「出会えない率=年齢」だった私が学んだこと
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記事:橋本真美(ライティング・ゼミ平日コース)
「世の中を2つに分けるとしたら、どう分ける?」
ある時、友人が尋ねてきた。
「うーん、世の中っていうのじゃないけど……」
そんなの、考えなくても即答できる。
ずっと思ってきたことがあるからだ。
「世の中は2種類の人でできている。エンゼルが当たる人と、当たらない人だ」
エンゼルとは、チョコボールの箱の「くちばし」とされる部分に現れるという幻の生き物。銀色のものと、金色のものがいるらしく、金のエンゼルを1枚、銀のエンゼルなら5枚を集めて森永製菓に送ると、謎のベールに包まれた「おもちゃの缶詰」なるものが送られてくるという。
しかし、いずれもメタル系スライム以上に遭遇するのが困難なのだ。
チョコボールが単純に好きで、これまで周りにいる同年代には負けないぐらい食べてきたのではないかと自負している。
だが、そんな私でもただの一度も遭遇していないのである。
もはや、エンゼルには人格があって、嫌いな人を避けているのではないかと妄想してしまうぐらいだ。
いや、それ以前に存在しないのではないか。
いつの頃からか森永を疑うまでになっていた。
ところがだ。
一度後輩との会話で何気なくチョコボールの話をしたところ
「うちの弟、おもちゃの缶詰6回ぐらいもらってましたよ」
と事もなげに言われてしまったのだ。
驚愕である。
実在するのかも怪しいエンゼルがそんなにも当たるわけがない!
嘘を言っているのかと疑ったが、そんなことをする意味がなかった。
驚いている私に、後輩はサラリと「けっこうよく出るみたいですよね」と言い放った。
神様というやつはどうにも不公平だ。
特に求めていないところに大量のエンゼルを送り込み、
こんなにもエンゼルに焦がれているところにどうして1つとしてよこしてくれないのか。
ところが、ある日「エンゼルなし歴=年齢」の伝説は幕を閉じた。
小さな紙箱の、さらに小さなパーツの片面に、銀色に輝く姿。
軽やかな浮遊姿勢をとりながら、片手をあげて「きてやったぜ」と言うようにニヒルに笑っている。
背中には羽、そして右下にご丁寧に名前も入っている。
間違いない。これこそが紛れもない「エンゼル」だ。
「幻じゃなかったんだ……」
誰もいないのに声が漏れた。
出てこないことがもはやネタにもなっていた。言葉と同時にあふれ出たのは、果たして感激なのか、落胆なのか、わからない。
つい先日、テレビでも活躍している医師の講演を聞く機会があったのだが、そこで印象に残ったのが「思い込みの力」というくだりだった。
その医師は77歳。男性の平均寿命81歳まであと4歳に迫っているが、バイタリティにあふれ、寿命なんて言葉とまだまだ縁遠く見える。でも、仮に本人が「あと4年か。余命いくばくもないな」と思うと、体がそれに応えて「お前そう考えてるのか。じゃあ殺してやるよ」と一気に衰えていくというのだ。
事実、そんなことを考えないせいか、現在もランニングや山登りをする体力を持ち、数年前にはワインのテイスティング試験にも合格。「まだなんでもできる」と考えているという。思い込みの力をまさに体現しているということだ。
いわゆる「引き寄せの法則」もきっと似たようなものだろう。人間の思考は体や能力、ともすれば運とも直結するということか。俗に言う引き寄せの法則は「強い想いは叶う」という類のものだが、逆もしかりだろう。それを聞いた時、ふと思ったのが、エンゼルのことだった。
思えば、ずっと「自分はエンゼルのこない側の人間」だと根拠もなく思い込んでいた。
なぜそんな風に凝り固まって考えていたのだろう。
たった1枚だけれど「引き当てた」ことにより、私は「当たらない人間」ではなくなった。そう思考が一変したのか、実はその後に再びエンゼルはやってきた。
銀のエンゼルは5枚集めてナンボ。最初の1枚を当てるのに30年以上かかったのだからさすがにコンプリートまで生きてはいないだろうと思ったが、2枚目が出た少し後に、友人が残りを集めてくれ、奇跡的に手元に5枚が揃った。
妙な思い込みを取り除くと、世界は一気に変わった。
世の中は決してエンゼルの当たる人と当たらない人だけではなかった。
私は「ちょっと当たりにくかった人」なだけだ。もしかすると今後はたくさんのエンゼルが私に会いに来るかもしれない。
思い込みで若さを維持することもできれば、運を手放していることもあるということだ。うまくコントロールできればいいのだが、なかなか難しい。
まもなく年末。
部屋の掃除も必要だが、心身の断捨離も重要。
他にも思い込みで逃している運やチャンスがあるかもしれない。
今年は大掃除と併せて無用な思い込みを洗い出す必要がありそうだ。
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