メディアグランプリ

半開きの口とライティング・ゼミ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤田功(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「毎日の生活で、歯を食いしばることはありませんか?」

三週間ほど前から奥歯にどんよりとした痛みを感じていた。でも、その痛みは嘘だと信じ込むことにより、痛みを我慢していた。我慢していた理由は、単純に、歯医者さんに行くのが怖かった。
歯医者さんに行くのが好きな人は、世の中に100人といないはずだ。
歯医者さんでの治療中は、目隠しをされて視覚が遮られている。視覚が遮られているため、聴覚は敏感になってしまっているが、その敏感な聴覚を嘲笑うかのような、あの音。あの音を想像するだけで、歯医者さんに行くのは嫌になる。
あの音が好きな人は、世の中に10人もいないと断言できる。

でも、痛みがどんどん増し、とうとう観念して歯医者さんに通うことを決意した。
左奥の上下の歯と右奥の下の歯に痛みを感じていたので、おそらく、三本は虫歯があるのだろう。三カ所とも過去に虫歯の治療をしているので、歯には詰め物がしてある。詰め物の中が虫歯になってしまったのだと思う。

歯医者さんで受付後、歯科衛生士に歯をクリーニングしてもらってから、歯のレントゲンを撮り、そこに、真打の歯科医師が登場してきた。
この歯医者さんは初めて行く歯医者さんで、ネットの評判を頼りに見つけた。

口を開けて、歯科医師に歯の状態を診てもらい、先ほど撮ったレントゲンを一緒に見ながら、歯科医師から、今の歯の状態や今後の治療についての説明が始まった。

「虫歯では無いと思います」
「えっ!」
半開きの口なのに、思わず声が出てしまった。
歯が痛いのに、虫歯でなければ何なのだ?

「総合的に判断すると、歯のかみ合わせが悪く、その影響で痛みを感じているのだと思われます。しばらくは、かみ合わせを良くするための治療をさせていただきたいと思います。それでも、痛みが取れない場合に詰め物を外して、虫歯の治療をしても遅くないと思います」
半信半疑だが、あの音を聞かなくて済むのなら、その治療方法に乗ってみようと思った。藁をもすがる思いとはこのことかもしれない。

「歯のかみ合わせが悪くなる原因は歯を食いしばってしまうことです。睡眠中の歯軋りも一因ですが、毎日の生活で歯を食いしばることはありませんか?」
昔からの積み重ねも要因になるようだけれど、最近、歯を食いしばることがあったかを思い出してみた。

すぐに思いついたのが筋トレだ!
二カ月前ぐらいから、筋トレに力を入れ始めた。スポーツジムで上半身、下半身バランスよく筋トレをしている。筋トレは、思いっきり歯を食いしばる。これでもかというぐらいに歯を食いしばっている。歯を食いしばることが快感にもなるのが筋トレだ。この数カ月で、歯を食いしばる新しい要因は筋トレに違いないと確信した。
「でも、ちょっと待てよ?」
筋トレは過去にも頑張っていた時期がある。でも、その時は歯が痛くなることは無かった。
筋トレが原因ではないような気もする。

とりあえず、歯科医師には当たり障りのない回答をして、今後は、マウスピースを作って、睡眠時の歯軋りを防ぐことと、歯のクリーニングを続けるという治療方針が決まった。そして、数枚資料を貰って帰った。

その後、痛みは少しずつ和らいできた。
そして、昨日、天狼院書店でのライティング・ゼミ第四講を受講した。受講中は頭がフル回転し、パニック状態に近くなっている。ようやく、講義、ワークショップを終え、ふらふらになって帰宅すると、なんと、和らいでいた歯の痛みがぶり返してきた。

「まさか……」
歯科医師からもらった資料を見返すと、「考え込んでいるとき、いらいらしているとき」も歯の食いしばりの要因になると大きく記載してある。
そういえば、ライティング・ゼミに通いだしたのは二カ月前。講義以外のときも、常に、2,000字のネタを探し、アイデアを考えている。気付かないうちに、歯を食いしばっているのかもしれない。

筋トレとライティング・ゼミは「歯を食いしばる」という点では、同じ効果があることに驚きだが、書くことで、歯が痛くなってしまったのでは困ったものだ。

「よし! むりやり口を開けて、歯を食いしばらないようにして書こう!」
でも、口を開けていると、口の中に虫も入ってくるし、息苦しくて仕方がない。歯は痛くならないかもしれないが、別のところが痛くなりそうなので、この方法は却下だ。

やはり、根本的に、「考え込んだり、いらいらしたりしない」ようにすることが大切だと思う。
「考え込んだり、いらいらしたりしない」と、むりやり口を開けなくても、肩の力が抜けて、ほんの少し、自然と口が開いた状態になる。
そして、その状態は、書くことを楽しむということで作れそうな気がする。
書くことが楽しければ、肩の力も抜けて、すいすいとキーボードを叩くことができる。歯を食いしばることもなくなる。
楽しんで書いた2,000字は、読む人にも楽しさが伝わるという効果もあるかもしれない。

「よし! 書くことを楽しんでみよう!」

歯が痛くなるということは困ったものだ。
でも、それは、神様が「書く」ということを考えるきっかけをくれたのだと思うことにしたい。

なお、歯が痛くなった要因は筋トレなのか、ライティング・ゼミなのかは分からない。
もしかしたら、考えるのも嫌だが、虫歯かもしれない。
虫歯でないことを、「考え込んだり、いらいらしたりしない」で願うだけだ!
 
 
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2017-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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