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「比較による個性」より「熱中による個性」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山本和幸(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「自分に向いていることって何だろう?」
「自分の強みは?」
「自分の個性は?」
「本当にやりたいことは?」
 
最近そんな事を考えている。
 
本を読んでいると
 
「好きなことを仕事にしよう」
 
「自分の個性を生かそう」
 
という内容を目にする。
 
「就職試験」を間近に控えて、「自分」はどうなのかと考えるようになった。
 
そもそも、今まで「向いていること」「強み」「個性」「やりたいこと」
 
についてあまり考えたことがなかった。
 
小学生のときに「お医者さんカッコいい!! なりたい!!」
 
と思って以来、自分の仕事は「医師だ」と思って生きてきた。
 
その他の道を「考える」という発想すらないほどに
 
「とにかくカッコいいお医者さんになりたい」と思っていた。
 
その後3年の浪人生活を経て、医学部に入学した。
 
このときの自分を振り返ると「適性」「強み」「個性」について考える余裕もなかったし、
 
考える隙がないほどに「自分の夢」に「熱中」していた。
 
そんな僕も医学部に入学して5年が経った。
 
あと一年で卒業だ。
 
「就職試験」を意識して、自分について考え出して以来、
 
僕は「無個性」であるように感じていた。
 
周りを見渡せば、医師を目指す学生だらけ。
 
医学部を卒業して、医師にならない学生は極めて少ない。
 
自分が「医学」を学んで「医師」になるという点は
 
周りとの「差」にはならないのだ。
 
大学に入るまでは
 
「医者を目指す学生」は僕の「アイデンティティー」だった。
 
しかし医療関係の「就職試験」ではそこが評価されることはなく「ただの医学生」でしかない。
 
考えれば考えるほど、自分の「無個性」について思い知った。
 
どんな事でも知っている博学な友人
 
最先端の研究をしている友人
 
誰とでも打ち解けるコミュニケーション能力を持っている友人
 
医学部の友人の良い側面を知れば知るほど、うらやましく感じた。
 
そして、やるせない気持ちになった。
 
「負けたくない」
 
そう思うと同時に、「今さら何ができるんだ」という思いに打ちのめされた。
 
「今から猛勉強をして彼を越えるのか」
 
「いろんな人と会話してコミュニケーション能力を伸ばすのか。そして彼女以上に……」
 
無理だ。そんな付け焼刃の努力で彼らを越えることなんてできない。
 
悔しかった。ただただ悔しかった。
 
自分も人生を一生懸命生きてきたつもりだった。
 
なのにどうして。
 
そんな思いが湧き上がってきた。
 
もうダメだ。
 
そんな思いを抱えたまま時間が過ぎていった。
 
悶々とした気持ちに耐えることができず
 
ある日、僕は親友に相談した。
 
彼もまた僕がうらやむ非の打ち所のないスーパーマンの1人だった。
 
そんな彼に恥を忍んで聞いてみた。
 
「おれの良い所って何かな? 何をすればみんなと差別化できるのかな?」
 
すると
 
「カズには他の医学生と比べて圧倒的に秀でている部分があるよ。 その部分を伸ばすのが一番いい」
 
と言ってくれた。
 
「その秀でている所って何?」と聞くと、
 
「そんなこと意識せずに自分が正しいと思うことをやったら、それで生かしていることになるから考えなくてもいいよ」
 
そう言って、結局その「秀でている部分」については教えてくれなかった。
 
具体的な「答え」をもらえなかったことにモヤモヤとした感情が残ったが、
 
自分にも「個性」があるんだなとホッと安心した。
 
「自分」について考えるようになってから
 
友人の「良い部分」を観察するようになった。
 
そして気づいたことがある。
 
それは本人ほど自分の「特徴」「個性」「魅力」について気付いていないということ。
 
「えっ!! 冗談でしょ?」と思うほど気付いていない。
 
そして「他人」と比べて「及ばない自分」を感じて悔しさを感じていた。
 
そんな友人たちの姿を見て、
 
「なるほど! こういうことか」
 
と思った。
 
自分を客観的に見ることができた。
 
多くの人は「自分」を知らない。
 
逆に、知らないから「自分」なのかもしれない。と考えるようになった。
 
無意識に、自然体に作られていったからこそ唯一無二の「自分」なのだ。
 
「好み」があり「偏り」があり「クセ」があり
 
それが「その人」を形づくる。
 
「個性」は自分で考えてわかることではないのかもしれない。
 
きっと人との関わり合いの中で「実感」していくものなのだ。
 
ぼんやりとしたものの中でかすかな片鱗を捉えていくような作業であって
 
親友が言ってくれたように「私の個性はこれです!」ということ自体必要ないのかもしれない。
 
その人から滲み出るもの。それが「個性」であり、他人が判断するのだ。
 
比べる個性に意味はない。
 
そう思ってから無理に考えるのはやめた。
 
そして、それと同時に
 
「考える」こと忘れてしまうくらい何かに「熱中」したい。と思った。
 
友人たちの「魅力的な個性」の中に「熱中」を感じたからだ。
 
そこには「他人からどう見えるか」よりも「好き」があった。
 
「好き」なことに夢中になっている姿は本当に美しくかった。
 
「就職試験」を間近に控えて、付け焼き刃で「見栄えの良いもの」を求めた自分。
 
そんな自分に言ってやりたい。
 
自分が信じる道を進めばいい。
 
「誰か」にならなくていい。
 
3年間の浪人時代に経験した「考える隙のないほどの熱中」を思い出せ。
 
やるべきことは、「他人との競争」ではなく「自分の夢への挑戦」だ。
 
決して楽な道ではないけれど、
 
紛れもない「自分」を表現している瞬間をつくれ。
 
他人と比べる暇があったら、好きなことに熱狂しろ。
 
「就職試験」を通して、また新しい「自分」に出会えたらいいな。
 
 
***

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2018-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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