「天狼院」にはオオカミがいない
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
桜華(ライティング・セミ平日コース)
「天狼院」にはオオカミがいない。
寄席パンダがいるとお客さんが集まってくると、よく言われるが、寄席オオカミのいない「天狼院」でも何故か人々が集まってくる。それは人々が何らかの魔法の力で吸い寄せられてくるからではなかろうか、と不思議。
厳冬のとある水曜日の夕方七時頃、私はやっと「天狼院」に辿り着いた。扉を開けると、本当にビックリするほど小さい書斎のような部屋だった。入り口で資料とドリンクをもらい、そろそろ老眼が気になってきている私は、前から三列目の椅子を選んで座った。まだ、ちょっと早いかな、三、四人しか来ていない。参加者は大体仕事が終わって、少し何かをお腹に入れてからこちらに駆けつけてくると思う。場合によっては、食べる時間もないかもしれない。でも、油断が出来ない。噂によると、いつも参加者が多く、特に初日は込む、と。それが心配で私は駅からほぼ走りっ放しできたのだ。座った後も、まだ、ハーハーと息をしている。少し休もうか。情けない。
新年早々、何かを学ぼうかな、また、どこか自分を磨こうかな、とセミナーを探す内に、友人から「U29」の番組で話題になっている「天狼院」の話が出た。それから、何かずっと気になっていた。「天狼院」という三文字にも気になるのが正直なところだった。お正月気分が終わるころ、パソコンでクリックすると、ちょうど「ライティングセミナー」が開催されるとのこと。しかも、プロのライターも通うほどの評判とか。プロも通うのであれば、確かに何らかの魔法が隠されているのだろう、と興味深い思いで申し込んだ。
ぼんやりとあちらこちら頭の中でサーフィンしているうちに、空いている椅子がどんどんと埋まっていく。カウンターの向こう側、大きいスクリーンに京都と福岡の「天狼院」の様子が映し出されている。木村さんという癒し系のスタッフが何かを説明している。先ほど、受付をしてくれた方は、機敏に動いているにもかかわらず、入り口では参加者が溢れだした。今、思えば、受付のこの方は友人が言っていた川代さんに違いない。サバサバしていて聡明そうな綺麗な顔立ち。
参加者の年齢の幅の広さに驚いた。こんなに幅が広いセミナーは初めてかもしれない。 何人かの参加者は既にパソコンを立てて、今か、今か、と直ぐにでもセミナーが始まるような体勢で構えている。講義でも、会議でも、背筋を伸ばし、格好よく指で文字を打っていくのが、私には憧れの姿である。しかし、私自身はそんなに器用ではない。そもそも、ろくに文章という文章も、文という文さえも、うまく書けないのだ。それなのに、この人気ある「ライティングセミナー」に参加してしまった。
おかしい! 変なの! と自分でさえ思う。
文も書けないと言いながら、堂々と座っている。しかし、これには言い訳を用意している。
私は元々日本語母語話者ではないからだ。
中国出身で二十代後半、仕事のきっかけで留学生として日本にやって来た。長い間日本に住んでいるのだが、日本語は基礎からちゃんと学んで来なかったのだ。それでも、毎日身振り手振りで、又目と目で、何とか無事に通じるようになってきて、せわしい日々を送っている。
もし「あなたはどうやって日本語を勉強してきたのですか?」と聞かれたら、私は「テレビです」と答えるだろう。
字幕を見ながら、覚えていくスタイルだった。しかし、一番苦手なものがある。所謂格助詞と呼ぶ、「は・が・を・に・へ」だ。文法本を読むだけで習得できるものではない。だから、喋る時はこの格助詞達がなくても通じるところが、いざ書く時には、格助詞を間違えると、意味も通じなくなってくる。従って、ちゃんとした文章になるはずがないのだ。
そのため、このセミナーに参加させて頂くことになった。このように本当のことを最初から申し上げると、参加させて頂けないかもしれない。小説家や、コピーライターになりたい、とも全く考えていない。ただ、一つ一つ言いたいことが文として成立し、正しく意味を伝えることが出来るようになったら、長々と日本にいたことも無駄にならないのかな、と心の中で念じているのだ。
入り口での混雑の列から一人の男性が割り込んで入ってきた。
「そうだ! そうだ」 この方こそ、この「天狼院」の主宰者だ。頂いた資料に載っている写真と少しも違わない。お世辞にも世の中で言うイケメンというほどではないが、確かに人を引き付ける何らかのパワーがありそうな方。急に書斎の熱気があがってきた。人々が緊張の高潮にきて、セミナーが始まった。
面白いことに、福岡の「天狼院」に三歳の男の子を連れた母親が参加しているようだ。天才であるとしても、三歳児には負けないぞ! (笑い)
そうだな。「天狼院」の魔法にかけられて……。私もこの三歳の子も、どういう変身を遂げるのかな、お楽しみに!
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