メディアグランプリ

フェイスブックなんて死んでしまえ。


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記事:森中あみ(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
フェイスブックが嫌いだ。キラキラした世界を作っているだけじゃないか。どこの誰を見てもネガティブワードなんてでてこない。ネガティブをシェアしたら、嫌なやつと思われるからみんなしない。フェイスブックで好かれるのは、努力、希望、夢だ。それをこぞって、シェアして、「世の中はなんてすばらしい! みんな、ありがとう! 今日と明日、永遠に感謝!」みたいなのばっかりじゃないか。はぁ。なんて疲れるんだ。
 
美容院でいつもシャンプーをしてくれる20代後半くらいの女の子が、「わたし、今フェイスブック見ないです」と言った。ほお、それはまたどうして? 「今はもうインスタですよ。フェイスブックなんて、結婚か出産ネタしかないですもん」大当たり。私の言いたいことを言ってくれたね、きみは。握手を求めたかった。
 
だけど、わたしは毎日のようにフェイスブックを見てしまう。いつもあのボタンを押すのが怖い。傷つくのがわかっているから。だけど押してしまう。暗い人間だと思われたくないから。人の投稿を見て、なんだよこれ、とげんなりすることもある。だけど、そんな投稿に限って私よりも「いいね!」が多いのですよ。これに「いいね!」を押さない自分が悪いやつのように思えて、重い親指と格闘しながら二秒で押す。
 
パソコンもFAXもない家で育った私は、高校時代はもちろんポケベルも持っていなかったし、持ちたいとも思わなかった。休み時間になると、学校に一台しかない公衆電話に女子がずらっと並び、ボタンを連打しているのを覚めた目で見ていた。なぜ会えば話せることをわざわざ記号化して、今言う必要があるのだろうと本気で不思議だった。ボタンを押すクラスメイトの横顔は、「わたしは今、彼氏にメッセージを送っています! そんなわたし、かわいいでしょ!」と言っているようでバカにしていた。
 
フェイスブックが流行りだしてからも、私には縁のないものだと見ないようにしていた。幸い、実家暮らしだったし、フェイスブックをしていないせいで消えていく友達なんていらないと思っていた。強い心を持っていたはずなのに、遠距離の彼氏とうまくいかなくなった頃、さみしくて始めてしまった。たどたどしく登録すると、すぐに大学時代に一番仲のよかった友達からメッセージがきた。「あみ! 見つけたよ! 名前が変だよ(笑)」苗字と名前を逆に登録していた。そこから立て続けに、サークルの後輩たちから友達申請がきた。「まだ慣れないですが、始めてみました……!」と打つ私は、もうフェイスブックの餌食になっていた。
 
楽しいとわかっていた。ポケベルだって楽しいとわかっていた。だけど、はまるのがこわかった。ゲームもマンガもお菓子も、楽しくておいしいとわかっているから我慢していた。私はそういう子どもだった。ラクなことは、人間をダメにしてしまう。そんな気がしていた。血のにじむような努力をしてこそ、真の成功を勝ち取れると信じて疑わなかった。だけど、大人になるにつれ、ポケベルやフェイスブックを楽しんでいる人のほうが、私よりも人生を楽しんでいるような気もして腹が立った。
 
フェイスブックは表の顔だ。それは間違っていないと思う。だけど、人にはかならず裏の顔がある。キラキラしていないもの。表側ばかり見る私はキラキラの一面だけを見て、いつも傷つく。どうして自分だけが、どうしてあいつにできて自分にできない、どうして、どうして。ポケベルで彼氏にメッセージを送る友達は、男の子に気に入られる努力をしたかもしれないし、フェイスブックで賞をもらった報告をしたあの子だって何にもしなかったわけじゃないと思う。だけど、フェイスブックはそこを見せてくれない。簡単にキラキラの世界が手に入ったかのような錯覚を起こしてしまう。だから、悔しくて、まだこんなところにしかいない自分を突きつけれらるのがイヤだから見たくない。
 
「いいね!」じゃなくて、「努力したね!」だったらいいのに、と思う。その数があなたの努力や気合いをたたえるものなら、ボタンを押す親指に迷いはない。フェイスブック様、お願いです。「いいね!」じゃなくて、「努力したね!」にしませんか? そうすれば、私のようにネチネチしているヤツを少しでも救えると思うのです。他人のキラキラの努力、夢、希望のオンパレードなんか死んでしまえ! と思いながらも、「いいね!」と笑顔で返す辛さをどうかわかってください。誰よりも「いいね!」を求め、「いいね!」に一喜一憂する者より。
 
 
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2017-05-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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