面倒くさいことを面倒くさくないと思いこむことは出来ないと思う。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:櫻井由美子(ライティング・ゼミ特講)
わたしはかなりの面倒くさがり屋だ。日々の生活の中で面倒くさいなーと思うことは山ほどある。
まずは朝起きることがめんどうだ。起きたら着替える。これもめんどう。2歳の娘が一緒だからというのもあるけれど、正直なところ身支度が面倒くさいということは娘を産む前から感じていたことだった。
それから朝ごはん。食べるのは好きだけれど準備はめんどうだ。娘が食べ散らかした床を毎度きれいにすることもめんどう。食器洗い。これは割と好きな作業だから、そんなにめんどうだとは思わずにやる。
歯みがきをして化粧をする。歯みがきはやらないと自分が困るからやるけれど、自動で歯を磨いてくれる機械があればいいのにと以前から思っている。化粧はしたほうが自分のテンションが上がるからこれもやる。
そうじはどうだろう。なかなかにめんどうではあるけれど、やり始めると気分が乗ってきて終わるとスッキリした気分になる。やり始めるまでが大変だ。
ここまで考えて、ふと疑問に思う。面倒くさいって何だろうか? どういう状態をいうのだろうか?
面倒くさい=嫌い、やりたくない、だからやらない、ということでは必ずしもないような気がする。面倒くさいという表現を使うとき、わたしは「めんどうだからなるべくならやりたくはないけれど、でもやった方が良いんだろうし、やったら良いことがあるってことも分かってる。だから最終的にはやるんだけど、でももうちょっとだけぐずぐずさせて欲しい」そんな心境だったりする。試しに辞書で「面倒くさい」の意味を調べてみると、おっくうだ、という言葉が出てきた。まさに。わたしが面倒くさいという表現を使うときに感じるのはこのおっくうな感じだ。
朝起きるのはめんどうだけれど、でも起きたら起きたで楽しいこともある。それはわかる。でももう少しだけで良いから寝かせて欲しい。
そうじもめんどう、でもやったらやったで家の中がきれいになって気分が良い。それはわかってる。でも今日はやらなくても良いんじゃないかな?
そんなときに出てくる言葉が、「面倒くさい」だと思う。
そして同時に思う。面倒くさがりなわたしは、面倒くさい面倒くさいと言いながらどれだけの時間を先送りして生きてきたんだろう。
「面倒くさい」って、要するにやらなきゃいけないことを前に「やりたくない!」と駄々をこねている状態ってことか。あらためて文章に起こしてみると我ながら情けなくなってくる。
わたしには、イヤイヤ期真っ盛りの2歳の娘がいる。
なにを聞いてもまずは「イヤだ!」と言ってくる。
「ごはん食べよう」「イヤだ」
「お茶飲む?」「イヤだ」
「お風呂入ろう」「イヤだ」
2歳の娘のイヤイヤとわたしの面倒くさい。どっちもただ駄々をこねているという点で、似たようなものなんじゃないの? そんな気がしてくる。
2歳の娘は、「イヤだ」と言ったあとわたしが「じゃあ良いよ。お母さんごはん食べるよ」と言うとすぐに「たべる!」と言ってごはんを食べる。「のまない!」と言った次の瞬間にもうお茶を飲んでいるし、「おふろはいらない!」と言ったかと思ったらそのすぐあとに「はいる!」と翻意したりする。
ある意味潔い。そのときそのときの自分の欲求にものすごく正直だ。
わたしも真似すれば良いのか。娘を見ていたらそんなことを思った。
面倒くさいと思わないようにしようとすることはたぶん出来ない。だってなにを面倒くさいと思うかなんて、きっと自分で意識して決められることじゃない。朝起きるのは楽しい、面倒くさいことなんてこれっぽっちもない、そう思いこもうとして思いこめるもんじゃない。そんなことが出来るならわたしはとっくのとうに面倒くさがりを卒業している。
だけど、面倒くさいと足踏みする状態をなるべく短くすることなら、出来るかもしれない。
面倒くさい。そう思ってしまうことはもう仕方がない。だってそう思っちゃうんだから。大事なのはそのあとだ。「面倒くさい!」といった次の瞬間に「やる!」と言ったって良い。どんなにバカだと思われようと、自分でも何言ってるんだろうって笑えてこようと。いや、さすがに娘のように次の瞬間に動くところまではいきなりは難しいかもしれない。でも理想としてはそこまでいけたら最高だ。
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