まる場所では前に出て本の紹介をしてきた。
 
「しつこい」
「押しつけがましい」
「宣伝ばかり」
「自己中だ」
 
その気持ちはわかる。
人は宣伝臭を感じると、とたんに不愉快になるものだから。
 
だけど私に忠告してくれた友人は、ひとつの誤解をしている。
彼女は私がそのことに気がついていないだろうと思っているようだけど、私はとっくに気がついている。
 
だれかれ構わず、笑顔で本の紹介をしているとき、まるで選挙運動をしているみたいだと苦笑することがある。
 
選挙カーに、街頭演説。
選挙活動は、とかくうるさくて不愉快だ。
 
候補者側もそんなことはわかっている。
だけど、選挙に勝つためには、一票でも多くの票を集めることが必要で、そのためには自分の名前を憶えてもらう必要がある。
全く名前を知らない人よりは、聞いたことがある人、会ったことがある人、握手をしたことがある人、そんな安易な基準で投票する人も少なくない。
 
それに、人の受け取り方というのは実にさまざまだ。
 
たとえば、知人がSNSで、ある映画の告知をしていた。
最初は全く興味がなかったのだけど、何度も何度も何度も、少々しつこいとも思えるその告知に、私の心は動いた。
「そこまで言うなら見てみようか」
結果としてそれはとてもすてきな映画で、私はその映画に出会えてよかったと思っている。
 
私の本を最初に気に入ってくださった、Sさんという方がいる。
Sさんは、私以上に熱心にまわりの方に私の本を紹介してくださった。
「Sさんの紹介で」「Sさんがあそこまで言うんだから」と読んでくださった方も多いと聞く。
 
ある人にとっては「何度もしつこく」かもしれないが、ある人にとってはそれが「はじめて」かもしれない。
 
何度もしつこくいわれて「うんざり」する人もいれば、「そこまで言うなら」と動かされる人もいる。
 
そこはリスクを覚悟で、行動するしかないのではないだろうか?
 
今から17年前、私はある1冊の本に出会った。その本は、私のものの見方をかえ、視界をひろげてくれた。結果、私の人生は幸せな方向に大きく変わった。
 
とても感謝をしているし、いつか私もだれかの人生に影響を与えられるような1冊を書いてみたいと思い続けてきた。
 
奇跡的にその願いはかなえられた。
昨年、私は本を出版し、その本を読んでくださった読者の方から、たくさんの感想とレビューをいただいた。
その内容は私の予想をはるかに超えるものだった。
 
「この本は人を幸せにできる。この本にはその力がある」
そう確信した。
一人でも多くの人にこの本を届けたい。
 
私だって選挙運動は嫌いだ。人にうるさがられたくはないし、嫌われたくもない。嫌われたくなければ、目立たないように、何もしないで、何も言わないことだ。
その方が楽だ。
 
本が売れないのを時代や出版業界のせいにして、「しかたないよね」と自分をなぐさめている方が楽なのだ。
 
だけど、私の中の「鬼コーチ」は私にこう問いかける。
 
ねえ、思い出して。
10年以上前からずっとこの本を出したかったんだよね?
その思いがかたちになったんだよね?
今はそれを一人でも多くの人に届けたいんでしょ?
やりたいことははっきりしているじゃない。
なにをやってもやらなくても嫌う人は嫌う。
悪くいう人はいる。
そんなことを恐れて、あなたは自分の行動を制限するの?
あなたの思いは、その程度なの?
夢があるなら、なぜ、人生をかけないの?
 
今の私に必要なのは、「嫌われる勇気」
いや、これはもう勇気なんてもんじゃない。
嫌わる「覚悟」だ。
 
「覚悟、できてる?」私は私にいつも問われている。
答えはすでに決まっている。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/writingsemi/36546

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-05-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事