加齢の愉しみ方
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:うしこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
先日、とあるワークショップで「自分の人生グラフ」なるお題をもらい、描いてみた。
自分の過去から現在まで、紙の上下の中心を横切る0ゼロ地点の線を境に、当時の自分がその線より下のマイナス状態だったのか、上のプラスの状態だったのか、点に落とした当時のターニングポイントを線でつないでグラフにした。
正直、自分のグラフを描き終えたときに思ったのは「あまり面白みのないグラフ」。
一緒に参加していたメンバーも書き終わり、それぞれのグラフを発表するとのこと。
見れば、予想通りというか、「人生というのはこういうものなのかもしれないなぁ」とか、「こういう人生の方が、ある意味楽しいのかもしれない」などと思うぐらい、他のメンバーのグラフは上下に乱れ動いていた。まさに、「リアル人生波乱万丈」。
転職、結婚・出産、スランプ、復職など、30代から50代のメンバーであったので、それぞれそれなりの経験をしており、そこを起点に山や谷の曲線を描いていた。
ひるがえって自分のグラフ。ターニングポイントである点はグラフ上に落としてあるものの、学生時代のマイナスポイントからの留学での急上昇、それ以降は点が埋もれてしまうぐらい、ゆるやか~に上昇するのみ。
「ん? この違いはいったいなんなんだ??」
上昇しているからといって、決してつらいことや、悩みや、「こんな会社、辞めてやる!」などと思ったことがないわけではない。他のメンバー同様、スランプもあったし、失恋もしたし、毎日終電帰り、上司にも怒鳴られる日々で毎朝胃が痛い、ということもあり、おそらく精神的にはわたしもそれなりに「チーン」となっていたときはあったと思う。いや、確実にあった。
なのに、なぜこのグラフ??
たまに友人などとの会話で、「あの時はよかったなぁ」的な話になるのだが、わたしは全くそういう風に思うことがない。今が一番絶頂期だ。おそらく、失恋したときも、胃が痛くなっていたときも、同じ質問をされていたら同じ答えだったと思う。念のため補足しておくが、「もうこのまま死んでもいい!」と思えるような、全人生のなかでの絶頂ではない。あくまで、それまでの過去からの時点でのトップ地点であり、人生のゴールはまだまだ先にある。そう、山を登っている途中の状態というとわかりやすい。
気持ちが「チーン」となっているのに、「今が一番!」と思える精神状態を、どうやら自分は持っているらしい。
それはなぜだろうか。
思いめぐらせたころ、答えらしいことをひとつ思いついた。
私は、謎解きが好きだ。サスペンスドラマやクイズ、数学の問題も中学生レベルぐらいまでのものであれば、好きな類いだ。「なるほど、そういうことか!」というあのときの、雲間からぱっと太陽の光が差し込んでくるかのような感覚が好きなのだ。まさに、今の「なぜ自分はどんなときも“今が一番!”と思えるのか?」の答えを見つけたのも、それである。
そうなのだ、そうなのだ、そうなのだ。
「今の自分がなぜこうなのか」という謎の答えを、過去の自分の選択や経験に見いだせるようになったからなのかもしれない。その過去が、どんなにその時つらかったり苦しかったものであったとしても、それが今の自分に生きていると感じたり、全く関係ないことだと思っていたことが、実は「あぁ、あのことも、このことも、ここに来るための道しるべだったんだ!!」と興奮したり。まるでサスペンスドラマの伏線を回収する糸が見えたかのようなことが、どん底の学生時代から跳ね上がった線の先にあった、留学というターニングポイントのときに、自分の実体験としてこの身に沁みたのだ。
「人生にムダなものはひとつもない」
はい、その通りです!!!
だから、「今こうして自分があることは、過去の自分の結果でもあるし、未来の自分の原因である」と思うことで、そのときそのときの自分を自分自身で受け入れてきたのだと思う。
そして面白いことに、またありがたいことに、歳を重ねるにつれ解ける謎も増えてきた。
きっと10年前や5年前や去年までだったら解けなかった謎が、今になって解けるということがふっと起こる。
それは、きびだんごを持ち、犬と出会っただけではなしえなかった鬼退治が、その後、猿、キジとの出会いがあって成し遂げられるというように、歳を重ねる中で、過去の出来事の結果としての答えが出てくるようになったからだ。そこに来て、「あぁ、この鬼退治ができたのは、犬、猿、キジのメンバーに出会えたからだなぁ」「あ、そのメンバーに出会えたのはおばあちゃんがきびだんごをつくってくれたからだ」「あ、おばあちゃんに出会えたのは、あのときあの川に流れていったからだ!」「なに、すべてはあのときから始まっていたのか……!!」と自分の過去と現在が結びつきストーリーになる。
謎解き好きの方は、ぜひ試してみてほしい。
自分の現在から過去をたぐる謎解きを。
そしてわたしは、さらにもうひとつの愉しみ方を見つけた。
未来の答えから逆算した問題づくりだ。
自分がほしい未来という答えを導く縁を増やし、そこにつながらない習慣や行動をやめることにした。手始めに、3年前に会社員を辞めた。
何年か歳を重ねたその時、嬉々としてたくさんのハナマルをつけている自分でいたい。
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