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臆病者と言われ続けた兵士が、一番手柄になれた理由


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記事:河野 冬樹(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
はるか昔、戦国の世に、武蔵という兵士がいました。
その兵士のいる部隊は、向かうところ敵なしでした。
勇敢な兵隊が揃い、戦っては負けなし。その名前は、天下に鳴り響いていました。
 
ある時、その部隊の中で、こんな話になりました。
「鎧なんか来ていても動きにくいだけ、どうせ、敵は怖がって反撃なんかしてこないし、うちの部隊がやられることなんかないんだから、いっそ脱いでしまったほうが、みんな速く走れるし、今まで以上の戦果があがるぞ」
周りの皆も口々にそうだそうだと言います。やがて、その部隊の皆が鎧を脱いでしまいました。
 
ところが、この部隊の中で、ただ一人、武蔵だけは、周りが鎧を脱ぎ捨ててしまう中、頑丈だけれども重い鎧を身につけ続けています。
いざ戦いが始まって敵陣に突撃していくと、周りが軽装で走っている中で一人だけ重い鎧をきているのですから、競走になりません。
ただでさえ勇敢な兵士が揃っているにこの部隊の中でのこと、いつも周りに置いていかれてしまい、ようやく追いついた時には、いつも戦いが終わってしまっている始末。もちろん、手柄などとは縁がありません。
武蔵は、この部隊が連戦連勝を続ける中、戦いにはいつも遅れ、1人だけ手柄をあげることができないことで、足手まとい扱いをされていました。
いい加減お前もその鎧を脱げ、臆病者、そんなに死ぬのが怖いなら戦場にくるな、足手まといなど、周りからの罵声は毎日続きました。それでもなお、武蔵は、鎧を脱ぐことはしませんでした。
 
ところが、そんなある日のことです。
いつもなら反撃してこない敵に、突如援軍が現れました。
援軍が来て勢いづいた敵は、普段と違い、こちらが攻めようとすると、反撃を浴びせて来ます。
鎧を着ていない兵隊達は、敵の反撃を受けて、バタバタと倒れていきます。
これを見て、他の兵士達は、次は自分がやられる、と思って、それ以上前に進むことができません。そんな時、いつものように武蔵が遅れて戦場にたどり着きました。武蔵は周りが尻込みする中、ただ一人、鎧を着て、敵陣に突っ込んでいきます。鎧を着ているから、多少攻撃を受けても死にません。そんな中で、次々と相手を倒していきます。
 
やがて武蔵の活躍で敵の反撃が弱まったおかげで、周りの兵隊もようやく前に進めるようになり、やがて、その戦いは大勝利に終わりました。
 
その戦いの一番手柄が武蔵だったことは、いうまでもありません。
 
そう、武蔵は決して弱かったわけでも、臆病だったわけでもありません。
どうせ敵が弱くて負けるわけがない時ならともかく、いざ敵が強くなって反撃してきたら、鎧を着ていないとやられてしまうし、やられなくても、やられるのが怖くて動けなくなってしまう。それを知っていたというだけです。
かといって、周りの兵士が弱かったというわけでもありません。もともと連戦連勝だったのですから、むしろ強かったのでしょう。ただ、鎧が必要だということを知らなかったというだけです。
 
このお話はフィクションです。
けれども、実は、これに近いことは、特にビジネスではよく起こります。
もちろん、現代のビジネスでは本物の鎧を着て戦争をすることなどありません。
現代では、この鎧の名前は、「法律」といいます。
 
なまじ法律を知っていると、何かビジネスをするとき、すぐに、それは法律に違反するんじゃないか、そんなことを考えて、なかなか動けない。
あるいはビジネスに限らず、ただ何かこうやって文章を書くだけでも、著作権のこと、プライバシー侵害にならないか、そんなことを考えて筆が止まる。
 
だから、法律のことなんて気にしない、という人もいます。
実際、その結果、うまくいく人もいる。
 
けれども、やがて、それでは行き詰まる。
法律を知らないと、そして、知るすべを持っていないと、やがては、深刻なトラブルを起こし、取り返しのつかないことになりかねない。
また、そこまでいかなくても、もしかして自分のやっているビジネスが法律に違反しているんじゃないか、そう思ったら、怖くてそれ以上ビジネスを拡大していくことなどできない。
あたかも、鎧を脱ぎ捨てた兵士達が、次々と敵の反撃に倒れ、また敵の反撃を恐れて進めなくなったように。
 
だから、常に、鎧を着ておく必要がある。
鎧を着て進むというのは、一見臆病者に見えて不恰好だし、時間もかかる。
でも、先々、必ず役に立つ。
部隊に最後に勝利をもたらすのは、蛮勇な兵士ではなく、法律知識という名の鎧を身につけ、反撃から身を守りつつ戦うことのできる兵士なのである。
 
この鎧を身に着けておくのは簡単である。
ただ、その必要性を認識していればいい。必要性さえわかっていれば、むやみに脱ぎ捨てることなどしない。
必要なときには、ちゃんと契約書を読んだ上で、意味がわからないことは確認する、実は法律の知識などなくても、それだけできれば、大抵のトラブルは回避できる。
 
ただこれだけで人よりも前に出て一番になれるなら、お得だと思いませんか?
 
 
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2018-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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