私、結婚しないんじゃなくて、結婚できないんです
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記事:戸田美恵子(ライティング・ゼミ平日コース)
少子化が叫ばれてから久しい。そして、それは結婚する男女が減ったから、のようなことも言われている。正直言って耳が痛い。だって結婚していないんだもん。もちろん子供もいない。
ごめんなさいね、何も貢献できなくて。せめて多少の税金は払いますよ、とは思うけど、給料も高くないからそんなに払ってない。ダメじゃん。とりあえず重ねてお詫び申し上げます。別に何か悪いことをしているわけではないので、謝ることはないのだけど、性格的につい謝ってしまう。
その昔、私がまだまだいわゆる「結婚適齢期」だった頃、仲の良い友人と話していたことがある。
「私にとって結婚って、野球好きの人々から見たプロ野球みたいなものだと思うんだよね」
その友人は「あぁ、なんか分かる気がする」と言ってくれて、なんだか安心したような気分になったものだ。
別に結婚に対して嫌なイメージがあるとか、そういうわけじゃない。別に両親も仲悪くないし、兄弟もいて楽しく過ごしたし、なんなら同年代の友人が友達同士で遊んで、親と出かけるなんてだるいな〜とかなっているような時期にだって、普通に家族で楽しく出かけたりしていた。いいね〜家庭があるのって。素敵なことだよね、とは思う。それなりに大変なことはあるだろうけど。
さらに言えば兄弟や友人もそれぞれ家庭をつくって楽しそうにやっている。いいね〜子供の成長とか。楽しみだよね、とも思う。もちろんそれなりに大変なことはあるだろうけど。
でも、でもです。いやいや、無理だね私には、と思ってしまったわけだ。そこが結婚がプロ野球のように思える理由。
野球好きな人の中には、プロ野球選手いいな、あんな風にホームラン打ったり、バシッと三振取ったりしたら気持ちいいだろうな、と思う人はいっぱいいると思う。でも、全員プロ野球目指したりしませんよね? そこまでの才能ないしな……とか、あんなプレッシャーに打ち勝って努力するとかできないな、とか、テレビで見て楽しめれば十分だ、とか。
それと同じ。いやいや結婚なんて能力のある方がするものですよ、と思っちゃった。自分の人生の進め方も危ういのに、人の人生に対して責任なんて持てません。子供なんて一から他人の人生に責任持たなきゃいけないとか、ムリムリ。
結婚した後にある世界は素敵。憧れます。でもそこまでです。あれは外から眺めているものです。特にポリシーのようにしないことを貫いているわけではないけど、その為に努力するようなモチベーションも起こらない。
だから、私は「結婚しないのではなくできない」人間なのだ。
そう思っていたのだけど、このところちょっと考えが変わってきたようだ。
私は結婚を「プロ野球」だと思っていたけど、実はただの「野球」だったんではないだろうか? 野球であれば、学生野球に甲子園、草野球にリトルリーグ。なんならキャッチボールだけってこともあるかも。皆それぞれのレベルや楽しみ方で、関わっているのだ。
幸せな家庭とか、理想的な夫婦とか、そういうものを思い浮かべ過ぎて、それこそが結婚だと勘違いをしていたのではないだろうか? 周りを見渡せば、別れてしまう夫婦だって普通にあるし、ギクシャクしながらもなんとかやってる親子とか、様々だ。
どっちも、裾野が広がるからこそ、高いところにとても素晴らしいものができるのかもしれない。かといって、その「素晴らしいもの」以外には価値がない、というわけでは決してない。
何かで読んだけど、人間は優れたものだけを残すのではなくて、弱いものも守りながら色々な特徴の個体を残すことによって、変化に対応できるようにして、種を保存する戦略をとっているという考え方があるそうだ。様々なジャンルやスケールで、壮大な試行錯誤が繰り返されているのかもしれない。全体で成功や失敗が繰り返されるから、ほんのちょっと、誰から見ても素晴らしいと言えるようなものが出来上がるのかもしれない。
その試行錯誤の一部になればよかったのね、本当は。
結局、私は結婚「できない」のではなく、勝手に勘違いして「しない」道を選んだだけだったようだ。本当になんでも気づくのが遅い人だねぇ……。
まあ、結婚って、下の年齢制限はあっても、上の年齢制限はないから、別に今からでもしたければすればいいので、それはそれでいいのかもしれない。子供のことを考えなくていいだけさらに気楽だ。少子化には貢献できませんが。歳を取るのもこういうところは悪くないよね。
ただ、私にはさらに高いハードルがある。あんまり人の顔を覚えないのだ。ということで、そんなに親密な関係になかなかならない。何しろ覚えるまでにそれなりの回数会わないといけないからだ。人間関係が進まないったらない。
こりゃやっぱり考えが変わってもできないかなぁ……でも上限はないから、死ぬまでくらいにはなんかあるかもね。そう思っておくことにした。
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