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メディアグランプリ

タスキは繋ぐ相手がいる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤田功(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「藤田さん! がんばれー!」
チームメイトの声援を受け、肩にかけたタスキを外し、最後の力を振り絞って、ラストスパート!
そして、1,500メートルを走り切り、「がんばってください!」と声をかけて、次の走者にタスキを繋ぐ。
 
タスキを繋ぐことが出来た安堵感と満足感でほっとして、チームメイトの輪に戻ると、「ナイスラン! おつかれさま!」とのハイタッチ!
普段なら、ハイタッチは照れくさいけれど、「やったー!」と自然と笑顔でハイタッチを返す。
 
土曜日、スポーツクラブ主催のリレーマラソンに参加した。
一周1,500メートルのコースを、8人のチームメイトでタスキを繋ぎながら3時間走り続ける。
 
スタート時間は午前11時。天候は曇り。ときどき、雨もぱらつく。全く太陽が見えない。半袖、半パンを諦めて、ジャンパーとロングタイツを身に付けるほどの寒さだ。
スタート前のこのような状況は、残念ながら、私のテンションを下げていた。
 
「がんばってください」
「おつかれさまでした」
リレーマラソンがスタートして、チームメイトの一人目、二人目の走者に声をかけるが、相変わらず、テンションは上がらない。
 
私の走る順番は8番目。8人のチームなので、チームの中で最後に走ることになる。
そして、私が走る順番になった。私は、7番目のチームメイトからタスキを受けた。
 
タスキを受け取ると、競技場内のトラックを100メートルほど走って、すぐに、競技場の外に出る。
「がんばれー!」
競技場の外に出ると、多くの人が大きな声をかけてくれる。参加者の知人やスポーツクラブのスタッフが競技場外のコースで待ち構えていた。
 
すると、どうだろう!
いきなり、私のテンションが上がってくる!
テンションだけでなく、走るスピードも上がる!
 
リレーマラソンの一周1,500メートルのコースは、競技場外を走った後に、再び競技場内に戻ってくる。そして、競技場内のトラックを400メートルほど走って、次の走者にタスキを繋ぐ。
 
競技場外を走るうちに、ドンドンとテンションが上がり、そして、テンションだけでなくスピードも上がって、競技場内に戻ってきた。
 
私自身が驚いたが、ほんの数分前まで、チームメイトを応援するためにいた競技場内が、全く別物のように感じる。
トラック沿いからの声援が凄い!
スタンドからの声援が凄い!
数分前までは聞こえなかった声援が、はっきりと耳に入ってくる。
 
スピードを上げて、競技場内に戻ってきたが、さらに、スピードを上げてトラックを走ることができる!
そして、スピードを上げることができるのは、私だけではない。前を走っている人のスピードも上がっている。抜き去ることができるだろうとギアを上げても、前を走っている人のギアも上がる!
前を走っている人も、私と同じ感覚なのだろう。
 
「藤田さん! がんばれー!」
スタート地点では、たくさんの声援の中から、チームメイトの声を聞き取ることができる。
そして、次の走者にタスキを繋ぐ。
「がんばってください!」と自然と言葉を口にした。
 
タスキを繋ぎ終えて、チームメイトの輪に戻ると、自然とハイタッチの輪に加わることができた!
1,500メートルのタイムは6分17秒。
目標としていた6分30秒を上回ることができたが、それ以上に、気持ちが昂る。
 
そのときは、声援や応援が、私のテンションとスピードを上げてくれたと感じた。
 
そして、この日、三度目のタスキを受け、1,500メートルを走り出す。走り出す直前に、残り時間10分との場内アナウンスが流れる。10分以内にゴールすれば、次のチームメイトにタスキを繋ぐことができる。
普通に走って10分はかからないはずだが、走っているときは、「次のチームメイトに、もう一度、タスキを繋ぎたい!」との想いだけになっていた。
 
実は、声援や応援ではなく、タスキを繋ぎたいという想いが、私のテンションとスピードを上げてくれたのだ!
 
「タスキを繋ぐ」ということは、「書く」ということに似ている。
 
タスキがあろうがなかろうが、走っているときは一人だ。しかし、タスキを肩にかけて走ると、その先には、繋ぐ相手が待っている。タスキを繋ぐ相手の顔を思い浮かべることができるので、テンションも上がり、スピードも上がり、最後まで走り切れる。
書くときも一人だ。しかし、日記以外は、誰かに読んでもらうために書く。読んでもらいたい相手の顔を思い浮かべることなく書いても、その文章には伝わるものが無い。
 
競技場外、競技場内の声援もリレーマラソンのクライマックスを迎えて、一段と大きくなる。
タスキの役割を知っているから、声援を送る人も熱くなれるのだろう。
 
そして、3分ほど残して、最後のタスキを繋ぐことができた。
「がんばってください!」
「ありがとう!」
二人とも笑顔だ。
 
そして、チームメイトの輪に戻り、自ら、ハイタッチを求める。
タスキを繋ぐことで、テンションも上がり、スピードも上がり、ハイタッチも笑顔だ。
 
さあ、あとは、私がタスキを繋いだチームメイトが戻ってくるのを、待つだけだ。
ハイタッチと最高の笑顔で!
 
 
***

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2017-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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