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メディアグランプリ

まつげサロンの思わぬ効能


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:たけしま まりは(ライティング・ゼミ特講)

 
 
おっとっと。いびきをかいてしまった。
ここは、池袋のまつげサロン。まつげエクステとまつげパーマの2種類のみを扱うまつげ専門店である。
まつげサロンの店内は白を基調とした空間で、そしてとても静かだ。おだやかな曲調のクラシックがBGMでかかり、癒しや休息の空間、という雰囲気を醸し出している。
わたしはまつげパーマを予約した。メイク時間の短縮のためである。
 
28歳の妙齢の女性にとってメイクをしないで外に出ることは武器を持たずに戦場へ出て行くようなものである、と思っている。
わたしの顔立ちは純日本人顔で、時代で例えると平安時代系である。つぶらな奥二重に、低めの鼻、凹凸があまりない、のっぺりした顔だ。
小さい頃から小さな目とのっぺりした顔立ちがコンプレックスだった。時代を間違えて生まれてきた。浜崎あゆみのようなお人形系の顔に生まれたかった……! と何度思ったかわからない。そして目鼻立ちがくっきりした女性を見るたびに嫉妬する。
だからわたしにとってメイクをすることは必要不可欠な行為で、すっぴんで外に出ることは自殺行為なのだ。
 
まつげパーマはその名の通り、まつげにパーマをかけてまつげを上向きにする施術法のことだ。施術中は目を開けてはならず、小一時間は目を閉じた状態でいなければいけない。
小さなロットにまつげを巻きつけ、パーマ液をかけて、ひたすら待つ。
わたしはふかふかのリクライニングソファに仰向けの状態である。
 
これは寝てしまうだろう。むしろ「寝ろ!」と言われているような状況である。
最近わたしは疲れていた。ふだんの仕事に加えて自分の好きな仕事をしたいと思い、ライティングゼミに通い始めたからだ。ゼミは刺激的で面白いのだが、毎週の課題提出にとにかく唸らされる。
課題は毎週2,000字の記事を出すこと。テーマは自由。「自由」であることが受講生をさらに唸らせる。わたしはどんなことが書きたいんだっけ……そもそも書けることってあるのかな……なんかネタが全然思いつかないのだけれど……あぁわたしは何の取り柄もない!!
こんな感じで負のループに陥りながらもなんとか課題を出す。
課題を出せば出すほどネタがなくなり、課題を出した瞬間に「あぁ次の課題はどうしよう……」とまた唸るのだ。
 
最近は朝目が覚めてから夜寝るまでずっとライティングのネタのことばかり考えている。意識的にではなく、いつのまにか考えてしまっている。ゼミの先生は「健全なことだ」と言うけれど、わたしは確実に疲労がたまっていた。
 
ぐぅ……ぐおぉ……ぐがぁっ! ハッ!
まつげサロンという静謐な空間にそぐわない獣のような異音。
犯人はわたしだ。疲れがたまって寝てしまい、いびきをかいてしまった。
きっと一瞬だよね? そうだよね? 確認するすべはなく、この場から逃げ出すこともできず、わたしは恥ずかしさに悶えながら気持ちを切り替えることにした。
 
このソファ、おそろしくフカフカだわ〜気持ちよすぎて眠っちゃうわ〜。
いびきかいちゃったけど、きっと眠ったのも一瞬なんだろうけど、なんだかものすごくぐっすり眠れた気がする。
自分のことに集中してがんばる時間は必要だけど、こうした休息の時間もやっぱり必要だよね。
まつげがくるくるになって、しかもぐっすり休めるなんて、一石二鳥じゃん!
まつげサロン最高!
まぁ、いびきかいちゃったけど……。
 
思わぬ効能に気付き、嬉しくなる。
最近わたしは時短にもハマっている。はじめはライティングの時間をとるためにいろんなことを時短しよう! と意識していたのだが、4月から「時間術ゼミ」にも通ったことで、時短ライフがさらに楽しくなっていた。
 
わたしの時短術の基本は、早足で歩くこと。運動にもなり時短にもなる。
ジェルネイルをする。手元がきれいになり、常にハンドケアを心がけるようになるから、さかむけや乾燥を予防できる。
食品宅配サービスを利用する。おいしく安全なものを手早く簡単に食べられる。
お風呂で本を読む。汗をかいてデトックスできるし積ん読が減る。
ドライヤーで髪を乾かしながら大声で叫ぶ。カラオケに行く手間が省け、ストレス発散になる。
だいたいこんなところなのだが、それにこれからは「まつげサロンで爆睡」を追加しようと思った。たぶんいびきかいちゃうけれど。
 
「出来上がりです〜 お客様、まつげすごく長いですね!」
「あ、そうですか、ありがとうございます……」
すっぴんの目元にまつげがくるりと上がっている。
早くメイクしないと人前に出られない…!! と思いつつ、自分のまつげの長さをプロに褒められて嬉しくなった。コンプレックスだらけの顔にも、ひとつは取り柄があったのだ。
「まつげサロンで爆睡」は、まつげがくるりと上がって、ぐっすり休めて、自己肯定感も上がる。一石三鳥の効能があった。
いびきは、まぁ、仕方ない。
サロン内でメイクをして、わたしは池袋の街並みへ颯爽と飛び出した。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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