メディアグランプリ

脳内トリップのすゝめ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:川村文(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
ペンを持つ手に力がこもる。
 
高校時代の試験や仕事の企画会議でさえもなかった力の入れようだ。
ましてやデジタルが普及した時代にこんな感覚を覚えるなんて。
 
この右手のシチュエーションは、三十半ばを通り過ぎた私にとっては夢見ている結婚が決まり、いよいよ婚姻届にサインをする、という瞬間であって欲しかった。
そんなことを思いながら、気持ちはゆるく穏やかでリラックスしている自分がいる。
 
目の前には氷が溶け始め、プラスチックカップの周りに無数の水滴が現れだしたカフェラテ。
元の場所から集合し、整列した明るい木目のテーブルたち。
その先には、スクリーンに映し出されたひとりのスキンヘッドの男。
 
私は今、それらを眺め、静かに心躍らせている。
 
 
ここは「福岡天狼院」
 
その名からはピンとこないが、いわゆる書店である。
 
 
福岡天狼院がある今泉というエリアは、昔は諸にラブホテル街だった。
街の中心部の大通りからほんの一本入った道だが、呑んだ帰りに女ひとりで歩くには、少し身を固くして足早に通り過ぎるような雰囲気があった。
今でもその名残がありラブホテルが点在しているが、すぐ隣には飲食店や洋服店が建ち並び、おしゃれな若者たちが行き交うカフェ激戦区へと変貌を遂げ、連日深夜まで賑わっている。
 
その一角にある今泉公園、通称三角公園の目の前にある、赤いレンガ調のマンションの二階にこの書店は存在する。
 
三角公園は長い間、地下の浸水対策工事が行われ、整備が完了したのは確か去年のこと。
リニューアル後は小さな滑り台とスプリング遊具が一台ずつ設置されただけで見渡しが良い。
春には手作り弁当を広げ花見を楽しむ家族や、夏の夜には束の間の別れを惜しむようにベンチで会話を弾ませているカップル。
秋の透明度が高い空や、冬の彩度が低い空を感じられるその場所も、またいつしかピンク色の景色が広がっていく。
店内の窓辺にあるカウンターからは、そんな風景を眺めながらパソコン作業をする人や好きな本を片手にコーヒーを飲んだり、ホットドッグを食べられたりするのだ。
 
しかし、私はその存在をなんとなく、程度にしか認識していなかった。
そして今日、初めて訪れたのだ。
この書店で行われるライティング・ゼミを受けるために。
 
 
私は学生の頃から言葉の音や響きが好きだった。
ある時、文章を書くことを楽しんでいる自分に気付き、何故だろうと考えてみた。
 
好きな理由なんて完全なる後付けではあるが、おそらく小学生の時に夏休みの課題で書いた作文が、市の文集に掲載されたことがルーツではないかと思っている。
内容は雲仙市小浜町にある叔父の牧場での体験記で、子牛が産まれる瞬間に立ち会った感動を綴ったものだった。
全校生徒の前で表彰され、はにかみながらも誇らしく嬉しかった記憶があり、褒められたことが好きと錯覚させ始めたのかもしれない。
 
だけど活字はごくたまにしか読まず、どちらかというと視覚的に眺め、体感するものを好む。
なぜなら、イマジネーションを働かせることが好きだからだ。
 
イマジネーションには様々な種類がある。
私の場合、今の自分が叶えられるであろう、もしくは頑張ればなんとか辿り着けるかもしれない、という願望や欲望に対してのイマジネーションが大きな割合を占める。
 
私はこれを「脳内トリップ」と呼んでいる。
 
俗に言う「脳内トリップ」とは、日常のふとした数分間、目の前の現実から離れ、頭の中でどこかへ旅に出ることだろう。
しかし、私がそう呼ぶ行為は、どうやったら自分のイメージを現実化して、自分なりに満たすことが出来るのか。
わかりやすくいうと、目標や目的を明確にして、行動に移し達成する為の方法を考えることと定義している。
 
例えば、休日の過ごし方など身近で小さな事柄から、未だ先が見えない結婚や、文章を書く仕事がしてみたいという将来的な夢までも、この「脳内トリップ」を駆使していく。
 
では、それを行うことによってどのような効果があるのか?
 
結論からいうと、その想いや願いが叶えられるということだ。
いや、正しくは叶える為の力が身に付くこと、またその近道であるということ。
 
何事も意識することや想いを発することは重要で、その積み重ねが実際の行動に繋がり結果を生み出していくのだと思う。
私にとっての書店や本は、その「脳内トリップ」を高めるひとつの存在であり、文章を書くという手段も同じ要素なのだ。
 
だから私はこのゼミに申し込んだ訳である。
 
 
さて、ようやく待ちに待ったこの日がやってきた。
講義の一時間前から席に座り、まっさらなノートを広げ、その始まりを待つ。
今回の「脳内トリップ」は今までに経験したことがない、壮大な旅になりそうだ。
 
時刻は19時半を過ぎた。
この天狼院書店の店主であり、ライティング・ゼミの講師でもあるスキンヘッドの男が、
「未知の世界へと案内しよう」と言わんばかりに、その物語のプロローグを語り始めた。
 
***

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2017-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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