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フリーランスの私は「自由」を手に入れられるのか?


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記事:渡辺あやか(ライティング・ゼミライトコース)
 
フリーランスというとどのような印象を持っているだろうか。場所や時間に囚われず仕事をする、自由業というようなイメージを持つ人も多いのではないかと思う。特に最近は働き方改革でフリーランスに有利な税制度に変わったことで、子育て中の主婦や、非正規雇用の若者向けに、パラレルワークやフリーランスを勧めるメディアも多く、「好きな時に好きな場所で仕事ができる」というような謳い文句もよく目にする。それにはとにかく「自由」という印象を受ける。
 
私は半年前からフリーランスでデザインの仕事をしている。前職は会社員でデザインとは関係ない業種だったけれど、学生時代からイベントのフライヤー作りなどが好きで、思い切って退職し、社会人向けのデザインスクールに通い技術を身につけて独立を果たした。
 
会社員時代、特に出産後は大変な生活だった。朝は7時半に息子を保育園に預け、9時に出社して17時半まで仕事、19時に保育園のお迎えに行き、バタバタと夕食とお風呂を済ませ、次の日も早いので無理やりにでも21時半には息子を寝かせる。それから洗濯や次の日のご飯の用意を済ませて就寝。デザインスクールに通いだしてからは、保育園への送りは主人に任せて、朝早く出社して始業までの1時間と昼休みの計2時間はの勉強に当てた。
 
この生活は体力的にも負担が大きく、1日2時間の勉強だけではスクールの課題も追いつかなくなり、思い切って退職したのだが、夫の転勤でスクールが続けられなくなったり、第2子を授かったりと、様々なイベントを経て、やっとの思いで得たのが今の仕事だ。
 
前述したように、フリーランスというと「自由」というイメージがあるが、今の私の生活に「自由」はない。確かに働く時間は決まっていないが、当たり前に「納期」はきっちりある。日中は子供のことに時間が割かれるので、必然的に子供を寝かせた後がメインの仕事時間になる。
 
私はお酒、特にビールが大好きだ。会社員の時は、よく仕事帰りに駅前のスーパーに寄って、海外の色々なビールを買って帰り、子供を寝かせた後毎日1本ずつ飲むのが楽しみだった。それが今は、飲むと眠くなり仕事に支障があるので、晩酌はできない日がほとんどだ。また決まった休日はないので、土日も平日と同じように働く。何だかいつか思い描いていたフリーランスとはまったく違った生活をしている。というより、私のフリーランスの認識が間違っていたんだろう。
 
もちろん良かったことも沢山ある。次男を産んでからずっとこの子の側にいて、成長を自分の目で見続けられたのは、フリーランスという働き方を選んだからだ。長男の参観や習い事にも毎回参加できる。しかし時間は限られている。子供と過ごす時間が多いということは、仕事ができる時間はその分少なくなる。
 
1歳半になりイヤイヤ期に片足突っ込んだ次男は、私が仕事をしてかまってもらえないのがとても嫌らしい。一人でテレビを見ていると思って机に向かうと、すぐさま私の方に駆け寄って、腕をひっぱってどこかへ連れて行こうとする。寝ているときでさえも、机に向かうととたんに泣き出すことも多い(なぜわかるんだろう……?)。
 
そこで私は決意した。次男を保育園に入れる! 3才までは母の手で育てたほうがいいなどという世間の声も耳に入らないわけではないし、かわいい盛の1歳児を預けるのは罪悪感もある。不安定過ぎる収入で、保育料が賄えるのか不安もある。けれど、新しい勉強を始めることも決めていて、このままでは今まで以上に苦しくなることは目に見えていた。
 
決めてからは早かった。1月の後半に近くの保育園に問い合わせして見学に行き、運良く2月から通えることになった。人見知りでママっ子な次男。見学に行った時、始めは私にべったりだったけれど、楽しそうに遊ぶ他の子どもたちを見て、自分でおもちゃを取りに行っていた。早くも私の不安をよそに、保育園生活を楽しんでくれそうだ。保育園に預けてかわいそうというのも、きっと大人が勝手に思い込んでいるだけだ。
 
フリーランスになり、働き方の形態だけ変えても、本当の自由は手に入らない。100%子供を自分でみて、振られた仕事は何でも受ける。そんな状況で私は晩酌する自由も失くしてしまった。子供を保育園に預けることも、やりたくない仕事を断ることも怖いけれど、やってみなければ状況は変わらない。1日という限られた時間の中で、どれだけ子供といたいのか。どんな仕事がしたいのか。よく考えて、変化を恐れず常に取捨選択していかなければ自由は手に入らない。何かを「手放す」ことや、他人に「任せる」ことも含めて、選択をする覚悟をもって、私は自分の自由のためにこれからもフリーランスを続けていこうと思う。
 
 
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2018-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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