メディアグランプリ

「ライティング」で「撮られること」ができるようになった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松下広美(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
なんであんなことしちゃったんだろう……。
 
せっかく温泉に来たんだし、朝もお風呂に入っちゃおう。
体を流し、タオルを頭に乗せて、大きいお風呂に体を沈める。
寝不足でぼんやりしていた頭が、熱い温泉でゆっくり目覚める。
 
ふっと一息吐き、目を瞑ると、昨夜のことが思い出される。
 
ああ、なんで、あんなことを。
 
「いい! すごくいいよ! ほらほら」
「あー、ホントだ! めちゃいい!」
 
夜は深まり、日付が変わる頃。
とあるホテルの一室で、女性たちの楽しそうな声が聞こえてくる。
一人の女性が、カメラマンの指示に従いポーズをとる。
そしてレンズの奥を見つめる。
 
そのなかに私はいた。
そして私は写真を撮られていた。
 
天狼院書店旅部の中の、深夜イベント「秘めフォト」に参加していた。
 
写真を撮られることは、嫌いだ。
自分の写っている写真を見ることが、嫌いだ。
 
小学生のころ、「欲しい写真の番号を書いてください」と、廊下いっぱいに写真が貼り出されることがあった。
修学旅行や野外学習があると、ついてきたカメラマンさんが写真を撮ってくれた。その写真の中から選ぶために貼り出される。
自分の写っている写真を探す。ずーっと順番に見ていく。
クラスの人気者や積極的な子は、あっちにもこっちにも写っている。中心になりピースサインで笑顔いっぱいの写真がたくさんある。
私の写っている写真はどこ?
探しても、なかなか自分の写真と出会うことができない。
あ、あった。
見つけたが、手元にある封筒にその番号を書こうか迷う。
「あっちに写ってる写真があったよ!」
友達が教えてくれた。
しかし、その写真を見ても、その番号を書く気にはなれなかった。
 
3人くらいが写っている写真の端っこで、カメラとは違う方向を見てぼーっとしている私。
カメラの方を見ていても、笑顔が上手に作れていない私。
全員が必ず映る集合写真では、怖い顔をしている私。
 
写っている写真はあるけれど、「どうしても欲しい」と思える写真がなかった。
「買っとかないと」という割引商品を買うような気持ちで、何枚かは買った。
しかし、ついつい買っちゃったものは、絶対必要なものではない。写真を見返すようなことはなかったし、今、どこにあるかも、とってあるのかも覚えていない。
 
高校生のころ、プリクラが流行った。
当時、写真というのは、現像しないと見ることができなかった。
でも、プリクラは撮って30秒もすれば出てきて、友達と一緒に見ることができる。その場でハサミで切って、シェアする。今みたいに、目が大きくなったりもしないし、落書き機能すらまだ付いていなかった。それでもみんな、撮ってはプリクラ手帳に貼り、みんなで見せ合った。
プリクラ手帳が2冊にも3冊にもなり……それは私とは縁のない世界だった。
友達に「撮ろう」と言われて撮ったものはもちろんあったし、手帳に貼ってもいた。
でも、やっぱり自分の顔が写っているのを見るのは、好きになれなかった。
うまく笑えていないし、カメラ目線もできていない。友達の引き立て役になっているようなもの。
だから「積極的に」撮るということはしなかった。
 
大人になってからも、自分の写真を見ることは好きにはなれなかった。
お酒を飲んでテンションが上がっているときに撮った写真は、シラフのときには恥ずかしくて、見返すには勇気が必要だった。
とぼけたような顔をしてみたり、カメラ目線とは程遠い視線だったり。どうせかわいくは撮れないんだから、と明らかにバカ丸出しの写真がよくあった。
「他の誰か」の写真を見返すことはあっても、「自分」の写真を見返したいとは、相変わらず思えなかった。
どこかへ旅行へ行って写真は撮るが、圧倒的に自分が写っている写真は少ない。見返さないから撮るのはやめておこう、と思うのだ。
 
そんな私が、昨夜は撮られていた。
しかも、自分から「撮ってもらっちゃおうかな」と、撮られていた。
撮られるたびに、写真を確認して「すごくイイ」と思えた。
そして自分が写っている写真なのに「また見たい」と感じた。
 
「写真って、真を写すものだから」
 
カメラを教えてくれた榊先生が、夕食を食べながら話していた。
講義として教えてくれた言葉ではないけれど、その言葉にこそ真実があるような気がする。
 
小学生の頃の写真は、「撮って撮って!」という人たちのことを羨ましく思って眺めている消極的な私が写っていた。
高校生の頃の写真は、変に大人ぶって、クールな自分を勘違いして表現している私が写っていた。
大人になってからも「真の姿」からは目を背けて、バカな姿で鎧を作っていた。
 
ほんとうの姿なんて、見たいと思わなかった。
自分に向き合うことができないから、真実を写している写真を見ることができなかったんじゃないか。
それなのに、今はなぜ写真を撮って欲しいと思うのか。自分の写真を見返したいと思うのか。
 
自分から目をそらさずにいることができるようになったのだろうか。
真の姿と向き合うことができるようになったのだろうか。
 
なんでだろう?
 
8ヶ月間のライティングで常に自分と向き合ってきた。
「こんなことまで書いてしまって、いいんだろうか」と思うこともあった。
恥ずかしい体験を書くこともあった。
OKをもらえた記事が公開されて、どう見られるのか、気にすることもあった。
 
書くことで自分を見つめ、読み返すことで自分の姿を確認する。
 
書いてきた記事が少しずつ承認されてきた。
記事が承認されることで、私も承認されているような気持ちになれた。
 
私のこんな姿も、見せてしまっていいのね。
 
ライティングをしていることで抱いた気持ちが、写真を撮られることにも繋がった。
 
自分探しをしたい人に「ライティング・ゼミ」はオススメしたい。
少しずつではあるけれど、自分を見つめ直していくことができる。
 
ただ「秘めフォト」はオススメしていいか、迷う。
 
それは……。
参加してからのお楽しみ、です。
 
 

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2017-08-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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