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メディアグランプリ

私が文章を早く書けない本当の理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:石村 英美子(ライティング・ゼミ 特講)

 
 
「まさかブラインドタッチが出来ないなんて言いませんよね? ね?」
 
講師は結構な圧で、しかも目が笑ってない笑顔で言った。
とある文章講座での出来事である。その講座で、講師は文章を書く「スピード」に特化した内容で、書くのに時間がかかってしまう根本的な理由をわかりやすく解説し、その上「早く書く」事へのメリットを説いていた。
 
この日は久しぶりに天狼院の講座に来ていた。ライティング・ゼミを卒業し、毎週決まった量の文章を書く習慣が無くなっていた私は、過去に多少なりとも習得したものを取り戻すカンフル剤的な気分で、今回の受講を決めた。
 
講座は大盛況だった。福岡の店舗にも数人が机を並べ、大画面の中で話す講師の言うことをメモを取りながら聞いていた。
 
せっかく受けた講座なので、内容については触れたくない。というより、けちんぼ根性で教えたくない。少なからず「いい事聞いちゃった〜」と思っているからだ。
 
しかし後半の講義の中で、講師は先にあげた「まさかブラインドタッチ……云々」と言われた瞬間私は一気に冷や汗をかいた。そう、出来ないのだ。出来ないなんてもんじゃない。むしろ「逆」ブラインドタッチなのだ。一生懸命に文字を綴っても、気づくと画面には意味不明の言葉たちが羅列していることが頻繁に起こる。
 
「できるようになって下さいね。ほら、今はシューティングのアプリとかあるじゃない。バン! バン! とか打つやつ。どうせいつかは出来るようにとか思ってるんだったら、今やって下さい」
 
うん、そうだ。もっともだ。時短を目指すのなら当然のことだ。文章を考えるスピードが上がったとしても、早くタイピング出来なければ「書く」スピードは上がらない。それはわかってる。
 
しかし。
 
私は過去に何回も挫折しているのだ。
 
いわゆるタッチタイピングの初歩の初歩、指の置き方から何度やり直したことか。でも何度やっても出来るようにはならないのだ。こんなに出来ないと「私はもしかしたらちょっと頭が足らんのかもしれない」とまで思ってしまう。
 
一番のネックは「A」もしくは「ち」のキーだ。そう、そこだ。あなたの左手も小指が乗っているところだ。本物の初心者向けのアプリケーションでは「あああ」とか「あかあか」とかを最初にやらせる。そこまではまだいい。次にきた「さかさか」がもうアウトなのだ。左手薬指、左手小指が順番に動かない。何度もなんどもやり直しになる。そしてついにはその二本の指が「攣る」のだ。
 
わかってる、力を入れすぎなんだ。MacBookのキーはそんなに力を入れずとも入力出来る。でも力を抜くと今度は小指と薬指が「同時に」キーを押してしまう。そして、あーーーっ! と叫んでじたばたと暴れたのは一度や2度じゃない。
 
「不器用」
 
そう、それもある。普段は器用なふりをして世間をやり過ごしていても、生来の不器用さは一朝一夕には改善しない。それに根気よく立ち向かい続けるだけの精神力も残念ながら持ち合わせていない。
 
そんなわけで、今日、今現在も「逆」ブラインドタッチでこの駄文を書いているわけだが、それでも一つだけ気づいたことがある。気づきでなければ仮説と言ってもいい。
 
もしかして、
 
私、
 
小指が短いんじゃない?
 
だからじゃない?
 
だから「さ」が超絶打ちにくいんじゃない?
 
今日読んだネットで流れて来たコラムの中に「男性ホルモンの作用を胎児期に大きく受けた人は、人差し指より薬指が長い」と言うものがあって、男女で比較すると明らかに有意なほどの差があるのだそうな。その中でも女性にも3割ほどその傾向があるらしく、その薬指が長い女性の群は、行動パターンにも男性的な傾向が見られるのだと言う。面白半分に自分の指を測ってみたら、薬指の方が5ミリも長かった。
 
ひとしきり爆笑してそのあとにふと小指に目をやると、その短さに初めて気がついた。半世紀近く見ていた手なのに今日気づいた。短い。明らかに短い。薬指の妙な長さもあいまって、そこだけ途中で成長が止まったようにさえ見える。成長不良と男性ホルモンのダブルパンチだ。くそう、男性ホルモンめ! どうりで毛が抜けやすいと思った!
 
まじまじと見つめると、本当に短かく見えてくる。なにこれ変なの。自分の手なのに、まるで字を書き直しすぎてゲシュタルト崩壊起こしたような気分だ。
 
あらためて「さ」を入力してみた。うん、押しづらい。小指の長さに合わせて遠慮した薬指がなんとも窮屈そうだ。
 
そうか。そうだったか。私は単に不器用なだけじゃなく、最大公約数に向けた運指が出来る形状をしていなかったのだ。と言うことは、やはり私にはブラインドタッチを習得するなど無理なのか。
 
なんだかがっかりした気分で、しばらくMacBookのキーボードを見つめてみた。
何か代わりになるものはないのだろうか。
 
小指を空中に遊ばせたまま文章を書く。すると、あら不思議。さっきよりちょっとだけ早く打てる。小指を使ってないのに。
どうやったのか自分で再度検証すると、小指の守備範囲を全て薬指に任せていたのだ。小指が押すのはシフトキーだけ。するとなんということでしょう、スピードが上がったではありませんか。
 
私は囚われすぎて居たのかもしれない。必ず基本は守らなければならないと、そう考えすぎて居たのかもしれない。
 
考えてみれば、世の中には事故や障害で指の数が少ない人だっている。なんなら指自体が動かず、くわえた棒のようなもので入力をする人だっているじゃないか。基本はあくまで基本なのだ。
 
タッチタイピングはまだまだ難しいが、小指をレギュラーから外すことで、私は多少のスピードアップを図れそうだ。そう言いつつも、ここまで結構な時間を要している。道のりは、長くて遠いかもしれないが、少しづつでも前には進めることだろう。
 
 
***

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2018-03-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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