5カ月目の悲劇が教えてくれたリーダーとしての心構え
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:諏訪太郎(ライティングゼミ・平日コース)
「もう勝手にやってください!」
店長になり5カ月。
ついにパートスタッフ達の堪忍袋の緒が切れた瞬間だった。
パートスタッフ達が怒っている理由は、すべて私にあった。
「ついに店長に昇進だね! 頑張ってね!」
5か月前、私は店長に昇進した。
赴任先のお店は、7年連続の赤字店舗。
「私の手でこのお店を黒字にするぞ!」
気持ちを新たに、新しいお店に向かったのだった。
「7年も赤字続いているのは、仕事のやり方に問題があるはずだ」
そう考えた私は、着任早々仕事のやり方を次々に変えていった。
「今までこうやってきたので変えたくないのですが……」
パートスタッフから仕事のやり方を変えることに反対もあった。
しかし、私はパートスタッフの声には耳を傾けずに、仕事のやり方を変えていった。
そして5か月が経ったある日、ついにパートスタッフ達の怒りが爆発した。
「もう勝手にやってください!」
パートスタッフ達はそう言うと、私が勝手に変えてしまった仕事を放棄したのだった。
そして、それは地獄のような毎日の始まりでもあった。
その日から自分の仕事とパートスタッフが放棄した仕事、2つの仕事をすることになった。
2つの仕事を終わらせるために、毎日朝から晩まで働いた。
休日出勤もしたし、仕事を家に持ち帰り、深夜まで仕事をしていたこともあった。
「なんでこんな目にあわなきゃいけないのだ……」
私はとても悔しかった。
「最近、調子はどう?」
そんな状況を知ったのか、ベテラン店長の元上司から電話がかかってきた。
ここぞとばかりに、私は自分の考えを上司にぶつけていった。
長い間、元上司は私の話をだまって聞いていた。
そして、今が頃合いと感じたのか、元上司が話し始めたのだった。
「店長の仕事はね、いかに多くの事に感謝できるかで決まるのだよ!」
私は「えっ、感謝?」と言う顔をしていたが、元上司は話を続けた。
「1人でお店は運営できないよね。だから、パートスタッフ1人1人に感謝して、店長として彼女達に何ができるかを一生懸命考える。店長がそういう姿勢をみせるから、パートスタッフも私のために一生懸命頑張ってくれる!」
上司の話を聞いて、私は恥ずかしくなった。
売場が上手くいっていないのは自分が悪かったのだ。
パートスタッフの事を考えずに、自分がリーダーシップをとったつもりで好き放題やっていたことが、今の状況を引き起こしている原因だと気が付いたからだ。
あれから10数年が経ち、今では私がベテラン店長となり、若手店長に助言をする立場となった。
若手店長にどのような助言をしているかと言うと、元上司の教えを少しアレンジして、「自立」に例えて伝えている。
みなさんは「自立」と言う言葉を聞いた時に、どのようなことを思い浮かべるだろうか?
同じ質問を若手店長にすると、ほとんどの若手店長が「他人の力を借りずに、出来るようになること」と答える。
しかし、このように答える若手店長を見ていると少し心配になる。
なぜなら、若いころの私の考え方に似ているからだ。
私は、元上司の話を聞いて、「自立」にはもう1つの意味があると考えるようになった。
もう1つの意味とは、「他人の力を借りて、出来るようになること」だ。
もしかしたら「他人の力を借りて出来るようになることが自立なのですか?」と思うかもしれない。
それに対する答えは、実は私たちの身近にある。
例えばビジネスは、同僚であったり、取引先であったり、お客様に支えられて成り立っている。
さらに言うと、ビジネスマンの必需品のパソコンは、パソコンをデザインする人であったり、メモリーを開発してくれた人であったり、キーボードを作ってくれた人に支えられて使わせてもらっている。
このように私たちは、自分では気がつかないところで多くの人や物に支えられている。
しかし、「自立=独り立ち」と言うイメージが強いから、何でも一人で解決しなくてはいけないような錯覚に陥る。
それに対し、多くの人に支えられていることを認識し、感謝が出来るようになると、「自分一人で解決しなくても大丈夫なのだ!」と考えられるようになる。
すでに多くの人に支えられているのだから、助けを必要とする時は素直に支えてもらい、そのことに感謝しようと思えるようになるからだ。
このように考えらえるようになると、結果的に自分がやりたいことを次々に叶えていくことができるようになるのだ。
そう考えると、「多くの人に支えられていることに感謝すること」こそが、本当の意味での「自立」なのかもしれない。
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