メディアグランプリ

茨城県民の私は、納豆卵かけごはんを邪道だと思っていた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《平日コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《平日コース》

記事:川井(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
よその県民と県民トークをしていたとき、納豆の話題になった。
「僕は納豆と一緒に卵かけごはんを食べるのが好きなんです」
私はこの言葉を聞いたとき、一瞬何を言っているのかよくわからなかった。
 
なっとう と たまごかけごはん を いっしょに たべる!?
 
信じられなかった。
 
私は茨城で生まれ、茨城で育った。
茨城は納豆の名産地であるためか、うちにはいつも食卓に納豆があった。
納豆へのこだわりはあるかと聞かれたら、即座にあるとうなずく自信はある。
 
納豆を食べるとき、私は納豆本来の味を楽しむことを大切にしている。
ふつうにごはんの上に納豆を乗せるだけだが、これが一番おいしい食べ方だと思う。
シンプルイズザベストが最強なのだ。
 
ときどきその時の気分で、納豆と一緒に何かほかの食べ物を入れることはある。
しかし、入れるといっても薬味やキムチなど、納豆に添える程度のものだけである。
あくまでメインは納豆なのだ。納豆の味の邪魔をしてはならない。
 
だというのに! 納豆に卵かけごはんだと!?
お互いに味を強調しすぎてむしろ味のバランスが悪くならないだろうか。
というか、納豆も卵かけごはんも、それぞれ単体で食べるからおいしいのであって、個性の強いその二つを混ぜるなんてもってのほかではなかろうか。
味が崩壊しそうだ。
 
私は納豆卵かけごはんにまずいイメージしか想像することができなかった。
 
納豆卵かけごはんについて兄にも聞いたが、私と同じような反応が返ってきた。
そこで私は確信した。
やはり、納豆卵かけご飯は邪道だ……。
 
しかし、その食べ方をするはその人だけではなかった。
 
「私はたまご醤油たれがついてる納豆が好きだなぁ」
 
そんな納豆があるの!?
 
納豆といえば、私の家ではもっぱら「くめ納豆」しか買わない。
一時期ほかの納豆も買ってみたりしたのだが、結局それが一番おいしかったのだ。
 
実際茨城のスーパーの納豆コーナーでは、「くめ納豆」が占めている面積が最も広かったりする。
納豆セールといえば「くめ納豆」が盛んに行われているほどだ。
地元では「くめ納豆」がすごく人気だった。それ以外の追随は許していないと思う。
だから、いつの間にそんな種類の納豆が売られていたなんて、知るよしもなかったのだった。
 
ネットで調べてみると、お目当てのものがすぐに出てきた
「金のつぶ たれたっぷり! たまご醤油たれ」
 
ついに、あの大手納豆会社でも納豆卵かけごはんに乗り出したというのか。
どうやら売り上げも上々らしい。「幅広い年齢層に爆発的ヒット」という見出しがあった。
しかも「めっちゃうまい」というコメントがたくさんあるときた。
この納豆がおいしいらしいというのは、一目瞭然だった。
 
よほど、この食べ方は全国に浸透しているのだろう。
それだけこの食べ方は人気になっているということか。
 
もしかすると、このまま食わず嫌いでいたら、私は時代の流れに遅れてしまうのだろうか。
いつか、納豆をそのままで食べるなんて昔の人っぽーいとか言われたらどうしようか。
孫が生まれて将来そんなこと言われたら、いくら私は茨城県民としてのこだわりがあるからと反発しても、なんか子どもに意地を張っているようにしか見えない。
 
ついに私は、納豆on卵かけご飯に手を伸ばすことにした。
 
食べ方はよくわからないが、とりあえず普通に作った。
ほかほかご飯の上に卵と醤油をのせ、その上にかきまぜた納豆をのせた。
薬味は入れなかった。レシピ通りを最優先だ。
納豆は「くめ納豆」を選んだ。自分がおいしいと思う納豆なのだから、これ以外をのせる選択はなかった。
 
一体、納豆と卵かけご飯の組み合わせはどんな味がするのだろうか。
できたごはんを目の前にして、私は不安でいっぱいだった。
 
醤油が卵かけご飯にも納豆にも入っていて、少ししょっぱくないのだろうか。
調整しようにも、初めての食べ物にどうすればよいかわからなかった。
納豆と卵かけご飯は混ぜるべきなのか。いや、ここはとりあえずよそう。まずはそのままで行こう。
おそるおそる、私は口いっぱいにむさぼった。
 
結論から言うと、おいしかった。すごく、おいしかった。
はじめ、口に入れたときは「なんだこれ……。別々に食べたほうがおいしいんじゃないかな」としょんぼりしていたのだが、食べ進むにつれて、なぜか後を引いてしまい、食べるのが止まらなくなってしまったのだ。食べるほど不思議と中毒になる食べ物だった。
お互いの味を強調しすぎではないかとも思っていたが、そこはいい感じに卵かけごはんがカバーしてくれた。卵かけごはんのやさしさを感じた。
 
あれだけ邪道邪道といって嫌っていたのに、口にしたらこんなにも幸せになれるなんて。
食べる前の自分ならきっと驚いたことだろう。
 
私はすっかり、納豆卵かけごはんのとりこになってしまったのだった。
 
今、私は毎朝納豆卵かけごはんを食べている。ここ3~4年はずっとそうだ。
ときどき昼飯も夕飯も納豆卵かけご飯にするときもあった。けど全然飽きなかった。
友達からは、「また今日も納豆卵かけごはんだったの?」とおちょくられることもしばしばあった。
けど、おいしいのだ。これだけは本当においしい。おいしいから止めようにも止められないのだった。
 
勢いで「金のつぶ たまご醤油たれ」も食べてみた。
やはりおいしかった。卵かけごはんの風味をうまくたれの中に封じ込めている。
さすがに納豆卵かけごはんというオリジナルにはかなわないが、これはこれでおいしかった。
今まで「くめ納豆」しか食べてこなかったが、初めてこれもアリだなと思った。
 
今日も納豆卵かけごはんを食べて、幸せをかみしめた。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/writingsemi/36546

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-06-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事