聴くことは愛である
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:来丸貴志(ライティング・ゼミ ライトコース)
「愛の反対は無関心である」これは、マザーテレサの言葉だそうだ。愛の反対は憎しみや怒りかと思っていたが、確かに関心を持たなくなることかもしれない。しかし一方で、僕たちは大切な人にどれだけ関心を向けているのだろうか?
この原稿を書き始めようした数分前、背後から「ねぇねぇ、今日ね」と妻に話しかけられた。原稿のテーマが決まらない僕は少し不機嫌に「んー、そうなんだ」と聞き流していたように思う。「ちゃんと聞いてた?」その一言が出ないように、一応のあいづちはうつようにする。妻の機嫌を損ねると更に時間がとられるからだ。
逆に僕が話す時も、聞いてくれていないなぁと思う時がある。仕事で大変なことがあったんだよと話してみても、「そんなことよりこの動画を見てよ」と我が子の体操教室での頑張りを見せられるのである。
きっと、多くの人はもっと自分の話しを聞いてほしいと思っているのだろう。
話すというのは、聞き手がいて初めて成り立つものである。という事は、もしかすると今この社会に必要なのは、話を聞いてくれる存在なのかもしれない。それが確信に変わったのは、経営コンサルタントの僕がコーチングを学び、クライアント先のスタッフさんへの面談を始めてからである。口を挟まず、関心をもって話しを聴くだけで、とっても喜んでもらえたのだ。「今までこんなにもじっくりと話を聞いてもらう機会はなかった」「話を聞いてもらうことで頭と気持ちに整理がついた」中には、涙を流しながら職場での辛い現状を話してくれたスタッフもいた。
なぜ、人は人の話を聴かないのか?
それは、僕たちがあまりにも忙し過ぎるのだと思う。家庭も職場も社会も、みんなが何かに追われ、時間的な余裕、精神的な余裕がなくなってきていることにある。
そして、聴くことの大切さや聴き方を教わってないことも原因にあるように思う。
僕たちは、学生時代や会社でスピーチやプレゼンテーションの方法は学ぶのだが、聴き方を教わった記憶がない。せいぜい、話している人の顔を見なさいという程度である。
これらを解決するカギは、傾聴力を高めることにあるように思う。
聴き方を学べば、聴くことに多くの時間を割かなくても、相手に「分かってもらえた」と感じさせることができる。ポイントは2つあるように思う。
1つ目は、『コミュニケーションとは「情報」と「感情」のやり取り』だといつも意識すること。僕たちが日常的にとっているコミュニケーションは圧倒的に「情報のやり取り」が多い。「その服かわいいね」という会話があれば、「どこで買ったの」と服(会話の中で話題に挙がる事柄)にフォーカスを当て続ける感じだ。情報のやり取りは必要だが、もう少しだけ話す人やその気持ちにも目を向けるといいかもしれない。「その服かわいいね」という会話があれば、「あなたはその色が好きなの?」と話し手の趣向にフォーカスを当ててみたり、「いつもと違う雰囲気だけど何か気持ちに変化があったの?」と感情にフォーカスを当ててみることで、「事柄」から「話し手(人)」に関心をシフトさせるのである。
傾聴とは、耳で情報を聞くことから心に耳を生やすことへのシフトチェンジなのかもしれない。
2つ目は、例え同意できないことでも、否定せず一旦受け止めること。
「こんなことがあって辛かったんだ」と教えてくれた時、「そんな事くらいで弱音吐くなよ」と返さないことである。その出来事が聞き手にとっては辛くない事だとしても、話し手が辛く感じた以上、話し手にとって辛いということが「事実」なのである。自分から見たらたいしたことがなくても、「辛く感じたんだね」と一旦受け止めることが大切なのだ。
同様に、違う価値観や意見が出てきても、否定・非難せず一旦受け止めること。これはなかなか簡単ではない。違う価値観だらけのこの社会で、「自分は正しい、相手は間違っている」と、違う価値観の人を否定・非難して生きていけば、これほど生きにくい社会はないだろう。
しかし、違う価値観でも、「自分は正しい、でも相手も正しい」と、お互いが聴き合い、認め合えれば、新しいものを作り出す一歩になるかもしれない。
相手に関心を持ち、相手の考えや価値観を認める。これが傾聴なのである。
家庭内でお互いに聴き合うことができれば、自分の確かな居場所ができるだろう。
職場でお互いに聴き合うことができれば、チームワークも良くなるし、生産性向上とイノベーションが生れるきっかけも作れるだろう。
人の話を聴くこと。それは相手に関心を寄せ、相手を受け入れる「愛」そのものかもしれない。そして、聴くことこそが世界を変えるかもしれない。そんなことを思いながら、今日も隣にいる大切な人の話を聴いてみようと思う。
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