俺のターンがもう回ってこないとしたら
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:青木文子(ライティング・ゼミ平日コース)
自分の手番はまた回ってくる。そう思っていました。
人生の中で自分の手番って何回回ってくるのでしょうか。ゲームであなたの順番が回ってくるのが手番。カードゲームでいえば「俺のターン」というやつです。
日常の中で、目の前に何かのチャンスがよぎることがあります。絶好のチャンス! であればあるほど、あれこれ考えて、「そのうちにまた機会はあるよ」と自分に言い聞かせてみたり。とどのつまりは右と左の両極に考えて、最後は「まあ間違いないだろう」という真ん中のあたりにある無難なアクションどまりにしてしまう。
そんな心の中には何があるのでしょうか。それって、自分の手番がまた回ってくる、と心のどこかで思ってるから? 私はどこかでそう思っていました。また自分の手番が回ってくるから、と。またその時でいいや、と。
そんな自分を突き付けられたのは一昨年のことでした。「経営ゲーム」をする会に参加したのがきっかけです。たかがゲーム、なのかもしれません。でもこれがされどゲーム、なのです。半年間毎月1回、集まって「経営ゲーム」のボードゲームをする、そしてお互いに感じたことをシェアする、そんな会でのことでした。
経営ゲームは二人でボードゲームを挟んで座って行うゲームです。目の前にあるのはボードの上にあるのは様々なコマやカード。300円の資本金から、材料をボード上の市場から仕入、商品に加工しそれを販売しながら、人材を育て、収益をつくり会社としての期を重ねて行きます。
自分が市場から仕入れること、販売することは自分の手番が回ってくる時しかできません。相手と交互に順番に場に出ている「手番カード」を引いて順番に仕入や販売などの自分のアクションを起こしていくのです。ここで顔をのぞかせたのが「今はまだいいかな」「もう少し先になってからやろうかな」という「次の手番でいいかな」という私の「とりあえず」モード。
この会では「とりあえず」モードであることを見える形で目の前に突き付けられるのです。数字、という形で。「経営ゲーム」では一期ごとに帳簿をつけるのです。私の会社は全然もうけがでない。何期か重ねている内に倒産寸前になる。何をやってみても、集積が上がっていかない。どんどん利益を上げていける人もいるのに、どうして? なにが違うのだろう?
そして、ある時、ようやく気がつきました。収益を上げていく人と、すぐに倒産寸前になる私との違いに。収益をあげていく人は、リスクがあっても果敢な手を打っていく。それに比べ、私はついつい無難な手を打っていたのでした。
手番カードは全部で50枚。2人で割ると1人25枚。
「えっ!? 25回?」
気がついて愕然としました。そう、自分の手番は一期の中で手番は25回しかないのです。そんなことは最初から分かっていたはずなのに。そんな数少ない手番なら、その中で「とりあえず」とする余地はないはずなのです。
それから急に手番カードをめくる自分の後ろでコチコチと時計の秒針が刻む音が聞こえてくるような気がしてきました。手番とは機会の扉。そしてその扉の数は限られているのです。ひとつひとつ目の前にある機会の扉を開けるかどうか。開けなかった扉の向こうのは見えないまま。
この経営ゲームで言えば、思い切って仕入れすることでその先のチャンスをつかめたり、人を育てることに資金を使うことで先々の土台を作れたり。そんな思い切った手番の使い方の向こうにひとつずつの扉があるのです。とりあえず無難な手を打っている時の私は機会の扉を開けるかどうか迷ったまま「現状維持」という幻想の中に居続けようとしていたのかもしれません。
日常の中でも「取りあえず無難な手を打っておこう」と思うことがあります。居酒屋でいうところの「とりあえずビール」。あれこれ考えて、だんだん考えるのが面倒になってきたり、「そのうちにまた機会はあるよ」と自分に言い聞かせたりして目の前の機会を見送ってしまう。それは今ならわかります。「とりあえず」とは現状維持という名目の後退なのです。
自分の人生の手番は何回? 自分の「人生の手番」は何回回ってくるのでしょう。自分の手番に「今はまあ無難に」という手を打っているほど人生は長くないのです。思っているほど自分の手番は多くないのです。
もちろん手番で開けた扉の向こうが「失敗!」と思うこともあるでしょう。でも失敗も扉の向こうの風景であることは間違いありません。ともかく扉を開けてみないとその先の風景は見えてこないのです。
だとしたらどうする? 無難な手を打つぐらいなら、さっさとトライして扉を開けてみる、そしてその先に行こうと思います。失敗も成功もその次へのスプリングボードになるのですから。
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