風邪は軌道修正のサイン
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記事:西田ひろ子(ライティング・ゼミ平日コース)
私はよく風邪を引く。最近になってようやくわかってきたのだが、風邪を引くのは、決まって自分を強く責めてしまった時。感情に蓋をして、「~すべき」でその時々で自分の抱えている問題を無理矢理、解決しようとした時だ。
風邪と言っても1日だけガッと熱が上がって、あとは1週間ずるずると鼻水が出たり、咳が出たりというのが通常のパターンだ。
私は冷え性のため、寒いのが苦手で、特に1年のうち、1月~3月が鬼門で風邪を引きやすい。
とは言え、今年の1月は、いつもの風邪以上に酷かった。辛かった。
年始早々にインフルエンザにかかってしまったのだ。
お正月は楽しく過ごしたが、4日(木)頃から、尋常じゃないほどの眠気に襲われた。どこにも外出する気が起きなくて、熱が上がったことに気づいたのは、6日(土)の午後だったと思う。土曜の午後は病院が開いていない。だから、万が一、週明けの9日(月)になっても熱があったら病院へ行こうと決めた。
熱は土日の間も38度以上あったが、大したことはないだろうと思ったし、一人暮らしなので救急病院まで行くのが面倒だった。
週明けの9日(月)になっても熱が下がらなかった。高熱で体力も消耗し、身体がきつくなってきたので、さすがに近所の内科へ行き、受付で38度以上の熱があるのが3日目であることを伝えた。
すると、体温計を渡され、熱を測るように言われたと同時に、即座に別室の隔離部屋へ誘導された。間違いなく、インフルエンザを疑われている。
隔離部屋に入ると黒い簡易ベッドが置いてあった。毛布を渡され、先生が診察に来られるまで、ひざに掛けて待つように促されたが、私は倒れこむようにベッドに横たわると看護師さんが毛布を掛けてくれた。
高熱が3日も出るとさすがに体力を消耗する。その時、大げさだけど、「やっと助かる~!」と思ったと同時に「なんでもっと早く病院に来なかったのだろう」と思ったし、看護師さんの優しさに触れ、「なんでまた私は自分をいじめてしまったのだろう」と反省した。
隣りのベッドとはカーテンで仕切られていた。カーテン越しに他のインフルエンザ患者と思われる方々が私と同じような症状を先生に伝えている。
この時点で、インフルエンザが確定したようなものだった。
しばらくすると、私のベッドへ先生が来た。診察してもらい、私のインフルエンザも確定した。それから、「あと2~3日で熱は下がると思うからそれでも下がらなかったら、再度、病院へ来てください」と言われた。
その後、ベッドまで受付の方に来ていただき、診察料をお支払いし、薬剤師の方がお薬をベッドまで持ってきてくれた。
インフルエンザ患者だから隔離されたとは言え、インフルエンザは風邪よりも症状が酷く身体のダルさを伴うので、ベッドに横になれたことと横になっている間に先生に診ていただけて、診察料をお支払い出来て、薬剤師の方がベッドまで持ってきてくれるシステムで運用しているこの病院の優しさが身に染みた。
翌日になってもまだ熱が下がらなかった。気弱になっている私は、さらに優しさに触れたくなり、「うどんが食べたい」と母親にLINEした。
一人暮らしとは言え、実家は徒歩圏内だ。
それでも、いつもの私なら「一人でなんでも出来ます」風を装って、母親に頼らなかったと思う。いや、頼れなかった。私の変なプライドが邪魔をして、頼りたくても頼り方がわからなくなっていたと思う。
でも、子供の時みたいに久しぶりに母親に甘えてみた。
そしたら、嫌な顔ひとつせずにうどんの材料を持って来てくれて、その場で熱々のうどんを作ってくれた。
とってもおいしかった。普段はうどんがそんなに好きではないが、そんな私でも体調不良だとやはりうどんが食べたくなるらしい。その日からうどんが大好物になりそうなくらいにおいしかった。
後日、いつもの風邪以上に辛いインフルエンザがようやく治って来た頃に今私が抱えている悩みを母親に打ち明けた。
母親は私の話に耳を傾け、母親の意見を押し付ける訳でもなく、一緒に悩んでくれた。ひとつひとつ言葉を慎重に選びながら、アドバイスをくれた。
それで十分だった。
昔の母親なら、「~すべき」と言うから、私は勝手に母親に反対された気になって、反抗していただろうと思う。
子供の頃から、私はずっと背中を押してもらいたかっただけだ。
やっと背中を押してくれた気がして嬉しかった。
私の人生これからだ!!!
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