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マルチタスクは脳を破壊する?!


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記事:斉藤★のり(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「一つのことに集中してやりなさい!
一度にいろいろなことをしてはいけません」
 
誰しもがこう言われた経験があるのではないだろうか。
 
私は小さい頃から、おもちゃで遊んだら放ったらかして、また違うおもちゃで遊ぶという、まったくもって落ち着きのない子供だった。母親や先生に何度も同じことを言われた。
 
「まあ、こんなモンだよね」
 
ある物事がそこそこ出来るようになると、フリーフォールのように急激に興味が下って、他のことに目を奪われてしまうのだ。
 
しかも毎日、気がつくとノートパソコンを開いたまま、テレビの前でご飯を食べていたり、TwitterやFacebookを見ながらつぶやいたりメールを送ったり、さらにはLINEでやり取りしていたりするのである。
 
「マルチタスクでデキる男になろう!」
「マルチタスク仕事術!」
 
というような本やビジネス誌をよく読んだ。
僕のような全く集中力がない人間は、効率よい動きやテクニックをマスターすることで、人並みに業務をこなせるようになるのではないかと思ったのである。
 
しかしながら、それは全くもって非効率であった。
ある有名な予備校先生のテレビ番組での話である。
 
「テレビみながら同時にスマホを使っていると脳細胞が破壊されます。人間の脳は2つの事を同時に処理できないのです」
 
脳が破壊され……!?  ええっ、そんなのしょっちゅうだし、なんなら会社のパソコンのモニターなんてデュアル(ダブル)モニターだよ。
 
思わず自分の頭をやさしくなでる……。
 
「複数のことを同時に行う人はあまり生産的だとは言えません。自分があれもこれも取り組んでいることに対し、精神的な満足を得たいと思っているだけなのです」
 
つまり、いろいろなことを同時に行っていると、ものすごく効率的に仕事をこなしているような気分になるというわけだ。
 
言われてみてば、確かにその通りだ。仕事をこなしてる感はあるし、何だかちょっとカッコいいと思っているフシもある。
無意識のうちに自分に強くプレッシャーをかけ、もっとたくさんのことを同時にするように仕向けていたりすのるのである。
仕事をたくさんこなすことで、数字も上がって評価につなげたいと思っているからだ。
 
しかし、人間の脳はマルチタスクをするようにはできていないようだ。
メールを書きながら、ネットで情報収集し、facebookでチャットを開こうとしても同時に注意を向けているわけではない。
活動を処理する複数の領域を、脳が必死に切り替えているだけなのだ。
 
スタンフォード大学のある研究者が、マルチタスク習慣を続けていけば、「取捨選択する力」「複数のタスクをすばやく切り替える力」「作業記憶力」の3つの能力が向上するのではないかと考え、ある実験をおこなった。
ところが、その研究によって、それらはすべて間違っていることが判明したのだ。
 
「本当に驚きでした。マルチタスク傾向の強い人は、一つのタスクに集中する人と比較して、関連する情報の取捨選択が苦手なうえ、タスクの切り替えもずっと下手であることがわかりました」
 
確かに……マルチタスクでもの凄いスピードでこなしていると、急に記憶喪失になることがあった。不思議と3秒前の記憶が消えているのである。さらに思考がアチコチに行っているので考えがうまくまとまらず、ボーっとしている状態が続いていたことを思い出した。
 
これはヤバいかもしれない! と急に怖くなって改善策を考えた。
 
「一つ一つ課題を集中してこなしていく」
「ブラウザは一つしか開けない(ダブルモニターは使わない)」
「LINEやメールは、見る時間を決める」
「夜もしくは朝、やることプランを立てる」
 
さっそく翌日から、実践したところ、とにかくものすごく集中できるのである。ひょっとしたら小学生が実践していることかもしれないが……、最低やることを3つに絞り、一つ一つ、一つの画面で案件を終わらせていった。
 
おどろいた……。
 
本当に短時間で業務を終わらせることができた。しかも、ニブイ、頭の妙な痛みが消えたのである。
 
あれもこれも手をつけない勇気、いや努力も必要なんだとあらためて思った。
いま、魅力的な情報があふれている中、敢えて一つに絞り込むことがストレスを少なるする方法だったなどと、今更ながらではあるが良い気付きを得たかもしれない。
 
たえず複数のウィンドウを開き、まったく違うプロジェクト案件をこなし、SNSで趣味の話や飲み会のセッティングなど、いま思えば、同時にあれもこれも良くこなしていたなと、
 
「すごいぞ、自分!」
 
と大きく褒めてやりたいという気持ちにもなるが、脳を破壊していたとすればまったくもってどうしようもない……。
 
とはいえ、人間がマルチタスクを好むのは当たり前のことだと思えば、なんてことはない。あれもこれもやりたくなる、それが人間なんだと。
刺激的なものはとても興味深い。ライザップのように劇的に改善できる方法や薬があれば知りたい、試してみたい! と思うのが普通なのだと思う。
 
この情報過多の時代に心地よく過ごせる方法として、シングルタスクにするというのも一つの手なのだ。
 
一度きりの人生、そんなに焦らず、脳と体を大切にしていきたいと思う。
 
 
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2018-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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