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【婚活はダイビング】


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:飯沼かおり(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「世界観が変わるよ!」
10年前、職場の同僚のそんな勧めによって、私はスキューバダイビングに初めて挑戦した。
泳ぐのは15年ぶりである上、近年風邪をひく度止まらない咳で、必ず喘息の一歩手前までいってしまう気管支事情、高層エレベーターでの耳抜きも毎回うまくできない状態。
ダイビングに挑戦するに当たってそんな心配を抱えていたが、「世界観が変わる」という言葉の魅力、体験に対する期待感は、そんな心配をはるかに超えていった。
 
ちょうど長期休暇のタイミングだった為、その二日後には一人で沖縄に旅立っていた。
座学と実践がパックになっていて、ライセンスまで取得できるという至れり尽くせりのツアーに参加した。
いざ実践!
深く潜る段階になると、呼吸ができなくなったらどうしよう、水中でパニックになったら、と一抹の不安が付きまといながらも、思い切って潜ってみたら……。
そこには見たこともない世界が広がっていた。
 
私は29歳から5年間婚活をしていた。
婚活を始めたきっかけは、初めて結婚を考えた相手との破局だった。
 
20代の私は、社会に出て仕事を一人前に全うすることに意識のほとんどが傾いていて、結婚願望を持てないどころか、まともに男性と付き合うこともできなかった。
といいつつも、飲み会の話や紹介の話があったら比較的受けていた。周りの友達がどんどん結婚していく中で、20代女性の本能からの焦りの様なものがあったのかもしれない。
 
ところが、実際に一対一でデートということになると、相手との距離感がまったく縮まらない。
当時私は営業職であったが、デートの相手ともまるで営業とお客様との会話さながら敬語のまま一定の当たり障りのない会話が続く。相手が一歩踏み込もうとすると、私が一歩後ろに下がり平行線のまま。
 
さらに相手から好意を持たれてしまうと、全力で引いてしまって相手のことが嫌になってしまう。相手が歩み寄って来ているのに私は後ろに全力でツーステップしている様な有様だ。
さらに気持ちが盛り上がってきた相手に対して、なぜか「気持ち悪い」という感覚まで芽生えてしまう始末だった。相手の気持ちが盛り上がってきたタイミングで全力でシャッターを下まで閉めて閉店してしまう様なことばかり繰り返していた。
 
そんなイタい私にも、29歳で初めて結婚を考える相手ができた。10歳ほど年上の大人の男性だった。最初から結婚を意識した言葉が出てくるのは初めてのことで、誠実さと安心感の様なものを感じた。こんな私でも結婚できるのか?と思い始めていた。
しかし私は、今まで一歩進みそうになると全力でシャッターを閉める様なことばかり繰り返してきたので、恋愛偏差値最低レベルとでもいうのだろうか。29歳という年齢にしても相手ときちんと向き合うことができていなかった。
相手に自分本位極まりない言葉を投げかけてしまい、あっさりフラれてしまったのだ。
 
そんな経験の寂しさを埋めるかの様に、私の5年にわたる婚活が始まった。
婚活を始めた当初、友達の勧めで、とあるスピリチュアルカウンセラーの方のところに行った。その方に結婚について相談をしてみたら、「類は友を呼ぶ」という考え方をよく理解する様に伝えられ、私の結婚に対する考え方の甘さに説教をされてしまった。
 
どうやら私は相手に学歴、年収、未来の安定した生活、自分の為に何をしてくれるのか?といった自分本位の要求ばかりしているということをズバリ指摘されたのだった。
相手に要求ばかりしていると、相手も自分に対して、若さ、外見、お金など要求ばかりしてくる様な人としか出会えないということだった。「そんな人」は嫌だ!と思ったが、すでに「そんな人」になっている自分に気づいた。
当時はそのあまりにも的を得た指摘をなかなか素直に受け入れることができなかった。
 
そんなぬるい意識のまま婚活を続けたが、やはりうまくいかなかった。
同じパターンでの失敗を繰り返し、34歳になってさすがに焦ってきた私は、ここでやっと本当に真剣になった。
まずは、2年以内に結婚すると覚悟を決めた。そしていつも同じパターンを繰り返してしまう原因を他に求めるのではなく、自分自身に求め始めた。
好意を持ってくれる男性に対して感謝ができず「気持ち悪い」とまで思ってしまうのはどうしてなのだろうか。
相手が悪いのではなく、自分に原因があるということにやっと気づける様になってきていた。
 
婚活の本、カウンセリングの本など、いろいろな本を読み漁った。
どうやら、こういった価値観が作られる原因となるのは、まだ価値観が定まらない幼少期に親や関わった人から受けた影響が大きいという。
子供の頃、親から「100点取らなきゃダメよ」なんて言われて育った人は、大人になっても仕事などで完璧にできない99点の自分を認められないという。
幼少期に父親から受けた何かしらの影響で、男性と付き合えない人というのもいるという。
 
私の過去を洗い出してみると、幼稚園の時、同じクラスの男の子にスカートめくりのターゲットとされていたことが思い当たった。とても不快な感情と共に思い出された。
しかしそのことを客観的に見てみた時、笑いが込み上げてきた。
なぜなら、その当時はその男の子に対して不快な感情を持ったかもしれない。しかし、その当時の年齢は5、6歳。友人の子供たちはその年齢をとっくに追い抜いている。好きな子に、スカートめくり、かわいいものじゃないか。
人は初めて触れた価値観を、無意識の内に後生大事にしてしまいがちだというが、この時点で笑い飛ばせて良かったと思う。
 
その後私は、35歳で出会った現在の夫と3か月で結婚が決まり、現在に至る。
34歳の時、原因を外に求めるのではなく、自分の中の奥深くまで潜り、その中で初めて自分の価値観と出会えて本当に良かったと思う。
 
半分かなづち、喘息寸前、耳抜きできない問題……。
心配なことはたくさんあったダイビングで、覚悟を決めて思い切って深く潜り、初めて見る珊瑚や魚たちと出会い、世界観が変わったことを思い出した。
 
何かうまくいかないことがあったら、一度自分の中に深く、深く潜ってみて欲しいと思う。

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2018-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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