「スランプ」はいったい何を伝えたいのだろうか
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:星絵里華(ライティング・ゼミ日曜コース)
「お願い。もう少しゆっくり話してくれない?」
高校3年生の秋、私が友人にお願いしたことだった。
別に友人が早口だったわけではない。
高校2年生の時に同じクラスになってから、ほぼ毎日のように話していた友人だったし、早口だと思ったことなんて一度もなかった。
たぶん、スランプのようなものだったのだと思う。
思考回路がほぼ停止した状態で、日常会話すら理解できなくなっていた。
「スランプ」という言葉は、自分が苦しい時は特に、「努力の結晶」みたいに聞こえる。
というか、そう思いたい。
でも、本当にそうなのだろうか。
私のこの日常会話にすらついていけない状況を作った原因は、たぶん受験勉強だ。
だから、私はスランプに陥るくらい受験勉強を頑張ったのだ、と言えるのだろうか。
自分のことだから分かる。
違う。頑張れていなかった。
頑張れない自分に毎日イライラしていたし、どうしたらいいのかと焦っていた。
でも頑張れていないことを受け入れたくなくて、量を稼ごうとした。
毎日4、5時間睡眠で、それ以外はほぼ勉強。友人と話すこともほぼしないし、もちろんテレビも見ない。ただひたすら机に向かった。
問題集も何回もやれば出来るようになるだろうと、何度も繰り返した。
当然ながら模試の結果は悲惨。
周りがどんどん成績をのばしていく中、取り残される私。
こんな状況にへとへとだった。
そんなある日、私は、友人との日常会話についていけない、問題文を読んでも文字を解読できない、こんな状況に陥った。
私が日常会話すらついていけなくなっていた頃、クラスメイト達は当然、普通に日常会話を楽しんでいた。そして、彼らは確実に成績をのばしていた。そのクラスメイト達が頑張っていなかったか、と聞かれればもちろん答えはNoだ。
日々の勉強密度は私よりもはるかに濃かったと思う。
だから、スランプは努力の結晶なんかじゃなかったのだ。
もしそうなら、クラスメイト達も同じようなスランプに陥っているはずだから。
では、スランプとはいったい何なのか。
高校3年生の時は分からなかったけれど、今なら分かる。
それは、精神的なものだと。
目の前の勉強に集中できなくて、頑張れていない、結果が出ていないことに、私はただただ焦っていた。だから、いつもできる日常会話さえできなくなっただけ。
加齢とともに代謝が落ちて、体重が増えやすくなる。
でも、運動して、食生活に気をつけて、いつまでも引き締まっている人だっている。
日々の自分の身体の状態に耳を傾けて、コツコツ努力しているかどうか。
スランプも同じだと思う。
ちょっとした心の変化に気をつけて、日々の体の汚れを落とすように心のストレスという汚れを落としていれば、きっと安定した精神状態を保つことができる。
日々の自分の心の状態に耳を傾けて、コツコツ努力しているかどうか。
私は頑張ったからスランプに陥ったんじゃない。
自己管理が甘かったからだ。
苦しいとつい、頑張っていると思いたくなる。
せめて私だけは認めてあげないと、なんて思い始める。
それも大事なのだろうけれど。
エスカレートすると、ほんの少し、普段うまくいっていることがうまくいかなくなっただけで、スランプかなと思い始める。
そして、休むこと、逃げることを正当化してしまう。
努力の結晶という意味のスランプなんてきっとない。
うまくいかないのは、「頑張り過ぎてスランプに陥っているよ。休憩しなさい」ではなくて、「頑張り方が間違っているよ。方法を変えましょう」というメッセージなのだと思う。
今の私は、仕事もプライベートも課題が山積みだ。
色々手を出しては、キャパオーバーになりかけている。
そんなキャパオーバーな状況に潰されそうになって、色々なところにぼろが出てしまう。
それをまるでスランプに陥ったから、普段できることも出来なくなっているかのように錯覚したくなる。
でも、努力の結晶というスランプはないと知ったのだから、頑張るのをやめてはいけない。
やめたら何もしていないのと同じなのだから、何も今より良くならない。何もできるようにはならない。
うまくいかないこと1つ1つのやり方が正しいのか振り返ってみようと思う。
1つ1つに焦点を当てて取り組んで、自己管理も徹底しようと思う。
そうすれば、1つずつクリアできるはずだ。
これからは、普段できていることが出来なくなったとき、スランプという言葉で逃げるのではなく、自己管理の甘さを認識し、やり方を考え直すように心がけたいと思う。
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