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すしがすき


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岡尾哲兵(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 何か気分を上げたいときや、何か目標を達成したとき、はたまた誰かのお祝いをするとき、僕は可能な限り寿司を食べるようにしている。カウンター寿司、回転ずし、立ち食いずしなどの形式は問わない。
 最近の回転ずし屋ではタブレットを導入している所も多いのだが、そんなところに出くわすと、人件費の分、ネタがいいのではないかと気分が踊る。要するに寿司と寿司屋という空間に心をうばわれているのだ。
 
 「美味しいものは脂肪と糖でできている」というキャッチコピーがあったが、脂肪と糖を摂取すると、脳から快楽物質的なものが出ると聞いたことがある。一種の麻薬のようなものということらしい。しかしそんな脂肪と糖の中でも寿司はもっとも罪悪感の少ないものではないだろうか。
 脂肪と糖と言われて思い浮かぶのはいえば、なんといってもラーメンだろう。スープの油脂と麺の糖質、申しわけ程度の野菜とチャーシューなどのタンパク質。これでは太るし、体に悪いに決まっている。塩分もかなりのものだろう。
 翻って「我が軍=寿司」であるが、ネタのタンパク質と脂肪、シャリの糖質で構成としては実はそう変わりはない。が、ノーオイリーな質感と、魚のタンパク質がなんだか健康によさそうな感じがするのと、オメガ3をたくさん含んだ魚の油はどんどん摂取していいという風潮? により、全く罪悪感がない。脳は喜んでいるのに。すごい。
 糖質制限的な見地から見ると、寿司というのはかなりグレーというか、真っ黒なあかんやつであるが、世界各国から「健康食」だと思われているので、「まあいいか」数値は高くなる。ラーメン食べるのに比べたらましじゃないか。
 さらに、寿司というのはなにも、にぎりだけをがつがつと食べなければいけないわけではない。その時々の旬の魚をつまんで、焼き物なんかに移行して、茶碗蒸しもいって、その間に酔っ払ってしまえば、にぎりはそんなに食べられないだろう。そこまでいってしまえば、割とお金も使うことになるので、お店にも嫌な顔はされない。win-winである。会計的には負けたような気がするかもしれないが、そこは寿司が相手だとあきらめるしかない。このような楽しみ方は、一昔前までカウンター寿司限定のものだったが、いまでは回転ずしでも豊富なつまみメニューがあるし、チェーンによっては、寿司のシャリ部分を大根の酢漬けのような低糖質なものに変えてくれるところもあるから盤石である。会計でも負けない。すごい。
 
 寿司のすごいところはそれにとどまらない。
 
 寿司が世界に誇れる日本の食文化だということは、多くの人に同意してもらえることと思う。海に囲まれた島国の我が国で、水揚げされた魚に職人が包丁一本で対峙する。味付けはほとんどが醤油とわさび。炙ったものにたまに塩やポン酢を使う程度か
 それであれだけの味のバリエーションを味あわせてくれる。
そんな寿司や寿司屋のつまみを食べていると、思考はシンプルに、そしてミニマムになってくる。さまざまな悩みや、自分の進むべき道もうっすらと見えてくるような気がする。自分の持っているもので、真剣に勝負するしかない、というような不思議にポジティブな気持ちが溢れてくるような気がするのだ。
「ただ酔っ払っているだけではないか」あなたはそう言うかもしれない。実際にその通りなこともあるだろう。しかし、日本の食文化を宣揚していると思えば、そんなこともどうでもよくなる。すごい。
 
 そして、寿司屋には実に様々な人間模様がある。
 
 カウンター寿司では、けばけばしい格好をした女性と、初老の男性といういわゆる同伴とおぼしき二人組みに出くわすことがままある。僕のような小市民からすると、女性と遊ぶお金と、寿司屋の代金を両方負担するなんて考えられないと常々思っていたのだが、よくよく観察してみると、彼らの多くはボトルキープした酒をチビチビとやりながら、あまりオーダーはしないようである。
 今日は遊ぶぞ! という「しるし」のようなものなのだろうか。寿司屋というワンクッションが彼らのナイトライフをさらに豊かにするようだ。あるいは、寿司で脳を喜ばせて罪悪感を麻痺させているのかもしれない。だとしたら……すごい。
  
 寿司ほど自由な食べものもないだろう。
 
 僕のように酒とつまみを楽しみながらという人もいれば、握りだけをさくって食べていく人もいる。一人客にこれほど優しい業態もないが、一方で老若男女問わず人気があり、週末の寿司屋は家族連れも多くみかける。外国人もみんな寿司が好きだ。それぞれが思い思いのかたちで「寿司道」を楽しんだり、突き進んだりしている。これはもう最強のコンテンツと言って差し支えないだろう。
 ライティング・ゼミを始めとして「コンテンツ」作りに勤しんでいる僕が、こんな文章をかいたあとで、寿司以外のものを食べずることなどできるだろうか、いやない(反語)。
 と、自分の罪悪感を吹き飛ばして、今日も寿司屋にむかうのである。この魔性の吸引力……やっぱりすごい。
  
 
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2017-12-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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