成人男性が1,500メートルを走ることは許されない
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:藤田功(ライティング・ゼミ日曜コース)
「ファイトー!」
上り坂で、前を歩く二人の女性に並んだ時に明るい笑顔で応援の声をかけてもらう。
「お先です!」
ちょっと疲れていたけれど、その応援で気力だけでなく、体力も回復し、元気に声を返して追い抜いていく。
今朝は、入会しているスポーツジムの「走ろう会」に参加した。これが、初参加だ。
「走ろう会」参加者はスポーツジムに一旦集合し、全員で10分ぐらいかけて公園まで歩いていく。
そして、公園の中をスタートする一周500メートルのコースを自分のペースで走る。「走ろう会」はジムから飛び出して、外を走る!
今朝の参加者は10人ぐらい。初参加は私だけだったが、公園まで歩く10分で、既に会話が弾む。会話の内容は、もちろん、走ること!
「70歳でハーフマラソン走るって凄いですよね!」
「いつも、どんなトレーニングをしていますか?」
Tシャツ、半パン、ランニングシューズという気軽な服装のうえ、太陽の下の開放的な気分、そして、共通の話題があることで、あっという間に参加者の輪に入ることができた。
今回、「走ろう会」に初参加したきっかけは、数日前のスポーツジムのスタッフとの会話に遡る。スポーツジムの中で、いつものように腹筋150回を終え、汗ダクダクで休憩しているときのスタッフとの会話だ。
実は、2週間後の土曜日に、スポーツジム主催のリレーマラソンに参加することになっている。リレーマラソンとは、チームで3時間を走り切るという耐久マラソンだ。ただし、そんなにハードな内容ではなく、一チーム10人ぐらいでタスキを繋ぎながら、一人1,500メートルを順番に走っていく。
そのスタッフと私は同じチームとして、リレーマラソンに参加する。
「藤田さんも、毎週日曜朝の走ろう会に参加してみませんか? ジムのランニングマシーンで走るのと外を走るのは違いますよ」
確かに、最近はジムの中でしか走っていない。リレーマラソン本番までに外を走るのも悪くないと思い、即決で「参加します!」と答えた。
実は、私は、リレーマラソンでは目標タイムを設定している。6分30秒で1,500メートルを走ることが目標だ!
ちなみに、スポーツ庁の平成27年度の調査によると、16歳男性の1,500メートル走の平均タイムは6分、19歳男性の平均タイムは6分30秒。
ところが、20歳以上の平均タイムは1500メートル走ではなく、1,500メートル急歩で測定されている。走るのではなく、急歩でのタイム測定……。20歳以上は1,500メートルを走って、倒れられては困るというスポーツ庁の考えなのだろう。20歳以上を危険物扱いすることに、ちょっとだけ納得いかない。一方、なんとなく、スポーツ庁の気持ちも理解できるが……。
私は、現在、48歳。平均タイムとして、目標にできるタイムが無い。そこで、19歳男性の平均タイムを目指して、ランニングマシーンで練習をしている。30年前の自分を目指しているのだ!
でも、決して、無理な目標タイムではない。実は、ジムのランニングマシーンでは、6分30秒に近いタイムを出せている。外だと、もう少し早く走れると思うので、クリアできるだろうと考えている。
そして、今朝の「走ろう会」でのランニング。スタートして公園を出ると、すぐに上り坂がある。その坂を上りきると、大通りの平坦な歩道に出る。平坦な歩道を少し走って曲がると、次は下り坂だ。
上ったら、下るのは当たり前。公園と住宅の間の下り坂を走ると、スタート地点の公園に戻ってくる。これが、一周500メートル。
500メートルを周回するので、ゆっくり歩いている参加者を追い抜くことがある。追い抜くときには、初めて会った同士が自然と声を掛け合う。
「ファイトー!」
「お先です!」
でも、声を掛け合うことで元気になるが、いつもよりもペースが上がらない。ジムの中でのランニングマシーンのペースで走れていない。明らかに、疲れている。
「ランニングマシーンは、練習のための練習でしかないのだな……」
上がらないペースの中で、そう呟いていた。
ランニングマシーンは、自由にペースや勾配を設定できる。でも、ランニングマシーンでは、急に上ったり、下がったり、曲がったり、声を掛け合ったり、通行している人を避けたりすることはできない。
「そうだ!」
ランニングマシーンで走ることは、セミナーや勉強会に参加したことで満足しているのと同じだ。
セミナーや勉強会は、参加者の意識を変えることを目的としたプログラムで進められている。そこに、ワークショップが組み込まれていれば、参加者の満足度も高まる。熟練の講師と練り込まれたプログラムのセミナーや勉強会に参加すると、セミナー参加後は、意識が変わり、目的が達成できるような気になる。でも、それは、その気になっているだけで、セミナーや勉強会に参加するだけでは、心地よいペースや勾配が設定されている室内のランニングマシーンの上を走っているのと同じだ。セミナーや勉強会で変わった意識を、セミナールームの外で使わない限りは、時間とお金の無駄になるだけ。外に飛び出さなければならない。
外を走ると、思わぬことに出くわす。思わぬことに出くわすことが普通だ。思わぬことに出くわすから、楽しい。ランニングマシーンでは、初めて出会った人と声を掛け合うことはない。外を走っているからこそ、声を掛け合うことができる。
来週の「走ろう会」にも参加してみよう。
思わぬことに出くわしてみよう。
そして、リレーマラソンで1,500メートルを6分30秒で走り切ってみよう!
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