メディアグランプリ

人はコンプレックスからできている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:萩本孝子(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
このあいだ、姉と「エラそーな人」について、あれこれ話をしていた。
 
上からモノを言う人。
肩書きや地位をとても重要視する人。
やたら威圧的に話をする人。
自分の話ばっかり延々とする人。
 
「そういう人、時々いるよなぁ〜」
「いるいる〜」
「あ、それ! うちのお父さんや〜ん」
 
うちの父、とても面倒くさくて、人を怒らせる(自分も怒り出す)天才なんじゃないかと思っていた。
いつも威圧的で、エラそーで、人の話を聞かなかった。
私が子どもの頃は、手や足が出ることもしょっちゅうで、「このクソ親父! 死んでしまえ!」と…… 思ったことも何度か…… あった。
 
でも、大人になって、人の心理の勉強をしてから、そういう父も、実はいろんなコンプレックスを抱えていて、そうしないと自分を認めてもらえないと感じる、そんな弱さを抱えていたのかもしれないなぁと思うようになった。
 
人は、自分の弱さや、子どもの頃の体験や、親に認めて欲しい気持ちから、
いろいろ面倒くさい「心のクセ」を持ってしまうらしいから。
 
父は九州の田舎の次男坊で、まぁ……、親も手をやく、やんちゃなクソガキだったらしくて、子どもの頃にお寺に預けられてしまったらしい。
それでも、いろいろ努力して、東京でいい大学に入って、商売をして、それなりに地位と名誉を手に入れた。
 
「長男だったら、東京へ行かなくても家の田んぼを継げたのに」と思っていたかもしれないし、親元を離れて、いくらクソガキでも、きっと寂しかっただろうなぁとも想像できる。
なんかいろいろ交錯した感情が、
「ほら見ろ! 私はこんなに努力して、自分の力でここまでやってきたんだぞ! 認めろ!!」
みたいな「心のクセ」を生み出してしまったのかな、と想像した。
 
昔の職場の話だけれど、「ちゃんとしたい」という口癖の人がいた。
仕事をちゃんとする。人付き合いもちゃんとする。
がんばって、責任感を持って、いつもきちんとしていたい。
努力家で、がんばり屋で、本当に仕事も人づきあいもしっかりこなす。
 
だけど、ちゃんとしない人に対して、とても厳しい人だった。
 
ちゃんとしていない人を見ると、
「怠け者」「だらしない」「責任感がない!」
と、よく怒っていた。
 
もしかすると、この人は、子どもの頃に、いつも親に「ちゃんとする」事を求められたか、あるいは、「ちゃんとする」事で、愛されたいと願っていたのかもしれないなぁと想像した。
「私は、こんなにがんばって、ちゃんととしてきたのに!」
「なんで、ちゃんとしていない人が許されるの!」
と感じてしまったのかもしれないな。
 
あるいは、
昔の知り合いで、こんな人もいた。
いつも明るくて、親切で、どんな場所でもムードメーカーで場を和ませる人。
みんなその人の事をとてもいい人だと思っているけど、私はある時、本当は、その人はちょっと冷たい人じゃないかということに、気づいてしまった。
だって、仲良くなって、私の悩み事を打ち明けた時、とても困った顔をしたから。
こんな話は聞きたくない、とにかく早く話題を変えたい、楽しい雰囲気に戻りたい。
そんな感じがぷんぷんした。
 
もしかしたら、その人は、そういうシリアスな雰囲気が、とても苦手だったのかもしれない。もしかしたら、子どもの頃に、そういうシリアスな会話の中で、耐えきれないような事がいっぱいあったのかもしれない。
 
かわいそうだとも思ったけれど、せっかく親しくなって、いろんな話をしたいと思ったのに、楽しい話しかできないんじゃ、あまり仲良くなれないな、と思ってしまった。
 
そして、そんな風に、人の事を上から目線で俯瞰した気になっている私自身はというと、「肩書きや地位をとても重要視する」父を反面教師として、「肩書きや地位に関係なく自由で気ままでいたい」から転じて、なぜか「自由で気ままでいなくてはならない」という、すごく面倒くさい「心のクセ」を持っていると自覚している。
それなのに、これまた父の厳しいしつけのおかげで、「人前ではきちんとしなければならない」というのもあり、その間でいつも気苦労が絶えない。
 
とても面倒くさい。
 
だけどしょうがない。
 
いつも機嫌が悪い人、誰にでも優しい人、楽しい人、繊細な人、いろんな人がいるけれど、きっとどんな人も、いろんな想いを抱えていたり、自分ではどうしようもない「心のクセ」を持っていて、ちょっと困ったり悩んだりしているんだろうなぁと思う。
 
みんな、なんかどこかにコンプレックスを抱えていながら、生きていて、
でも、だから面白いし、いろんな人生があるんだなと、そんな風に少し認められた時、面倒くさいのは変わらないけど、少しだけ、人に寛容になれる気がする。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/38451

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-09-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事