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物事をスムーズに進めるためのつながり


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Minami(ライティングゼミ・平日コース)
 
私は泳げない。
いや正確にはクロールで息継ぎができない。
 
中学生時代の水泳の試験は、25メートル泳ぐことだった。泳げなければ夏休みの補講が待っていたので、飛び込んで距離を稼ぎ、手足をフル回転し、息継ぎは1回だけ、途中溺れそうになりながら25メートル完泳し、補講を免れた。
 
今年の初め、テレビでご年配の女性が優雅にゆっくりと泳いでいる映像を見て、素敵だなと思った私は、長年できなかった息継ぎの課題を引っ張り出して、再チャレンジを始めた。
 
早く泳げなくても良い。のんびりと優雅に泳げれば、年老いても運動できる、と思ってスポーツクラブのプールに通い出したのだ。インターネットで「クロール泳ぎ方」の画像を検索し目を皿のようにしてクロール息継ぎ映像を焼き付け、イメージトレーニングをして臨んだ。
 
しかし、できない。
息継ぎをすると、手足が止まり、下に体が沈む。つまり溺れている。
「練習あるのみ」と通い続けたが、できない。
 
泳げる人に相談すると、「体は一直縁だよ」「自分をだんごの串だと思って伸ばして」「手はかき出すように」「息継ぎはぱっつとする」などたくさんのアドバイスをくれ、片っ端から試した。アドバイスを忠実に守ろうとし、アドバイスにも溺れてしまう始末だった。たくさんのお手玉を投げ、全部落としている状態が続いた。
 
転機は突然やってきた。
スタッフの田中さんにクロール息継ぎのアドバイスを求めたとき、「水中で鼻と口から息をブクブクして・・・・・・」と聞きなれないことを言った。「えっつ、ちょっと待って、泳いでいるときは息を止めているよね、ブクブクするの?」と聞いていた。
 
当然顔の田中さんの説明に愕然とした。
私は泳ぐ前に息を思い切り吸い込み、苦しくなってから息を吸う。思い切り吸おうとすると、顔が上がる、手足が止まる、だから溺れるという悪循環サイクルだった。息を吸うときは「顔を上げるんじゃなくて横を向くとよい」とアドバイスもくれた。溺れる原因がわかった。泳げないわけだ。
 
「原因がわかればこっちのもんだ」と思って試してみたが、うまくいかない。
頭ではわかっているのに体がいうことをきかない。
「手も足も動け~止まるな!」と心の中で念じながら泳いだ。「まぐろがはねているみたいだ」と一緒にプールに通う主人から言われ、隣のレーンで水中ウォーキングをしている人からは、迷惑そうによけられた。漫画のような図になっているに違いなかったが、私は続けた。すると、沈む秒数が少なくなくなり、息継ぎができる回数も増えてきた。
 
「手と足と息継ぎ」が「つながり」を持ち始めた。
まぐろがはねているようだった泳ぎも、今ではだいぶ静かになった。ばらばらだった動きが「つながり」を持ち、良い循環になっていった。
 
「つながり」と思った瞬間、ある記憶がフラッシュバックした。
 
ビジネスマナーの研修講師になりたての頃、話し方の悩みを抱えていた。
話す内容は完全に覚えたものの、内容をつなぐ言葉が出てこなかった。
「さて、続いては、あいさつです」「さて、おじぎです」と「さて」でつないで説明するさまは、自分でも滑稽だったが、どうすればよいか見当がつかなかった。あまりのワンパターンな説明ぶりに居眠りを始める参加者もいたから、深刻な悩みだった。自然に次のページにつなげなるような説明をしたいと思っていた。
 
研修の参加者は正直なのだ。
自分に関係のないことを延々聞いていると目も心も閉じてしまう。
特に「今さらビジネスマナーなんて」というベテラン社員には興味を持ってもらえないばかりか、「忙しいので帰ってもいいですか」なんて言われたりすることもあった。
 
どうしたら私は自然に話をすることができ、皆が興味を持って聞いてくれるのかわからなかった。こうして、「さてさて進行」から抜け出すための悪戦苦闘と試行錯誤の日々が始まった。
 
その末にたどり着いた解は「つながり」だった。
たとえば、あいさつの内容が終わり、おじぎへと移りたいとき、「同じ挨拶しているのに、礼儀正しいと言われる人とそうではない人の差はどこから生まれると思いますか?信頼されるおじぎの極意を紹介します」と言葉をつなげば「さて、次はおじぎです」と言わなくて済むし、この内容を学んで得られるメリットも伝えられる。A地点の話とB地点の話をつなぐ「橋」の役割をする言葉または文章のことを指す意味合いを込め「ブリッジ」と名付けた。
 
講師の話し方も、水泳の息継ぎも、上達のコツは「つながり」だった。
できなかったことができるようになり、時が経つと、できない人の気持ちを忘れてしまう。そうなった講師は「傲慢さ」が出る。なぜこんなに簡単なこともできないのと参加者に文句を言うようになる。お笑い芸人が、「今日はお客が悪かったよ、笑いのセンスがない」と言っているのは、講師の傲慢さとかぶる。私の水泳の息継ぎチャレンジは、自制の意味も込めて、引っ張り出した人生の課題でもあった。
 
人もモノもコトも「つながり」を持てば滑らかになる。
人間関係もそうだ。一人では解決できないこともこの世の中にはたくさんあって人は一人では生きていけない、面倒もあるが、一人より二人より仲間の「つながり」を持てばそれだけなめらかな接点が増えていくということだろう。分断ではなく統合、点から線、すると全体像が見えてくる。
 
物事をスムーズに進めるためには「つながり」は大事なのだ。
「つながり」が見えてくると興味がおきて、
「つながり」が持てると達成感がわいてくるのだから。
 
 
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2017-12-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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