メディアグランプリ

恋愛と結婚そして離婚は、まるで道選び


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記事:川内夏絵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
最近、若い女の子が私に、
「私、趣味で忙しくって、彼氏をつくる必要なんてないんです。趣味で忙しい友達もそんなことを言っていました」
「寂しくないし、暇がないから彼氏なんて必要ないんですよね」とさらに得意げ続けた。
私は、「ん?」と思った。寂しいから、みんな恋愛して彼氏をつくるのかしら?
しばらく、うんうんと聞いていたが、続けて今度は質問してきた。
「なんで、旦那さんと結婚したんですか? 趣味が合うからですか?」
と。
そう質問されて、
「別に、趣味なんて全然合わないし、寂しいから結婚したわけではないけど」と、答えた。その後、その話は中断したけど、しっくりこない変な気分になった。
そもそも恋愛って寂しいからするの? 別に、趣味で忙しかろうが、勉強で忙しかろうが、寂しくなくても、恋愛はするものだ。その好みは、人それぞれで、どんな人と恋愛するかも、その人の自由だ。
 
そして、よく恋愛と結婚は違うとも言われている。
私の場合は、あまり違わず、恋愛の延長線上に結婚があった。
夫とは、趣味や食べ物の好みも全然違ったので、最初のデートの時、「初めてだわ。こんな趣味の合わない人」とも、思ったくらいだ。しかも、新婚生活はかなりイライラするものだったし、どこかへ出かけることもほぼなかった。結婚3年目で、離婚を考えたほどである。とは言え、なんだかんだと18年も続いている。今は、一緒に旅行に出かけるし、夫が嫌いな花見にも行く。
私は花を見に行くのが好きで、季節になると出かけたいとせがんだが、最初は連れて行ってくれなかった。その代わり、夫の両親や姉とよく遊びに行った。考えたら、ちょっと変だけど、それが私の新婚生活だった。
 
もちろん、こんな夫との暮らしは苦痛でしかなかった。よく周囲の人に夫の愚痴を言っていた。3年目のある日、「離婚」を本格的に考え、離婚届も書いたほどだ。しかしどういうわけか、離婚はせず、歳月は流れ、また再び離婚の危機が訪れた。それは妊活中のこと。結局、妊活には失敗して、私たちは子供に恵まれなかった。それはそれで、今ではよかったと思っている。
 
私が、二度目の夫婦の危機をいかにして回避したのか? それは、若いころ遊んだであろう不良オヤジの言葉だった。夫の職場の先輩で、その奥さんは散々ひどい目にあったと聞いていた。その不良オヤジが言ったのである。
「結局、最後まで遊んでくれるのはカミさんだけよ」
「だって、誰もこんなおっさんと遊んでくれんし、そう思うたら、夫婦で遊ぶのも楽しいで」
うかつにも、妙に納得。その通りだ。だって、そのころの私はアラフォーで、肌にはシミが増え、二重あごになり、体重も増え続けていた。離婚しても輝いている女性は沢山いるけど、私はそうじゃない。そうだな、私だってそんなにいい奥さんでなかったのでは? 
 
その時ふっと、中学の通学路で見かけた主婦の姿を思い出した。そんなに大きな家に住んでいるわけではない。むしろ小さな家。その家の前に出て、車で出かける夫に深々と頭を下げて見送る奥さんの姿。ちょうど、通学の時間帯で、その前を友達と通り過ぎるとき、「あの奥さんすごいね」と、いつも話した。その友人も今や結婚し、二人の子供に恵まれている。ときどき、結婚生活について話したりもする。
私は、可愛い奥さんではない。料理が上手というわけでもない。ましてや掃除が完璧でもなく、どちらかというと、ズボラである。スタイルだってよくないし、稼ぎも悪い。そうなると、「私のどこがいいの?」と、思ったのだ。
旦那の不満を言っている場合じゃないじゃない! 私はもっと努力しなきゃいけないんじゃないか? 私は、それから少しだけ大人になった。今までの私のひどい発言も反省した。
そして、あのお見送りをする奥さんの姿を思い出した。あのように、夫にかしずく妻にはなれないが、ちょっとだけ寄り添ってみようか? そう思ったとたん、「離婚」の二文字は頭から消えた。あの不良オヤジのおかげである。
 そう、若い彼女に言わなければ、「恋愛は、好きだからするものよ。そして彼氏ができても寂しい時は寂しいし、好きで結婚しても、どんなに趣味が合っても離婚はするの」「ただし、結婚は、そんなに簡単に放り出せない。離婚は、自分が幸せになる手段がそれしかないときにするもの」と。
 
と言いながら、私たち夫婦は今朝ケンカをしたばかり。明日帰ってくる夫はどんな顔をしているだろうか。日課となった散歩の最中、「離婚」「別居」の文字が私の脳裏に浮かんだり消えたりだった。散歩の途中に、この町でにぎわっている飲食店が集まる通りがある。ワインの店、日本酒の店、居酒屋、レストランなどが、ぼんやりと灯りをともす。その通りをカップルが、歩いている。カップルを見ながら、今度はこの店に入ってみよう。やっぱり、二人で歩くのが楽しい。途中、トンネルや分かれ道、でこぼこ道が待ち構えていても、歩き続けてみよう。
きっと美しい風景が、待っている。いつも穏やかな天候ではないだろうが、二人で知恵を絞ったら、なんとか乗り越えられるかも知れない。
私たちが選んだ「道」は、きっとそんな「道」だと思うからだ。

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2018-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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