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メディアグランプリ

オフィスに落ちているクリップを拾い続けるとどうなるか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Masa Mik(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
僕は、オフィスを歩くとき、床に目凝らす。
トリュフを探す豚のように、獲物を探すように鷹のように。
 
「あった、あった」
「5つもあるぞ。よく、これだけ落として、気づかないなんて」
「大きいやつ発見」
「おいおい、こんなの見たことないぞ。カラーバージョンもあるのか?」
 
僕のオフィスは、総務、経理部の約70名が働いている。
事務職なので、書類を束ねるクリップが床によく落ちている。
掃除機をかけるのは、土曜日のみ。
なので、誰かが拾わないと、床に落ちたものはそのままになる。
僕はその落ちたクリップを拾うことを習慣とし、2年ほど続けている。
 
なぜ、その習慣が始まったか? というと、大した理由はない。
2年前のある日、床に落ちていたクリップを何の意識もなく拾った。
それを見ていたスタッフのAさんが、褒めてくれたのだ。
「三上さん、ありがとう」
なんか非常にうれしく、自然に拾い始めた。
 
それから因果応報ルールを導入し、ちょっとしたリクリエーションとしている。
因果応報とは、簡単にいうと、良い行いをすれば、いいことが起きる。
悪い行いをすれば、悪いことが起きるということだ。
この場合、落ちているクリップを拾えば、いいことが起きることになる。
ひとつ拾うぐらいで、それを期待するのは、都合が良すぎるだろう。
だから、いいことが起きるには、普通のクリップの場合は10本。
大きいクリップは5本。
カラークリップは珍しいので3本必要としている。
 
このルールは神様が考えたわけではなく、僕が考えたものだ。
だから、この条件が満たされた場合、いいことが起こることもあるし、ないこともある。
 
いいことが起こった場合は、
「やっぱり僕は良い行いをしてるからな。神様、見てくれているな」
と、当然、納得している。
 
いいことがなくても、僕は怒らない。
その場合は、
「拾わなかったら起こっていたであろう悪いことがなくなったから、まあいいや」
と、思っている。
 
最悪のケースだが、クリップを拾っていても悪いこともある。
その場合は、
「おいおい、クリップでは足りないのか? 欲張りな神様め、まあ、クリップ分は軽減してくれているのであろう」
と、100歩譲って受け入れるのである。
 
僕を、クリップを拾うだけで神様から見返りを期待する強欲な人と思うか?
良い行いに相反する悪いことも受け入れる心の広い、すばらしい人と思うか?
さまざまな受け止め方があるとは思う。
しかし、僕はこのルールのお陰で、何かいいことを期待しながら、心の平安を保ち、楽しく、快適なオフィス生活を送っているのである。
 
2年続け、学んだことがいろいろある。
 
クリップ拾いは、ただ床に落ちているクリップを拾うことだ。
落ちたクリップは放っておいても、片付かない。
クリップは自分で元あった場所には戻れないのだから。
拾わなければ、オフィスはきれいにならない。
みんなにとって必要なことだ。
誰でも、簡単にできる。
腰をかがめて、拾うだけだ。
だが、落ちているのに気づかないのか? 拾うのが面倒くさいのか? 拾う人は少ない。
実際、一週間に拾うクリップは約30本と結構多い。
一年では約1500本にもなる。
クリップ拾いは、小さなことだが、大切なことだ。
 
そのことを理解し、周りを見回してみた。
そしたら、小さな大切なことをしている人が多くいることを気づけた。
 
Aさんは、昼前になると、ポットにお湯を満タンにしてくれている。
Bさんは、エコキャップの管理をしてくれている。
Cさんは、毎朝、観葉植物に水をあげてくれる。
Dさんは、トイレの洗面台をタオルでいつもきれいにしてくれる。
Eさんは、給湯室のゴミ出しをよくしてくれる。
彼らは、誰かに指示されたわけではなく、小さな大切なことを自発的にしてくれる。
本当にありがたい。
 
彼らの共通点で、分かったことがある。
それは、「ありがとう」 をよく言うことだ。
納得できる。
僕はクリップ拾いをして、彼らがしている小さな大切なことに気づけた。
ということは、逆を返せば、彼らもそれらに気づけるのだろう。
だから、感謝の気持ちをよく言葉にする。
実際、僕のクリップ拾いを褒めたのは、ポットのお湯を気にしてくれるAさんだった。
 
僕のクリップ拾いは、神様は見てくれていない場合もあるかもしれない。
しかし、彼らはきっと僕に気づいてくれていると思う。
そういう意味では、僕にいいことが起こったら喜んでくれるであろう。
また、悪いことが起こったら、フォローもしてくれるだろう。
 
世の中には、たいしたことではないが、小さな大切なことがある。
それを行うことで、他人が行うそれらに気づくことができる。
気づくことで、お互いに感謝しあえる。
みんな幸せになるのである。
それを、自力 因果応報ルールと呼ぶことにする。
 
 
***

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2017-10-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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