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国際社会で戦うためには、「大阪のおばちゃん力」が必要かもしれない!


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記事:NORIMAKI(ライティング・ゼミ特講)

 
 
「明日で最後なんですよ。とってもお似合いだし、サイズももうなくなっちゃうから、ね、ぜひ買っていってくださいよー私、安物はススメません。これは元が40,000円ですごく質がいいんです。それが、28,000円。ホントにお買い得なんですから」―先日、某百貨店の紳士服バーゲンに行ったら、販売員のおばさまにガツガツ詰め寄られて、ジャケットを猛烈に売り込まれた。結局、試着してもどうも「しっくり」来る感じがしなかったので、「他見て、またあとで来ます」と適当にスルーし、買うのは見送ったのだけれど、彼女のエネルギーはすさまじく、気のいいお客さんだったら、「じゃ、これお願いします」と簡単に購入に至っていたことだろう。
 
こちらは「東京弁」のおばさまだったが、これが「大阪のおばちゃん」になるとさらにすごい(私は大阪人ではないので、ここから先に書く大阪弁が違和感アリアリになってしまっても、そこはどうかご容赦いただき、イメージというかノリというかを感じていただければと思う)。「なーなー、お兄ちゃん、一人? 負けといたるから、ほらちょっと寄ってき。いや別に、買わんでもエエねん。ちょっと見てってや。おばちゃんさみしいわ。ええやん、そんなに急いでひんやろ?」―最大限うがった見方で、セールスをする大阪のおばちゃんを、東京人の私なりにイメージするとこんな感じだ。
 
ここでポイントになるスキルは2つある。1つ目は「言ってみる力」だ。とにかく、思ったことは、何でも口に出してしゃべりかけまくる。「沈黙する大阪のおばちゃん」というのはどうも想像できない(もちろん、中には寡黙な方もいるだろうが、ある種の「虚像」としては、「大阪のおばちゃん」=「おしゃべり」というのが定着している)。先日読んだ『マジ文章書けないんだけど』という本にも、「関西のおばちゃんは言いたいことを先に言う」「言いたいことしか言ってない」が「文章の極意」と紹介されていたが、「変に構えず、ストレートに書くと読みやすい文章になる」ということらしい。だから、シンプルで力があって、何より相手に伝わるのだ。ごもっともかもしれない。
 
2つ目のスキルは「質問力」である。とにかく、質問を浴びせることで、相手の答えや考えを引き出そうとする。「一人? 急いでひんやろ?」と言われれば、「まあ、確かに連れはいないし、特に急いでるというわけでもないしな」と、店に立ち止まってもいい理屈をお客さんのほうが自分から探してしまう。極めて高度なテクニックだ。しかも、おばちゃんたちはそれを無意識にやっていると思われる。この質問によって、相手との距離も一気に縮めてしまうのだ。
 
さて、この「言ってみる力」と「質問力」だが、どこか別のシチュエーションでも使えそうな気がする。そう。外国人とガツガツやり合うときには、ずいぶん役に立ちそうなスキルだ。国際社会ではよく、日本人は「意見を言わない」「何を考えているかわからない」「人の話を聴いてもうなずくだけで、積極的に質問しようとしない」といった評価を受けることが多い。ちょっと前の時代では、「国際会議では、いかにインド人を静かにさせ、いかに日本人に発言させるかが、円滑な会議運営のコツだ」なんてジョークもあったくらいだ。
 
ところがどうだろうか。「大阪のおばちゃん」ときたら、まるでこの逆を行っている。誰彼かまわず堂々と意見し、わからないことがあれば「どういうことなん?」と素直に質問を浴びせまくる姿勢は、じつは欧米を中心とする国際社会では、スタンダードな議論のスキルだ。文化や言葉を異にする人たちが集まって議論をしようとしたら、「沈黙」や「忖度」では何も進まない。相手を思いやって、「あうんの呼吸」でというのは、日本の美徳としてはもちろんリスペクトすべきものだけれど、国際社会での議論の場にあっては、「言ってみる力」と「質問力」を駆使して、渡り合わなければ、戦っていけない。
 
ビジネスパーソンのなかには、こういうスキルを英会話スクールや大学院に行って、大金をかけて訓練する人もいるかもしれない。むろん、それはそれで価値があることだろう。しかし、我々は、いってみれば「最もグローバル」な方々に、わずか新幹線2時間圏内・数万円レベルでアクセスすることができる。こんなに「コスパ」のいいトレーニングもないと思う。リーダー教育のコスト削減を検討されている企業の人事の皆さん。次回の研修先は大阪で「おばちゃんと真剣勝負」はいかがだろうか。
 
 
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2018-03-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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