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メディアグランプリ

雨から逃れるために、飛行機に乗る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田あゆみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「うわー」
思わず、一人座席に座ったまま、声を上げていた。
じんわりと暖かった。太陽の光が、冷えた身体を暖めてくれているような気がした。
空の上から眺める雲は、白く輝いていた。
美しかった。幻想的だった。
私は飛行機の中にいて、窓から外を眺めていた。
 
飛行機に乗るまでいらいらしていた。
昼から出張に行くことが決まっていた。朝から降り続いている雨は、更に勢いを増していた。
私は2泊分の荷物を抱えて、雨の中、空港行きのバス乗り場まで歩いた。
初めての出張先だ。忘れ物がないか、無事にたどり着けるのか、何だかそわそわしてしまう。
それに加えてこの雨だ。
スーツケースや鞄が濡れるのも気になる。
大事な書類が水浸しになるのを防ぐために鞄を傘で守っていたせいで、自分の身は全くカバーできず、ずぶ濡れだった。
 
沈んだ気持ちで、何度となく雨さえ降っていなかったならなぁと、そんなことばかり考えていた。
 
そして、本当に来てしまったのだ。
雨のない世界に。
飛行機は、雲の上を飛ぶのだから、雨が降らないのは当たり前のことだろう。
だけど、こんな大雨の日に飛行機に乗った経験がなかったもので、あまりの変化に驚いた。
大雨の暗い世界から、光の差すあたたかな世界に。
 
ふと、昔のことを思い出した。
中学生の頃、私は外で遊ぶのが大好きな子どもだった。
今考えると、信じられないくらい真剣に、雨が降って外で遊ぶことが出来ない日を心から嫌っていた。
 
雨の日にしとしとと濡れている校庭を見つめて、幾度となく思ったものだ。
 
雨さえ降っていなかったらなぁ、と
初めての地へ旅行する時、雨が降ってしまってがっかりしたことも何度かある。
大事な試合が雨で中止になってしまったこともある。
 
その時も強く、強く思った。
雨さえ降っていなかったらなぁ、と。
 
もしかしたら、人生には自分の手ではどうにも出来ないことがあるというのは、雨に教わったことだったかもしれない。
どんなに念じても、文句を言っても雨雲は消えてくれなかった。
てるてる坊主は、いつも効くわけではなかった。
 
でも、実は、雨の降らない場所へ行く方法ってあったんだなと、飛行機から外を眺めながら思った。
 
絶対的にあり得ないはずだったことが、あり得ている。
雨から逃げることは出来ないと思っていたのに、逃げる方法があった。
 
何事にも絶対なんてことはないんだよね、と何だか思わずにやけてしまった。
 
これは、学びに似てると思った。
 
絶対に無理だとか、絶対にこうだとか、色んなことに対してどうしても思い込んでしまうことが多々ある。
 
でも、本当は自分でも思いつくことの出来ないところに絶対にあり得ないことを可能にしてしまう方法が色々とあることがある。
 
何かをひとつの角度からだけ見ると、ひとつの可能性にしか気づくことは出来ないけれど、何かを学んで他の視点を手に入れると、思わぬ発見をすることがある。
 
自分が信じていたものが、信念と思っていたものががらがらと音を立てて崩れていくことがある。
 
それは、少し怖いことだ。
自分の信じていたものをなくすことになるから。
自分の寄って立っていた考えを根本から見直さなくてはいけなくなるから。
だけど、同時に大きな快感だ。
 
本当の自分自身の考えを得るためには、思い込みを壊すことが一番有効だと思うからだ。
絶対と勝手に思い込んでいた枠を外してみることで、自分はなんでそう思い込んでいたのかに考えを巡らせることが出来る。
枠の中にいることに、まず気が付くのが第一歩だ。
そして、それを外してみる事。
 
井の中の蛙は、自分が井の中にいることに気が付かない。
 
何かにとらわれている時には、自分がとらわれている思い込みに気づくことは出来ない。
 
だからこそ、時には違う視線を得るために学びが必要なのだと思う。
新しいことをする、読んだことのない本を読む。
普段とは違う絵ジャンルの映画を観てみる。
いつもとは違う人と話してみる。
 
何か決まりきった結果を求めてそうするのではなくて、とりあえずいつもと違うことを学んでみる。
 
それが、私にとっての雨の日の飛行機みたいに、自分の中の常識を壊してくれる突破口になる。
 
日常に追われて、今ばかりにとらわれていると、目の前のことばかりに必死になってしまう。
すると余計に、狭い思考の中にがんじがらめになってしまうような気がする。
 
そんな時は、飛行機に乗るように違う学びという形の刺激を自分に与えよう。
思い込みを壊すことで、自分で自分の主義や主張を選び取れる。
 
そうやって主体的に生きていきたい。
 
そんなことを思いながら、美しい空の景色を眺めていた。
日常って、本当に発見に溢れているものだな、と何だかうれしく思った。
 
***

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2017-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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