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「経験」を武器に「おじさん革命」をはじめよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:こっき(ライティング・ゼミ平日コース)
 
僕はIT企業の人事部門で人材開発・組織開発をしている。
平たく言えば、働く人と組織がイキイキ・ワクワクしながら、成長したり、成果を上げたりするためのサポートをする仕事だ。
 
この仕事を始めたのは2年前、40歳の春だ。
それまでは事業部門でビジネス開発をしていた。サラリーマン人生でいえば、実に19年目からの新しい領域への挑戦となり、会社の中でもあまり例がないタイミングで大幅な職種チェンジをしたことになる。
 
40歳は「不惑」といわれ、一般的に人生の方向性が定まる時期だとされている。
また、若い人からすれば40代は立派な「おじさん」の部類に入り、会社の中でも「ベテラン社員」と呼ばれたりする。いい意味でも悪い意味でも、「落ち着いてくる」年齢だと思われると思う。自分も若かりし頃はそう思っていた。
 
でも世の中を見渡してみると、イマドキの40代は意外と挑戦している人が多い。
転職をしたり、起業をしたり、今の会社に勤めながら副業をやったりと、若い人に負けず新しいことにチャレンジしている「元気なおじさん」たちだ。
 
僕と同じように、会社にいながら積極的な異動や職種転向をすることで、経験を重ねて、スキルを磨き続ける「元気なおじさん」もいる。また、仕事以外でも新しい趣味をどんどん広げたり、ボランティア活動を始めたりしている「元気なおじさん」もたくさんいる。全然「不惑」じゃない。
 
2016年からは安倍政権が旗振りをしている「働き方改革」の波もあって、個人の生産性向上が求められるようになった。仕事と個人の関係性も多様になりつつある中で、この流れは今後も加速する一方だろう。
 
しかし、そんな風に「元気なおじさん」たちが増えつつある一方で、「元気じゃないおじさん」たちもたくさんいる。真面目に働きながら40代を迎えたけれど、将来に漠然と不安を感じたままでいる人たちだ。
 
僕は仕事柄、ベテラン社員とキャリアの話をすることも多い。先日、もともと同じ部署にいた同世代の同僚と話をしたが、彼から出てきた言葉は明るい内容ではなかった。
 
「これまでやってきた仕事には自負があるが、全力を発揮できている実感はない」
「若手が活躍する中で、変化についていくのがだんだんツラくなってきた」
「副業とか始めたほうがいいのかも知れないけれど、そこまでのスキルがあるのかな」
 
会社勤めをしてきた40代のビジネスマンとしては一般的な悩みかもしれない。
ただ、昨今は世の中の「元気なおじさん」が目につく分、相対的に「元気じゃない自分」に気づかされる部分も多いのかもしれない。
 
僕は2年前に職種転向をしたときからずっと考えてきたことがある。
それはこうした「元気じゃないおじさん」たちをどうサポートすればいいか、ということだ。僕自身、現在おじさんであり、過去には元気に仕事ができない時期があったこともあって、まったく他人事ではないのだ。
 
なかなか前向きになれない「元気じゃないおじさん」に、自分の価値に気づいてもらい、前向きに日々邁進してもらうための、そんな起爆剤はないものか。
 
それがつい最近見つかった。
見つかったというより、自分の中で「つながった」感覚に近い。人材開発に取り組む中で学んできた知識の1つが、このテーマに道筋をつける一条の光になると確信が持てたのだ。
 
すべての人がすでに持っているもので、今日からでも活かすことができる武器。
当然、すべてのおじさんがすでに持っているもので、おじさんこそ今すぐ活かすべき武器。
 
それは「経験」という武器だ。
 
単にこれまでに取り組んできた仕事や、出してきた実績のことを言っているのではない。そうした経験を、未来の成長に変える「経験学習」という考え方が、「元気なおじさん」になるための起爆剤になると考えたのだ。
 
「経験学習」とは、「人は経験から学ぶことで、成長を加速することができる」という概念をサイクル図で表現したモデルで、組織行動学者デイビッド・コルブが提唱して世の中に広まったものだ。
 
小難しそうに書いているが、内容はとてもシンプルだ。
 
1. まず何かを経験する(経験)
2. その経験の「よかったこと」「よくなかったこと」を振り返る(内省)
3. そこからの「気づき」「教訓」を得る(概念化)
4. あらためて次の挑戦に向かう(実践)
 
この「経験」「内省」「概念化」「実践」のサイクルをぐるぐる回す。これで人の成長が加速する、という考え方である。
 
一見、当たり前のことを書いているように見えるが、このサイクルをちゃんと回すにはコツがある。ポイントになるのは「内省」と「概念化」だ。
 
「なんか、うまくいったな。よし、次も同じようにやろう」
「なんか、うまくいかなかったな。よし、次は気を付けよう」
と考えることは誰しもあると思うが、これだけでは「内省」「概念化」とは言えない。
 
「内省」「概念化」は、どんな経験からも「良かったこと」「悪かったこと」「次に試してみること」を徹底的に洗い出す作業だ。
 
つまり、成功からも「悪かったこと」を洗い出すし、失敗からも「良かったこと」を洗い出す。そして、正しく「次の挑戦」を設定する。
 
できれば紙に書き出す。できれば人と対話しながら、客観的な情報を得ながらやってみる。これくらいまでやってみると、効果的な「内省」「概念化」になる。なかなか奥深いのだ。
 
「経験」は「誰もが入学して、卒業がない学校」だ。
 
人は誰しもそこで学ぶことができるし、日々、瞬間々々、学ぶことができる。そして、この学校では「自らの経験をどれだけ成長に変えたか」という点がテストされ続けることになる。
 
おじさんは「経験」が豊富だ。
ただ、その「経験」をひけらかしたり、そこに固執するために使っていては意味がない。
 
若手以上に豊富な「経験」を、若手以上に振り返り、気づきを概念化することで、ひたすら学びに変えていくことが重要になる。そして、それができたときに、豊富な経験は初めて「本当の武器」になる。
 
こんな人生後半戦の戦い方があることを、一人でも多くのおじさんたちに伝えていくことができれば何か変えていくことができるのかもしれない。
 
もしかしたら今は「革命前夜」なのかもしれないとも思う。
その名も「おじさん革命」だ。
 
経験を「本当の武器」に変え始めたおじさんたちが、いかんなく力を発揮し始める社会。そんな時代がもうすぐそこまで迫っているのを感じる。
 
それは世界に先駆けて少子高齢化が進む日本において、国家レベルで求められる変化になるし、僕はその領域で仕事をするものとして、人生後半戦を通して、このテーマに取り組んでいきたいと思っている。
 
偉そうなことを言っているだけではない。
「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」という言葉がある。
 
この革命を進めていくために、他でもないまず僕自身がこの「経験学習サイクル」を回し続け、成長し続けているおじさんでありたいと思う。
 
「経験という卒業がない学校」で、一番勉強し続け、一番テストを受け続けて、一番苦しみ続けて、一番学び続ける生徒でありたいと思う。
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2018-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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