ライティングに必要なのは「パイを広げる」発想
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:中村響(ライティング・ゼミ日曜コース)
この物語はフィクションです。
「う~ん、書けない。このまま書いたら駄文になる」
パソコンに向き合い、ちょっと実験してみた。
自分が5000字の文章を書けるかどうかである。
実験は見事に失敗。
「さて、どうしたもんかなあ」
頭を掻きながら、考える。
完璧などん詰まりで、
打つ手が見当たらない。
そんな状態を打開するヒントは、
「パイを広げる」という発想だった。
「おーし通った、通った」
ライティングゼミを受講して早4ヵ月。
結果として今まで5つの作品が審査に通っている。
今迄私は本を読むことは15年のキャリアがあるが、
文章を書くことはさっぱりやったことがなかった。
当初は2000字を完璧にすることを目標に頑張ってきた。
「もしかしたら、さらに上に行けるんじゃないか」
少し成果が出ると人間は欲が出るもので、
次の目安である5000字を目指してみようと思っていた。
そして、大きな差を思い知ることになる。
「2000字と5000字はプロとアマの境界線」
そう講義で教わった。
書いてみるとよくわかるが、
多分5000字そのものは書ける。
だが、読みやすさも、サービスの視点も、構成も全て破綻する。
何故なら「熱意」が続かないから。
強烈に「伝えたい」という思いがまず続かないのだ。
「あ、これ駄文になるわ」と、
1000字くらい書くと分かってくるのだ。
途端に毎週5000字書いてくる人たちが、
化け物のように見えてくる。
「まずは、第6講を見直すか」
とりあえず、5000字書くための講座を改めて見直してみる。
「大きい構成の中に小さい構成をぶつけていくってどういうことだ?」
しかも、小さい構成はいちいち考えずに即興で出すらしい。
まあ予め考えると、満たさなければならない要素が増えて、
文章の整合性が取れなくなることは分かった。
「だけど、ぶつけるって何だ?」
私は感覚的な話になると途端に理解力が落ちる。
せめて、もうちょい数字入れて話してほしい。
「見本を見てみるか」
何か打開のヒントにならないかと、
今度はスタッフさんの書いた記事を分析してみる。
スタッフさんの所属していた大学の学部を、
階級社会になぞらえた記事だ。
「とりあえず分けたものの、どうするかな」
意味のつながりで区切って文字数を見てみたものの、
ヒントらしいものは見つけられなかった。
「骨子」を掴むことは簡単なのだが、
「どう肉付けするか」に法則性が見えないのだ。
「どう考えても無理だろ」
そう結論付け、ぶん投げた。
難度の高い条件をクリアしつつ、
論理を「面白い」で肉付けしないと、
どう考えても5000字なんて書けないのだ。
「面白い」ことなんて、分かるかよ。
私は残念ながら、
自他ともに認める冗談が通じない人である。
ここに来て、その欠点が致命傷となった。
詰まったときはさっさと距離を置くが吉だ。
というわけで、テレビを着け、座椅子に座り、
くつろぐ準備を始めた。
テレビではスポーツ番組がやっていた。
「そういえば今年の冬は五輪か」
特集は冬期五輪競技の練習環境だった。
「大変そうやねえ」とつぶやきつつ、
母も一緒になって見始める。
ボブスレーという競技は、
日本を代表する選手になったとしても、
練習環境も金銭的にも厳しいらしい。
「ワーキングプアも真っ青だな」
練習のため、定職に就くこともできない。
企業の関心は夏季の東京五輪であって、
スポンサーもつかない。
「でもなあ、なんでパイ広げへんのやろ」
ふと母が漏らした。
「どゆこと?」と聞く。
「いや、もし支援して欲しかったらさ、
ボブスレーの魅力を伝えた方がええ気がするんやわ。
だって企業の広告費決まっとるやん?
ならボブスレーにしかできひんことを伝えて、
市場自体をでかくするほうがええやん」と母は答えた。
さすが元ファイナンシャルプランナー。
目の付け所が鋭い。
「私だったら、
ユーチューブとかでボブスレーの動画あげるな。
思いっきりスピード感あるやつ」と母は付け足した。
こんな風に「かっこいい」や「面白そう」と、
感じている人間の数を増やせばよいわけか。
ふと思う。
天狼院書店は、
大体こんなことやってるなと。
ライティングゼミだってそうだ。
自分で文章が書けるようになったら、
誰だって本を読みたくなるに決まっている。
写真やら、映画やらなんでも「パイを広げる」ことを志向している。
そして、思考がライティングにつながる。
「その手があったかああああああっ!!!!!!!!!」
驚きで腰を抜かしそうになった。
いや座ってはいたけれども。
5000字書くために必要なもの。
それは「パイを広げる」という視点だったのだ。
魅力を余すところなく伝えようとすると自然と描写も細かくなる。
しかも無味乾燥な文章ではなく、
魅力を伝える「面白い」表現である。
スタッフさんの書いた記事だって、
あの記事を受験生が読んだら、
より一層リアルな学生生活を知ることが出来るだろう。
今迄に比べて「共感」する人数は、
はるかに多くなるはずだ。
「よし、もっと一つ一つきっちり伝えてやろうじゃあないの」
私は新しいアイデアを試すため、喜々としてパソコンを立ち上げた。
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