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貧乳は、おっぱいを諦めた方がいい~秘めフォト部が教えてくれたこと~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:玉木裕子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「わー! めっちゃキレイ!」
「キャー! すごーい!」
悲鳴と拍手が響く部屋の中で、私も同じように声を上げていた。
 
もっと、照れくさいものかと思った。
他人が裸で撮られているところを見るのも、自分が撮られているところを見られるのも。
予想外に、その場に馴染めた自分に驚いた。
 
「自分史上最高にSEXYな写真」を撮ってもらえる、女性限定の「秘めフォト部」
白い肌の女の子が、恐らく裸で、白くてフワフワしたソファに寝そべってこちらを見ている写真が、告知のポスターに使われている。
参加した女性たちが、絶賛しているらしい。
撮影の次の日は仕事が捗った、彼氏が出来た、痩せた、セラピー効果があった……などなど。
全く、興味がなかった。
正確に言うと、仕事が捗ることや、痩せて綺麗になることには興味がある。ありありだ。
だけど、「SEXYな写真」には興味がない。
興味がないというより、ありえなかった。
「SEXYな写真」ってなに?! SEXYってなんだ?
しかも、カメラマンは男性だという。嫁入り前に、知らない人の前でSEXYって。
ネットで検索してみたけれど、「秘めフォト部」のウェブページにも詳しいことは載っていない。
サンプルの画像も、ない。
とにかく「SEXYな写真」を撮られ、それを体験すると、なにやら「すごいことが起きる」ということだけが説明されていた。
 
いざ、撮影が始まる前に、カメラマンの三浦さんが、これまでの撮影での写真を少し見せてくれて、流れを説明してくれた。
最初は、おしゃれなランジェリーみたいなものを着ている写真から、最後にはおっぱいを放り出している写真が出てきた。
ぎょっ!
SEXYって、おっぱいを出すんですね。
あーそっちかー。SEXYってそういうことかー。いやだなーこわいなー。
 
「胸は、2カップアップで撮れるよ」「おっぱいは、丸みが大切」
三浦さんの言葉に、ぐっと惹きつけられた。
不安と興味で、私の無い胸は膨らんでいた。
Aよりも小さい、トリプルAカップの私の胸を、三浦さんはどうやって撮ってくれるのだろう……?
あと何時間後かに、私もおっぱいを出しているのかな……?
 
「本当に、みなさん綺麗なんですよ! ぜひやってみてほしい!」
秘めフォト部に参加したことのある女性スタッフが、満面の笑みでおすすめしてくれたのがきっかけで、真剣に秘めフォト部への参加を考えるようになった。
自分は、秘めフォト部に参加したら、どんな気持ちになるのだろう?
明日からの私に、どういう効果をもたらしてくれるのだろう?
心が傾いた。20代最後の記念に撮ってもらってもいいかなあ……。
 
月一回で開催される「秘めフォト部」にはその日、私の他に7名が参加していた。
あれよあれよ、と次々に写真を撮られていく。
 
思っていたより、撮られているのを見るのは恥ずかしくない。
それは、きっと、写真がとっても綺麗だったから。
三浦さんが切り取る一瞬一瞬は、とても美しくて、全くいやらしさを感じさせなかった。
「SEXY」の意味が、少し分かったような気がした。
そうか、SEXYは、エロとはまた違うのか。
美しいから、見ている方も、恥ずかしくない。
純粋に、「綺麗」だと思える。
体だけじゃない。表情が、すごい。
モデルさんでもない、さっきまで普通に服を着ていた、全く普通の人だったのに。
きっと、普段の顔とは全然違うんだろうなあ、と思う。
 
ソファの上に寝そべり、天女の羽衣のように、白くてふわふわの布を、上半身裸にまとうカットが始まった。ついにきた、おっぱい放り出しタイムだ。
「もっとこう、バージスラインを出して!」
三浦さんが、スタッフに布の調整を指示する。
バージスラインは、胸の下の丸いライン。胸の輪郭。
そこに布を添わせると、胸が丸みを帯びて、綺麗さが段違いにアップした。
 
私が撮ってもらう番が来た。三浦さんが「バージスライン」と言うことはなかった。
胸がある限り、私にもバージスラインはあったはずなのに。
ただ、「お尻」とは言った。
「背中からお尻のラインを出そう。ここが綺麗だよね」とスタッフの人に、羽衣の調整を指示した。
私のバージスラインを、三浦さんのカメラが捕えることはなかった。
 
最後には、タンクトップを脱いでいく様子を連続で撮る、さっきの羽衣カットとは一変して「カッコいい系のSEXY」のカットが始まる。
ああ、緊張する。やっぱり緊張する。
見ているのは楽しいのに、カメラの前に立つと、恥ずかしい。
でも、他の参加者さんたちが、スタッフさんたちが「キレイー!」とか「わー!」とか、
とにかく、盛り上げてくれるから、なんとかカメラの前に行ける。
いざ始まると、三浦さんのことは、なんだかどうでもよくなっているから不思議だ。
レンズの向こうにいようとも、本当に気にならない。
楽しい……と言われれば、楽しいような気がする。
「撮られること」というより、普段言われない「キレイ」という言葉をたくさん言ってもらえることが。
「ほら、完璧でしょ。胸はまあ、あった方がいいけど、肝心なのは腹筋なんだよね」
撮り終えた写真に写る、私の腹筋の筋を指差しながら、三浦さんが言った。
 
ああ、そうだった。三浦さんは「おっぱいを撮ります」なんて言い方はしていなかった。
 
「SEXY」に撮ります。
そして、「自分史上、最高」に。
ポスターやウェブページで繰り返されていた言葉を、ぼんやりと思い出しながら、
ふと気づいた。
 
そうか、SEXYって、おっぱい、だけじゃないんだ。
わたしが、ただ、おっぱいに憧れてただけで、おっぱいを気にしすぎていただけだ。
撮影中も、おっぱいが綺麗な人ばかりで、「綺麗!」と思うのと同時に、ちょっぴり悲しくもなったりもしたけど、
これまでも、きっと、そうだった。
25歳を過ぎても、大きくならない胸が悲しくて、自分の体を見ようとしてこなかっただけだったのかもしれない。
 
でも、今日、やっと分かった。受け入れざるを、得なかった。
無いものは、無い。
でも、あるものは、ある。
 
私の中の「SEXY」の辞書には、おっぱいは、ないけれど。
「お尻」と「腹筋」はあるみたい。
それを知れたことが、とてもとても有難いと思う。
他の人と比べても、仕方ない。おっぱいは、やっぱり羨ましいけれど、
だめなところばっかりに気にしていたって、人生は進んでいくんだから。
ああ、これがセラピー効果なのかもなあ。
 
もっと、格好いいお尻を目指してみたくなった。
だから、きっと私は、綺麗になっていけると思う。
「痩せました」「彼氏が出来ました」
あの秘めフォト部の体験者の声は、嘘ではないと思える。
写真を撮った直後に、みるみる体が変わるわけではないけれど。
じわじわと、時間をかけて、私は変わっていくんだと思う。
もしかしたら、もしかしたら、ホルモン的なものもたくさん出てきて、
おっぱいも大きくなるかもしれないし。
かすかな希望を、この小さな胸にしまい込んで、今日から筋トレを始めよう。
 
今度、貧乳の後輩に、おすすめしてみよう。
「貧乳だからこそ、秘めフォト部に参加するのがいいと思うよ!」
きっと三浦さんが、おっぱい以外でSEXYを見つけ出してくれるから。
あの日、私に、熱く伝えてくれた、スタッフさんの笑顔を思い出しながら。
 
 

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2018-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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