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金魚の糞


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中島翔子 (ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「金魚の糞」。
この言葉を聞いた時、皆さんはどんな印象を受けるだろうか。
恐らく、いい印象を持っている人はほとんどいないだろう。
一般的に金魚の糞とは
「自主性がなく、(力のある)誰かのあとを付き従っているもの」を指すらしい。
人気や権力、知名度のある人に付き従う人……。漫画でいうとジャイアンのそばにいつもいるスネ夫といったところだろうか。
子どもだから許せるものの、とてもじゃないがいけ好かないし、友達にはなれない。
 
勿論、私もずっと「糞」ではなく「金魚」でありたいと思っていた。
人に敬われ、大切にされ、一目置かれる存在でありたい。
その為に自分を磨こう。向上したい。と常に思っていた。
 
「糞よりは金魚であるべき」だと信じて疑わなかった。
 
その信仰心をもったまま、大きくなった私は大学卒業後、マスコミに就職。
日に数万人。多いときでは100万人以上の目にとまる仕事についた。
文字通り「人から注目され、給料もよく、影響力もある」仕事だった。
金魚を目指していた者としては上々の職種だったと思う。
 
初めはとても嬉しかった。これで人生ずっと金魚のままで生きられる。
自分の将来になんの疑問も不安も抱いていなかった。
 
でも、仕事を始めて数年経った頃。私の中で何かもやもやとし始めていた。
常に人目に晒されされ、かつ金魚として常時自分を律していないといけない生活に息苦しさを感じ始めていたのである。
「がむしゃらに金魚を目指し、なればなったで全速力で泳いできたけど、もしかしたらこれは私のなりたかったものではなかったかもしれない」
そんな思いが頭をよぎった。
真に「金魚体質」の人ならば、恐らく周りからの注目も、評価も自分の糧として取りこみ、益々体を大きくできたことだろう。しかし私は違った。
 
金魚でいればいるほど、心が擦り切れ、疲弊していった。
「私はこのまま金魚をしていてはダメだ。潰れてしまう!」限界がすぐそこまできていた。
私は会社を辞め、金魚生活を一旦お休みすることにした。
そしてそれまでの人生観をリセットすることで、気づいたことがった。
「私は金魚でいるよりも、ひょっとしたら金魚の糞でいた方が輝けるのではないか」と。
 
「これまで恥ずかしむべきものとして捉えていていた「金魚の糞」だけど、
もしかしたら自分に向いているのではないか」 そんな考えが浮かんだのだ。
 
考えてみたら「糞」は元々は餌であり栄養である。
金魚がより一層輝けるように良い栄養を提供できたら、それは立派な仕事になるのではないか。
よし、日々身を粉にして頑張ってる金魚にぴったりくっついて、悠々とお尻から垂れ下がってやろう。
金魚が輝けるなら、自分は周りからどう見られようが、構わない!
 
金魚の糞として私の強みは二つある。
◎金魚になりたい人や金魚自身の気持ちがわかること。
◎金魚の悩みや苦悩を誰よりも理解し共感できること。
 
この二つの強みを活かして、現在私は金魚をサポートする仕事をしている。
具体的には金魚に随行して、金魚の魅力をクライアントに伝える仕事だ。
金魚は自分自身は目立てるのだが、裏方の作業が苦手なことが多い。私はスケジュール管理を始め、魅力を目に見える言葉で伝える役割を担っている。
 
また金魚の気苦労や悩みを元金魚として共感し、悩みの軽減にむけアドバイスもしている。
一見メンタルが強そうな金魚も、実は大きなストレスを抱えているものなのだ。
 
こうして、金魚から金魚の糞への転向を果たした私は、
今では恐れながら「最高の糞」であると自負している。
 
糞になる人生を選んだら、
それまで見えていなかった世界が見えるようになり、
時間の流れも緩やかに感じられるようになった。
何よりも、自分以外の何かと比べることが格段に減った。
金魚に付随しながらも、自分を生きられるようになったのである。
 
最後に、あなたがもし、今現在金魚であり、その生活に疲れているのなら、
「糞」になる事も考えてみてはいかがだろうか。
 
一見金魚に振り回されているようで、実は宿主の事などお構いなく、
悠々自適だったりするのである。
 
快適、金魚の糞生活。
随時お仲間募集中だ。
 
 
***

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2017-09-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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