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メディアグランプリ

事件は現場で起きているんじゃない! 会議室で起きているんだ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:筒井洋一(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「オンラインよりも、リアルの方がよく見えると思ってました。でも、
リアルだと見えないものがオンラインだとよく見えるんです!」
 
昨年、あるワークショップで、オンラインからこんな叫び声が聞こえました。それは、テレビ会議ツールZoomを使って町歩きしている時のことでした。
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二年前にZoomが大幅なバージョンアップしたことは、テレビ会議を本格的に使ってみたい人には大きな衝撃でした。鮮明な動画と遅滞のない音声なので、まるで隣で話しているみたいです。しかも、100名が同時に入れる上に、オンラインで小部屋を無数に作る事ができます。
 
「オンラインで小部屋を作るってどういうこと?」
「オンラインに一度に100名が入るとします。その後、100名が5名ずつに小部屋に分かれるとすると、部屋がいくついる?」
「20部屋です」
「そう、Zoomでは、100名が20部屋に分かれて話ができます」
「なに、そんなことができるんですか!」
 
Zoomを実際に体験してもらうのが一番ですが、小部屋に分かれる時には、別の場所に突然「フワー」とテレポート(空間移動)します。今まで見えていた人が見えなくなったと思ったら、しばらくして、小部屋に「ヒューン」と移動します。すると、そこには5名だけがいました。いつのまにか小部屋に来ている、という感じです。
 
「フワー」「ヒューン」という感覚を100名が同時に体験します。それはまるでジェットコースターが突然落下し、再浮上する感覚です。これまで100万円以上の高額機材でしか100名を小部屋に分けることができなかったのですが、Zoomでは無料でできるのですから大幅な価格破壊です。
 
ただ、100名が同時に入れて、小部屋に分かれる事ができますよ、というだけならば、Zoomの宣伝で終わってしまいます。私が言いたいのはそこではありません。日本では、Zoom開発者(米国)がまったく想定していなかった独自な展開が起こって、それがコミュニケーションを変えはじめています。
 
Zoomユーザの中では、オンラインの便利さを享受するだけではなく、オンラインとリアルの世界をつなごうという動きが生まれてきました。昨8月に、私は、ガイドの説明を聞きながら40名が唐招提寺や志賀直哉邸を歩く、という奈良市内の町歩きを企画しました。そこで新しい方法を試しました。
 
町歩きでは、初めはガイドの解説を聞くためにその周辺に集まっていた参加者の列は、時間が経つとだんだんと長くなってきます。そうすると、列の真ん中から後方の人達はガイドの話がまったく聞こえなくなります。これ本当に不便です。
 
ガイドの話を全員が聞ける方法はないだろうか?
 
いろいろ考えていて、ふと思いつきました。参加者全員がスマートフォンにイヤフォンを付けて、Zoomアプリからガイドの話が聞けたらどうだろうか。これは簡単に使えそうなので、当日、さっそく試してみました。
 
先頭にいるガイドがZoomを立ち上げたスマートフォンに向かって話すと、列の後方でも、まるでガイドが真横にいるかのように聞こえます。参加者全員にとっては、自分のために説明してもらっているような心地よさです。リアルの世界でも、これまで越えられなかった距離の制限がありましたが、Zoomを使う事で越えられたのです。
 
しかし、圧巻はリアルではなく、オンラインでした。
『踊る大捜査線』では、青島刑事が
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」
と言いましたが、
この町歩きではむしろ逆でした。
「事件は現場で起きているんじゃない! (オンライン)会議室で起きてるんだ!」
でした。
 
この町歩きには、日本各地からZoomでオンライン参加する人達もいました。リアルで参加している人にとっては、「解説がZoom経由でよく聞こえるなあ」という程度でしたが、オンラインの人にとっては全く違いました。
 
リアルの人は、自分の目で見ている景色だけを見ています。しかし、町歩きスタッフがスマートフォンのカメラで列の真ん中や後方から景色を写していたので、オンラインからは、複数のカメラが撮った風景を選んで見られます。つまり、オンラインの人は複数の景色を見ることができるのです。リアルだと自分の目で見た景色しか見ませんが、オンラインだとたくさんの景色が見えます。これが最初に紹介したオンライン参加者の叫びです。
 
現地で見えないものがオンラインで見えるのです。
 
それまでオンラインは、現地に行けない人向けの補助的な手段でした。しかし、冷静に考えれば、リアルにいても自分の目で見えないことはあります。自分の目が一番よく見えるということは錯覚だったのです。その一方で、リアルで見えない事もオンラインからは見えることがわかりました。
 
これまでの日本社会ではリアルが優先され、オンラインは付け足しのような位置づけでした。しかし、これからの時代のコミュニケーションを考えた時に、オンラインとリアルの世界はより融合して、リアルの世界にいてもオンラインが手軽になり、その逆も加速します。
 
その点で、Zoomで町歩きした今回の経験は、リアルとオンラインの従来の境界を破った画期的な出来事でした。実は、この他にも次々と新しいチャレンジがおこなわれていますし、われわれの社会はこれらを取り入れて大きく変わっていくでしょう。
 
これからの社会においては、まさに、事件は、現場でも(オンライン)会議室でも起こって来るでしょう。
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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