子育てママはまぐれの100点よりも平均60点
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記事:中島翔子(ライティング・ゼミ 日曜コース)
7年前。我が家に天使がやってきた。しかも同時に2人!
初めての出産。初めての育児。しかも双子。
今なら恐怖に震えが止まらいが、当時の私は若かった。
「3人欲しいから一度に2人来てくれたらラッキーじゃん!」なんて余裕綽々。
若さと無知ゆえの怖いもの知らず。今なら瞬時にこう言うだろう。
「ゲッ。やばいじゃん。大変だと思うけど、何とか生きのびてね!」と。
当然のことながら、出産後は文字通り寝る暇もなかった。自分の食事は常にキッチンにて直立で済ませ、湯船にゆっくり肩まで浸かれたのは双子が3歳を過ぎてからだ。
〇子どもたちが1歳から2歳までの記憶がない。
〇専業主婦よりもフルタイムで働いていた方が楽。子どもと過ごす週末が恐ろしい
これらは、双子のママ友と盛り上がる「双子育児あるある」である。
まさに命がけの日々。「育児」というより「世話」で終わる日々が続いて身も心も疲弊していた。
でも、出産して一番誤算だったのは、双子であるということよりも、「身体が変わってしまった」ことだった。
痩せた太ったという体形の変化ではない。もっと『体質的』な変化が顕著だった。
まず、毎月のものが格段に重くなった。強い痛み止めを飲まないとまともに歩けない。廊下をのたうち回る。胃薬を飲みながら6時間おきに鎮痛剤を飲む一週間。貧血のおまけつき。
更にお酒も飲めなくなった。元々酒豪ではなかったが、それでも飲み会でたしなむ程度には愉しめた。それが今ではビール一口でぼ~っとなる。情けなし。コスパがいいんだと自分を慰めるよりほかない日々。
そして極めつけは、慢性的な「体調不良」。出産前は年に一回風邪をひくかひかないかだったのに、産後は月の半分を倦怠感と共に過ごしている。勿論、色々な面での生産性が思っていたよりもずっと落ちてしまった。
「多少育児は大変でも、元の自分+育児だから大丈夫」と高を括っていた私は、予想していた自分と産後の自分とのギャップに打ちのめされた。
どうしてこんなこともできないんだろう。
ただでさえ育児が二倍なのに、これじゃあ一人分もまともにできてないじゃん。
毎晩自分のふがいなさに涙し、自己嫌悪に陥る日々。。。
当時は朝が来るのが怖かった。朝が来ると思うと、夜眠りにつくのさえも辛かった。
けれど、そんな自己嫌悪呪縛の日々に、ある日突然に転機が訪れた。
その日もいつも通り倦怠感とともに起床し、自宅で子どもたちと過ごしていた。
でも普段と違っていたのは、その日は一日を通して「無理をしなかった」のだ。
それまでは、体がしんどく、思うように育児ができないながらも、どうにか頑張ろう。100点を目指そう。と奮闘していた。でも一日の終わりに結果を振りかえってみると、およそ完ぺきとは言えない。そんな自分にいつも「×(ぺけ)」をつけていた。
その日はそれをしなかったのである。
「今日は70点ぐらいだったけど、ま、いっか」
理由はわからないけれど、その日はなんとなくそれでもいいやと思う事が出来た。
そうしたらなんだか心がすごく軽くて、穏やかになれた。
そうか! 今まで満点を目指していたから辛かったし、その反動でどんどんできなくなっちゃってたんだ。満点狙いじゃなく、「赤点を取らない程度」を毎日キープできればいいと思えば、毎日がずっとハッピーになる。
そう悟った。
それから私は「無理して頑張ること」をやめた。
考えたらどうやったって自分が目指す100点はとれるわけがないし(実際に育児に100点てあるのか?)、もし限りなく100点に近い日があっても、恐らく翌日は一日使い物にならないだろう。そうしたら子どもたちはどうなる?
100点だったり0点だったり、差が激しいお母さんより、多少大雑把でも安定的なお母さんの方が幼い子の育児には向いているのではないか。そう思うようになった。
初めての育児は何かと気負ってしまいがちで、あれもこれも完璧に、いい親になろうとしてしまう。
でも、所詮「わたしはわたし」でしかないのだ。子どもを産んだからって急に頭がよくなるわけでも、要領がよくなるわけでもない。(精神的に強くなるかもしれないけど)
たまの満点ではなく、平均60点。 子育てにはこれぐらいが丁度いいのではないかと思う。
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